大きくて、固くて、太くて、いきり立つ魔法

作:西田三郎


■9■ 突きまくられて

「あ、あかんっ……あかんっ……もう、あかんっ……そ、そんなに……そんなにいじやめんといて……」
 目隠しをされたまま、電マとか……ピンクローターとか……小型のバイブ?的なものとか……あと……その、ほんとに今思い出すだけでも恥ずかしいんですけ ど……細くて振動するものをお尻の穴に入れられたり……全身に、なんか、肌がカッカと火照らせるぬるぬるのローション?…tね的なものを塗りたくられたり……両方の乳首に……これ また振動するものをテープで貼り付けられたり……もう、見えませんけれども夫の、ヤスの、というか『変態のクニトモさん』のポケットはドラえもんのポ ケットか!……っていうくらい、いろんないかがわしい器具が次々に取り出され、わたしの身体のいたるところを……ほんと、もう弄られなかったところはな い、っていうくらいになぞり、まさぐり、微妙なタッチで這い回りました。そのへんが、さすがわたしの夫、ヤスってところですが……それはすこしもわたしに痛 みをともなわせず、単に中途半端なところで煽り、焦らしまくるばかりです。
 わたしはもう、息も絶え絶えでした。顎から首筋に流れたよだれが、鎖骨の間に溜まっているのがわかります。腰を抱えられて、ここまでアホっぽく、エロっ ぽく責め倒されて、いろんなおもちゃを使われて……それで、わたしに理性的な、常識的な判断をしろ、ってほうが間違ってませんか?……これをお読みの皆さ ん!
「……お、お願いやし……も、もう……ベ、ベッドに……ベッドに連れって……」
ほしいんやなあ……?」
「ひゃっ……」
 内腿に、当たりました。
 ギンギンで、ビンビンで、びんびん丸で、熱くて、脈打っているそれを感じました。
 見えなくても、その勢いが、さらに増しているのくらいはわかります。
 それは、パッケージされていません。
「ほな、ベッドに行こかあ……」
 案外あっさり、ヤスは戒めを解いてくれました。
 目隠しのせいで見えはしませんでしたけど、わたしをバンザイ拘束にしていたロープは、案外あっさり解けました。そして、ふわっ、と夫に……ヤスに……ク ニトモさんに……いわゆる、『お姫様抱っこ』をされてしまいます。で、でもこんな腕力、ヤスにあったけ?……FAXやデスクトップパソコンより重いもの は、持ち上げられないはずだったのに……わたしは目隠しで抱っこされてお姫様気分を味わいながら(すみません、ここちょっとウソです)、どんどん階段を 登って……2階の寝室に運ばれていきました。ギシッ、ギシッ、って階段が軋むたびに、その……なんというか、『わたし、感じまくってます!』って感じの液 が、床や階段を濡らしてしまいそうで……寝室に近づけば近づくほど、わたしはもう、ほんと、欲しがりさんのメス犬、って言われてもしょーがない状態になっ ていました。

 ベッドに、どさっ、と投げ出されます。
「おねがい……おねがいやし……目隠しと……このフワフワ手錠外して……」わたしは懇願する口調でした……悔しいですけれども。「……お願いやから……」
「あかん。それに『フワフワ手錠』っちゅーな……ほれっ」
「あっ……ちょっと……なにっ?」
 手錠を嵌められたままの両腕を頭の上に持ち上げられます。と、ベッドのヘッドレストに、かちん、と手首を、またバンザイする格好で固定されてしまいました。
「なっ……何これっ……ちょっと!……どないなってんの?」
「このために今日一日、がんばって細工しといたんやがな……」
 ……どうやら……ベッドにも手錠を固定するための、何らかの細工がされているようです。代休を取ったかと思ったら、リビングの天井に滑車をつけて、ポリタンクを用意して、それでベッドにも何か細工して……いったい、ウチのダンナは、どこまでアホなのでしょうか?
「……い、いやあっ……」
 ぐい、と両膝を開かれました。もちろん両手は頭の上で固定されているので、その……ぐっちょぐっちょで見るも無残な状態になっているはずの恥ずかしい部分を、隠すことはできません。
「……すごい……すごいで……あふれかえっとるわ……」
「あっ……あほっ!!」
 しばらく、間がありました。
 じっと見られているのでしょう。でも、わたしの視界は相変わらずふさがれていて、ヤス……じゃなくてクニトモさんがどんな表情で、その部分を眺めまわし ているのかは、見ることができません。というか、視線を塞がれているせいで……自分の頭の中のスクリーンには、両腕を頭の上で拘束され、両膝を大きく広げ られて……クニトモさんに恥ずかしい部分をじっくりと眺め回されながら、身体をくねらせている自分のはしたない姿が、まるで映画でも見ているかのように、 ありありと浮かんできます。
「きょうは……手、添えんでも入りそうやな……べちょべちょで、ぱっくり開いとるで、奥さん……」
「なっ……なにを」“アホなこと言うとんねん”と言うより先に……恐ろしく大きくて、硬いものが、先端から、ずりょっ、っと押し込まれてきました。「うっ、あって……ああああんっ!」
「……おおお……すごい……すごいで……」
「あ、あっ……あっ……あうっ……」わたしは、腰を持ち上げていました。
 どうぞ奥までお入りください、とでも言うように……もちろん夫は、遠慮なく押し入ってきます。
「お、おおうっ?」夫の戸惑ったような声。
「くっ……あっ……あああああっ……は、はああっ……」
 大きくて硬いだけではありません。それを全部受け入れきれるかどうかわからないくらい、それは長くて、太くて……そして、わたしの体内を焦がしてしまうんじゃないかと思うくらい、熱くなっています。
「ああああっ……あっ……やっ……あかんっ……そ、そんなん、あかんっ……」
 と、言いつつ、わたしの体内の肉は、それをしっかりと受け入れ、しかも、ひとりでにものすごい力でそれを締め付けていました。何だかもうわかりません。 夫はたぶん、コンドームをつけていません。でも、いっぱいいっぱいの入り口から、まるで熱いうれし涙みたいに、わたしのか、ヤスのか……いや、ほとんどわ たしのでしょうけど……大量の体液が噴き出すようにあふれ出し、内腿を濡らしました。ぬめるクニトモさんの太ももが、こすれあい、ぬめりあうのを感じま す。
「はんっ……い、いや……あっ……………くうっ!!」
 恥ずかしいですけれど……それが奥まで届いた瞬間、ヤスが動き出すよりも前に……あっけなく、わたしは軽くイッてしまいました。
「なんや、もうイッてもうたんか……」
くっ……」ちょっと悔しくて、顔を背けました。「し、知らんっ!
「動くでえ……動かすでえ……」クニトモさんがやわやわと腰を前後させはじめます。「なんぼでも、イッってええんやでえ……ほんで、イくときは……ちゃんと、『イッちゃう!』って言うんやでえ……」
し、知らんわ!あほっ!」……強がってみましたが、焦らすような腰の動きに、また負けてしまいました。「あっ……あっ……い、いやあっ……」
 クニトモさんは、入り口付近まで先端を後退させて……たぶん、わたしの反応を目で楽しんでいるのでしょう。ほんと、スケベ。やがて、差し出すようにさら け出されている両方のおっぱいに手が伸びてきました。そして……左右の乳房が、またやわやわとした手つきで揉み解されていきます。ビクン、ビクンっ、と身 体がうねりました。またイッちゃいそうになりました。でも、こんなので……こんなので2回もイかされるなんて、なんかものすごくバカにされてるみたいで、 恥ずかしすぎるので、わたしはそれをグッとこらえました……すると、おっぱいへの愛撫が少し乱暴なものになり……出入り口付近での出たり入ったりが、さら に小刻みになっていきます。ほんと、ここまでニョーボはずかしめて、どうするつもりなのでしょう。ってか、これがここ数ヶ月間、インポでしょげ返っていた おっさんのすることでしょうか。
 わたしはだんだん……余裕を失っていきました。
「ほうれ……ほうれ……欲しいんか?欲しいんやろ、奥さん。全身が、ピクピクしとるでえ……」
「へ、へ、変態……へんたいっ!……あほっ!……ぼけっ!」わたしの最後の強がりでした。
「ほな、やめてまおかなあ……」
 おっぱいへの愛撫が止み、入り口の半分くらいまで、アボカド大のアレの先端が逃げていきます。
 もうダメでした。わたしは……ガシっと、まるで“かにバサミ”みたいにヤスの胴に、脚を巻きつけ、引き寄せていました。ほんと……こんなことさせられるくらい昂ぶらされたのは、はじめてです。
動かして……お、お願い」わたしは喘ぎ、弓なりになりながら、腰を振りたくっていました。「め、めっちゃくちゃにして…………お願い、犯して……突きまくって……」
「よ、よっしゃ」

 そこからは……もう、どれくらい時間が経ったのかわかりません。
 ベッドに手首を拘束された状態で、正上位で突きまくられ、頭の上のフックを外されたかと思うと、ベッドの上で裏返されて、おっぱいを両手で掴まれながら 後ろから突きまくられたり……その……なんていうんですか?松葉くずし?……横向きになって、大きく片足を持ち上げられて、横からねじ込まれて、身体の下に回した手で おっぱいを捏ねられたり、時には前のほうの敏感なところをまさぐられながら、また突きまくられたり……正上位に戻ったかと思うと……引き起こされて、フワ フワ手錠をされたままの手を夫の首に回す形で……あの、正面座位ってんでしょうか……『失楽園』で役所公司と黒木瞳が死んじゃうつもりでやってたアノ体位 で、お尻の肉を掴まれながら、上下に思いっきり揺らされたり……ありとあらゆる体位で、徹底的にはずかしめ尽くされました。
 その間、わたしはずっと目隠しをされたまま。
 夫のアレは……勢いが収まるどころか、さらにどんどん硬く、熱く、太く、カリって言うんですか?……あれが高く、しかも脈づき方も尋常じゃないくらい激しくなっていくばかりでした。
 わたしは、何回イッったかもう、覚えていません。
 最初のうちは、わたしがイきそうになると夫が意地悪をして、腰の動きを緩め、『イッっちゃう、って言うてみい……』と囁かれて、焦らされまくった上で、小さな声で『あかん……イッっちゃう……』とか言ってたんですけど、もう最後のほうは、自分のほうから
「あかんっ!……あかんっ!イくっ!またイッてまうっ!……もう、許して、かんにん、かんにんやっ!」
 とか何とか、いつの時代だ、というような恥ずかしいはしたない言葉を、自分から叫んでいました。
「ほな、そろそろ……」
「あっ……」
 ヤスが、ごろり、とベッドに転がる気配がします。と、わたしの身体は夫の上で、アノ部分でつながったまま。わたしがキスをしようとヤスの顔に近づくと、ヤスはわたしの上半身を、ぐい、と後ろに押しのけました。
「んん……あっ……い、いやっ!
 上半身は離れているけど、下半身はつながったまま。ヤスのアレは、わたしの身体の中で反り返ったまま。
 というわけで……騎上位、っていうんですか?……それもわたしの身体は大きく後ろに反った状態だったので……わたしはもう、なんか船越英一郎のサスペンスドラマのクライマックスみたいに、断崖絶壁の前に立たされたような感じでした。
「そのまま……自分で動いてみ……奥さん」
「そ、そんなんしたら、そんなんしたら……あ、あたし……こ、壊れてまう……あんっ!」
 ゆさゆさと、ヤスが腰を上下に降り始めました。
「ほら、ほら、おっぱいも揺れとるで……このまま、俺にイかされたいかあ?」
「いやっ……いややっ……も、もうあかん……ゆ、許してっ……お、お願いやしっ……」
 と言いつつ、“ほんま、後で覚えとれよこのドスケベのアホが”と思ってましたけど……結局は勝てませんでした……わたしは……また焦らすために動きをや めた夫の腰の上で、はあはあと荒い息を吐き、ちょっと呼吸を整えると……じっくり、ゆっくり、回すように腰を動かしはじめました。



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