大きくて、固くて、太くて、いきり立つ魔法

作:西田三郎


■6■“先輩”って呼んで。

 鏡の中には、セーラー服のブラウスを胸までたくしあげられておっぱいを曝け出し、さらに下半身は、赤いエッチなシースルーの下着と、黒いニーハイソックスはそのまま、という、笑っちゃうくらいエロい姿。
 そして、わたしの右手では、夫のアレが、ピクン、ピクンと脈打っています。
 恥ずかしくて鏡から目をそらす直前、鏡越しに夫の意地悪な目と視線が合いました。
「エッチやで……」そして、わたしの名前を……いつもみたいにあだ名ではなく、本名で、呼び捨てで呼びます。「さ・え・こ」。
 熱い息とともに、わたしの名前が耳の中に吹き込まれました。
「あっ……い、いやっ……」
 ヤスがずるり、と半分くらい、赤いシースルーのエッチパンツをずらしたのです。
 鏡には、股間の茂みを半分くらい覗かせた、わたしの姿が。しかも、おっぱいは曝け出したまままで…….。
「ほれ」
「んっ!」
 お尻の隙間から滑り込んだヤスの指が、入り口を通り抜け、かなり奥までのめりこんできました。
「熱いで……どろどろのぐちょぐちょや……」
「あ……あほ……あんっ……!」
 わたしは立っていられず、上半身を倒して、鏡の淵に掴まってしまいました。
 鏡にはわたしのとろけて呆けた顔、潤んだ瞳、濡れた唇、そしてたくしあげられたセーラー服からむき出しになったおっぱいが……それでも乳首は硬いまま で、前かがみになったせいで、それが余計に強調されています……ふるふると揺れ、全身の肌がうっすらとピンク色に染まっているのが、冷徹に映し出されています……あっ……思い出しただけで濡れてきちゃいました。すみません。
「ふあっ……」ヤスが背中に覆いかぶさるようにして、わたしの首筋に舌を這わせます。
「……ほな……今度は、俺のこと“先輩”って呼んでみ……」
「え、えっ?」ちょっと、びっくりしました。「何て?……あんっ……」
 おっぱいを右手でやわやわと捏ねながら、ヤスがわたしに履かせたエッチな下着を、わずかにかかっていたお尻からつるん、と剥いてしまいました……やっぱり……“剥く”っていやらしい表現ですよね……。
「高校のときに……先輩にホテルに連れ込まれて……さんざんやらしいことされたんやろ……」
「…………」
 さすがに、ムッとして肩ごしにヤスを睨みつけました。
 いやもう、別にいいんですけど。以前に酔っ払ったときに勢いか、冗談かなんかで、そのことをわたしが彼に喋ったんでしょうか。いや、高校のときにセックスしたのは同級生の彼氏 でしたが、先輩にやらしいことをされたのは中学のときです。それにセックス寸前まで至ったのは……ええっと、わたしも頭がごちゃごちゃになってきました。
「……ほらあ」
「ふああっ!」
 クリトリスを人差し指でいじられながら……入り口に、さらにもう一本の指をねじ込まれました。
 痛くはありませんでした……すごい、すごい圧迫感でした……このまえのセックスのときは……その……ヤスのEDのおかげでかなーり不完全燃焼気味だったので……わたしはそのいきなりの責めに、入り口をぎゅうう、と締め付けることで応えました。
「……ほら、ほら、言うてみいな……“先輩、すごい、超気持ちいいです”って……」
「……あっ……はあっ……はああっ………」
 ヤスがまたなんかアホなことを言ってましたが、もういちいちムカついていられませんでした。
 夫が三本の指を巧みに動かします。クリトリスは呼吸を見計らって強弱をつけながら転がされました。中に侵入した指はゆっくり出たり入ったりしたかと思うと、ぎゅうう、と思い出したようにかなり奥まで侵入し、おへその下あたりの部分を、くすぐるように弄びます。
「あんっ……あっ……ああっ……んんっ………あはっ………やっ……だ、だめっ……あ、あかんっ……」
「ほら、ほら、“先輩キモチいいです。もっと奥までほじってください”ちゅーてみい……」
「いっ……いややっ!」夫を肩ごしに睨みました……とはいっても怒りはぜんぜんありません。ヤスをもっと興奮させるためです。「……そ、そんなん……い、言わへんっ!……あっ……うっ……んっ……」
 するとヤスは、三本の指の動きをやわやわと緩めます。わたしを焦らそうというのでしょう。いや、もう、焦らされてしまいました。
 気がつくと、わたしは、自分でお尻をさらに突き出して……ほぼ、身体を左時計回りに回転させた“L”の字くらいまで前屈させて、ヤスの指に自分からそのべちゃべちゃになった部分をこすりつけるようにしていました……悔しいですけど。
「……ほら、ほら、高校んときは……そんなふうに先輩の前でも欲しがりさんやったんかあ……」背中にさらに密着して、耳元で囁かれます。「……そうやって、先輩を興奮させとったんやろ……このスケベ娘
「……ち、違っ……あっ……」
 さんんざんわたしを焦らしたあと、ふっ、とヤスの指がわたしのその部分から離れます。間髪入れずに先端が……丸く張り詰めた先端が……いつの間にか、ほんといつの間にかゴムでパッケージされたあの先端が、わたしの入り口に押し当てられました。
「ほれ」ヤスの余裕こいた声。「どや、先輩のん、欲しいやろ」
「んっ……」
 いや、欲しかったです。『先輩』とかそんなの、もうどうでもいいから、夫のが。
 でも、ヤスはどうしても……彼の頭の中にある、『わたしの高校時代、先輩とのセーラー服エロエロエッチ』を再現してみたいようです。
 ってか、『再現』といっても、こんなにエロくなかったですけど。
「……ほら……サエコ……サエコちゃん……先輩のちんちんが、離れてくよお……」夫が腰を引きます。
「あ、あほっ!……あ、あんたとはやっとれんわ!……やっ!んんっ!」
 今度は先端で、入り口をそろり、そろりと撫でられました。
「ほら、サエコ、先輩のん、欲しい……挿れて、っちゅーてみ……」
「そんなんっ……先輩とか、そんなんどうでもええからっ……い、い」……言ってしまいます「挿れて……」
「あかん。"先輩のん、サエコ欲しいです。挿れてください先輩!”ちゅーまで、挿れたれへんで……」
「あ、ああっ……もうっ……ああもうっ!」焦らされすぎて、もう理性もへったくれもありません。「……い、入れて…………せ、せんぱい………」
 ついに、屈してしまいました。
 ヤスがぴったりと入り口に先端をあてがいます。
 そして……動きます。
「あかん。“ちょうだい、先輩。挿れてください、先輩”って言うんや……」
言うたやんっ!」ああもう、超めんどくさい。「さっき、言うたったやろ!」
「ほら」
「うっ」
 先端が、少しもぐりこみました。その頃にはわたしの膝は、ガクガク揺れていました。
「……ほら、言いなはれ……“先輩、いけない女子校生のわたしを、メチャクチャにしてっ!”って……」
 なんだかセリフがどんどん陳腐に、アホらしく変わっていきます。でも、わたしももう……限界でした。
「………んんんっ………くっ……」最後に一度だけ、肩越しにヤスを睨んでやりました。そして、顔を背けて、「ち、ちょうだい……せ、せ、せんぱい……奥ま で、奥までちょうだい……先輩のん、欲しい……サエコ、先輩のびんびんのソレで、めっちゃくちゃにされたい……」わたしも何言ってんだかわかりません。
よおし!」ぎゅう、と先端が入り口を押し広げていきます。「先輩、挿れたるで!!
「はんっっっ!!」
 わたしは、うん、うん、というように頭をヘッドバンキング並みに縦に振ると、迎え入れるようにお尻を突き出しました……。

 数分後、夫は鏡の前のわたしの背中にもたれて……ぐったりしていました。
 わたしは、まだ、火照ったままでした。
 結局その日も……駄目でした。
お、お口でしたげよか?……せ、せんぱい……」わたしは、鏡に手をついたまま、夫に声を掛けました。
「くそっ……何でや!何でやねんっ!」
 いきなり夫はわたしを引き起こし、前を向かせると、激しいキスをします。
 まだ剥きだしになったおっぱいを掴み、激しく捏ね上げます。
 そして、まだびしょびしょになったままのわたしの疼く部分を、指でいじくりまくりました。
「あっ……ちょ、ちょっと……あんっ……いやっ……無理せんでええから……な、せんぱい……ヤスせんぱいっ!……ベッド、ベッドに行こ……な?」
「あかん!するんや!絶対するんや!」
「きゃあっ!」
  わたしはそのままフローリングに押し倒され、首の上に残っていたセーラー服も剥がれ、太ももに引っかかっていたいやらしい赤いパンツも取り払われ、全身は だかなのにニーハイソックスはそのまま、という、これもまたなんというか、いかがわしい状態で転がされてしまいました。
 ヤスがわたしに覆いかぶさってきます。
 わたしに激しいキスをして、舌を絡めては吸い、両腕でおっぱいを揉みます。乳首を両方、交互に丹念に据われ、敏感 すぎるくらい敏感になっている塗れた突起を弄ばれて……なんか、ものすごく燃えちゃいました。どっちかというと、わたしにはそーいう嗜好があるのかも知れ ません。つまり、ちょっとMっぽいというか……最後には、2本の指で奥まで貫かれ、自分的にかなりヤバい体内スポットを、これでもか、というくらいいじめ られました。
「ああっ……あかんっ……あかんっ……やめっ……やめてっ……あかんって……あ、あ、あ、あ、あ……」わたしの身体が床の上で弓なりに反り返ります。
イッて……ええんやで」耳元で、囁かれました。
ああああああっ!
 わたしは……七転八倒して、床の上で……ホント、はしたないんですけど、激しくイッてしまいました……ものすごい滞空時間の絶頂で……息が整った頃にも、もう立ち上がれない状態でした。
 床を、汚しちゃったかもしれない、と思いましたが、しばらくそんなこと、もうどうでもいい感じです。
 一息ついて、ヤスに言ってみました。
「なあ……わたしもヤスを……」そういって、かわいそうなくらい萎びてしまった夫のアレに、手を伸ばしました……けど、優しく制されてしまいます。
「……ええねん……俺は……ごめん……シャワー浴びてくる」
 そのままヤスはわたしを床に残して、お風呂場に消えてしまいました。

 そこで気づきました……夫は、ヤスは、挿入できなかったことに関して、わたしに引け目を感じたから、こんなふうに雰囲気を出して、わたしを床の上に押し倒して、舌や指を必死で使って、精一杯、“奉仕”したつもりで……わたしに期待させたことを申し訳ないと思って、わたしに詫びるつもりで……せいいっぱい、わたしをイかせたんだと。

 起き上がる気力がさらに失せて、夫がお風呂から上がってくるまでに、また少し泣いてしまいました。




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