女が女の部屋にノコノコやってきて
タダで帰れると思ってやがったのかよ


作:西田三郎


■6■ テクニーク


「ああっ……んんっ……くっ……んんんっ………っ…………あああんっ!」
「ほれほれ〜……そんなに大きな声を出すと、下の階に聞かれちゃうよ〜……」
「ううんっ………くっ……はっ……だ、だめ……も、もうだめ…………」
「まだまだこれからじゃん……ほら、ほら、オジョーチャンよお……もっとイイ声聞かせてくれよお……ビッチョビチョに溢れかえってるぜええ……ほら、こうすると………」
「やあんっ!……だめっ……だめそこっ………や、や……め……て………んんんっ!」
「ほおお、オジョーチャン……ここがいいのかい?……そうかあ……オジョーチャンの秘密、また一つ知っちゃったなあ……あれれ?……ここをこうすると………」
「いやっ!…………ぜ、ぜったいイヤっ!……そ、そんなとこ……」
「ほうほう……ふふふ。ここはミカイハツだったみたいだねえ……そのショーコに、こっちのほう、ギュンギュン締め付けちゃって……いやらしい子だ……このスケベ……ほれ!」
「はっ!……んっ……い、いやあ……そ、そんなと……こ……そこは、そこはダメ……だって……」
『許してください、お願いします』って言ったら許してあげる〜」
「んっ……くっ……そんなっ……だ、誰が……ひっ!……いやっ!だめっ!……ダメダメダメダメっ!……ちょ、マジで、マジで許して。お願い。そこは……ほんと……ダ……メ……」
『お願いします』はあ〜?」
「くっ………おっ……(早口で)お願いします」
「あれ?……聞き取れない〜……そんな態度でいいわけ〜?」
「ああもうっ!お願いしますっ!……これでいいでしょ……あっ!や、やあっ!……んっ……んんんっ!……ず、ズルいよ……い、言ったじゃん!……『お願いします』って、言った……の……に……ああんんっ!」
『許してください、アヤさま』とお言い!」
「くうっ……」



 あっという間の形勢逆転だった。

 亜矢の脚を大きく開いて、そのやわらかく、汁気たっぷりの入口に舌を這わせたあとの、最初の数分間はよかった。
 紗英は無我夢中で舌を使った。
 脳裏にあったのは、あのくそ生意気な教育実習生……大学では、ボランティアサークルに入っていて、趣味はフットサル、というあの男……に教えられた口での奉仕のことと……あの男からされた、口での奉仕のこと……。

 そうした記憶を総動員して、紗英は亜矢を責め立てた。

 亜矢が自分の子指を噛みながら、縋るような目で紗英を見下ろし、必死に喘ぎ声を抑えているのを見て、かなり溜飲を下げた。
 そして、そのまま数分続けていると、亜矢はベッドの上でブリッジをするように反り返り、紗英の顔に果肉を押し当てて……まるで、猫が甘えるような声を出して……果てた。
 息も絶え絶え、という様子でベッドの上で……やわらかく、豊かな乳房を震わせながら……けいれんするように身体を弾ませている亜矢を見下ろして、さらに溜飲が下がった。

「ざ、ざまあねえぜこのビッチ!」紗英は亜矢に言った。「ふん、しょせんは小娘よのう……タアイナイもんだぜええ……アヤさんよお!」
 自分の息も上がっていた。歯に、アヤのやわらかい体毛が一本、絡まっている。
「んん……」亜矢がねっとりとした視線で紗英を見上げた。「じゃ、コータイね」
「えっ……えっ……ちょ、ちょっと待って……ちょっと待てよ!おいっ!」

 ひらり、と亜矢がベッドから跳ねるように起きて、紗英に覆いかぶさってくる。
 しばらく子猫同士のようにじゃれあった……しかし、亜矢は手品のように紗英のスウェットとTシャツを剥ぎ取り、そのあたりから紗英も本気で抵抗しようとしたが、3枚980円の激安ショーツもあっけなく剥ぎ取られてしまった。
 実に鮮やかだった。
 いつの間にか、ふざけあううちにケンカになることが友達同士ではよくある。
 二人は、ふざけあううちに、お互い全裸になっていた。

「ほらほら、お返ししたげるから、オトナシクしなさいよ、サエちゃ〜ん……」
「やっ……ちょ、ちょっと待てって……い、いや……ひゃっ……だ、だめっ……」
 逃げようとして、ベッドの上で四つん這いになったのが悪かった。
 亜矢はサエの身体の下に、するり、と潜り込んでくる……紗英が上、亜矢が下。
 紗英の頭は、亜矢の膝によってがっちりと挟み込まれた。
 そして、逃げられない紗英の膝の間から、亜矢がもぐらのように顔を出す。
 つまり、四つん這いの状態で、亜矢とは頭と尻を入れ違いにした状態で、固められてしまった。

 こういう体位を示す数字の暗号がある。70から1を引くとそうなる。

「……い、いやあ……」紗英の声はすっかり弱っていた。「……や、やだ……恥ずかしい……」
「なんで?」下の入口付近で、紗英が囁く。「さっき、ひとりでこんな格好してたじゃん」
「だ、だって……あっ……やっ!」
「やだ〜サエちゃんったら……」濡れた入口を、亜矢に指で弄ばれた。「……すっげーエッチなことになっちゃってるんですけどー?……もしもーし!……サエちゃーん!」
「あっ……んっ……ああっ……や、やめ……や……め……ろっ……ってば」
ヒューストン、聞こえますかあ?……ワクセーの状態はキレイです。けっこーキレイです。てか、オボコのようにキレイです……だけどヒューストン、聞こえますかあ?……このワクセーにはがあります。ねっとりとした熱い水が、湧き上がる温泉があるモヨーです」
「やっ……めっ……って……」指でいじられ、すぐ近くで囁かれる。
 紗英の意識はほぼ途切れかけていた。
「ヒューストン、それではイズミにトツニューします!」
「い、いやあっ!……ああああんっ!」
 
 その後、少なくとも4回は……紗英は身体を引き裂かんばかりの、ブルース・ウィリスの映画『アルマゲン』のクライマックスが学芸会に思えるくらいの、スペクタクルな絶頂を迎えることとなった。



“あ、あたし、おもいっきり犯されちゃってる……”
 今、紗英は、本来は『出口』とされるが、亜矢によって新たな『入口』となりつつある部分を、浅く指先でくすぐられながら、いまだぐったりと倦怠感を味わうことも許されない状態にある。
「ほらほら、サエちゃん……どうしたのかな〜?……『許してください、アヤ様』はあ〜?」
「んっ……くっ……くうううっ……」紗英は悔しくて唇を噛んだ。
 そして、自分の身体の下の奥を通して、下半身のほうを見ると、亜矢と視線があった。
 紗英は貧乳なので、視界は十分だ。ただ、亜矢の乳房だけが邪魔だった。
 その隙間から、自信たっぷりに笑う、憎たらしい亜矢の顔が見えた。
 思わず、キッと鋭い目で亜矢を睨む。
「ああん……サエちゃん、そんな目で見られると……」亜矢が紗英股間の下で言った。「そんなセンセイみたいな目で見られると……やばい、ますますコーフンしちゃった」
「や……やめろ……な、佐伯」“佐伯”というのは、亜矢の苗字である。「や、や、や・め・な・さ・い……い、今なら許してたげるから、そっちの指は……」
「やだねん……ほんとは、紗英ちゃん、ほしがってるもん……こっちのほうは、やっぱミカイハツでしたかあ……よくぞゴブジで!」
「いやああっ………あっ………はあっ………んんんっ………」
 
 最後は、そっちの方で未経験の絶頂を迎え……とりあえず紗英は亜矢の責めから釈放された。


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