大きくて、固くて、太くて、いきり立つ魔法

作:西田三郎


■2■ キスアンドクンニ

 わたしはそのまま起き上がり、夫の頭に両手首を巻きつけると、頭を引き寄せ、本格的なチューをしました。
 つまり、ベロ・イン・ザ・マウスの、舌を絡めあ うタイプのキスです。
 夫も負けていませんでした。
 いや、夫以外の男の人とのエッチな経験っていったら、中学時代のバスケ部の先輩(そのせいでわたしの身長は165センチ後半ですが、夫は158センチしかありません)に、部 活の帰りに無理矢理暗がりに連れ込まれて、ほとんどくちびるをベロンベロン舐められるだけで舌まで入れてこられなかった、だけどジャージの前を開けられて Tシャツの上からおっぱいを握りつぶすように揉まれた(痛かった)ことと、あとまあ高校時代に付き合ってた彼と、彼の部屋でセックスしようとして、結局痛 いだけでちゃんとできなかったこと……あのときは、スカートとパンツだけを剥がされるだけで、なんだかみじめな経験でした……と、その後、3年生のときに 本当に好きだった彼とデートでラブホテルに入って、なんとかいろいろ頑張ったすえに、セックスの形がついたこと……くらいしかありません。そのときに、多少はキスらしいものをし たかな、という程度の記憶はありますが……。
 どれもこれも、まあ青春のいい思い出、というえばそうかも知れませんけど。
 でも、誰も本当にわたしを愛してくれなかった……というか、とりあえずセックスという経験を果たしたいだけで、わたしのことをやさしく扱ったり、そうい う行為の最中もあんまり気をつかったり、いつくしんでくれたりしなかった、ということだけは覚えています。
 とはいえ、わたしだってそれなりに少女期には、セックスに関する情報はそれなりに得て、興味もシンシンだったので、すべてに大してシラけた態度を取っていた、というわけ ではありません。そりゃあもう、なんか……相手が……男の人が……このわたしに興奮してる……っていうことは、ものすごく、お尻お奥のほうがムズムズさせるというか。な んというか、その年頃の、セーヨクだけは満タン、って感じの女子なら誰だってそうだとは思いますけど、おっぱいを揉まれたり、首筋に吸い付かれたり、乳首 を吸い上げられたりするのは、実のところそんなに快感を乗りこなせるほどの経験を持っていなくても……相手がそーいうことを自分にしたがって いる、というか、わたしが相手をそんな気分にさせている、ということ事態が、ものすごーーーくエッチに感じられるものです。さらに、ちょっと喘ぎ声を出してみたり「あか んっ……そんなんっ……」とか「いやっ……だめやって……」とか、心にもないことを並べ立てて、身体をくねらせて、相手がますます興奮するのを見ているの が、とても楽しかったことは事実です。

 でも、大学2年生のときに会った夫は、それまでの男の子たちとは何かが違いました。

 ええもちろん、、アレが大きくて、長くて、太くて、固くて、カリ…っていうんですか?……それが高く(高い、という意味がどうもよくわかりませんが)て、持続力が あって……とか、今になって夫がクスリを買ってまで実現しようとしているようなこととはぜんぜん別で、本当に夫はわたしのことが好きなんだなあ……わたし のことを大事にしてくれるんだなあ……だから、こんなにエッチに、いやらしくしてくれるんだなあ……というところに、ものすごーく感動して、激しく濡れちゃったことを覚えています。

 その晩のキスも、わたしが大好きな夫のキスでした。
 それは今も変わりません。
 わたしを引き起こして、ちょっと強引に抱き寄せると、わたしの顎を掴み、唇を重ねました、かなり興奮しているのがわかります。セックスの前のキスはいつ もこうです。
「んんっ……ふっ……あっ」
「ふううっ……ふううっ……」
 わたしはちょっと意地悪をして、入り込んでこようとする夫の舌を、歯を閉じて入れてやりませんでした。
 すると、夫もわたしに意地悪をします。
 ”ふん、そう。それならええんやで……”という感じで、むさぼるようだった唇を少し離し、尖らせた唇の先で、つん、つん、とわたしのくちびるの先をつついたりしてきました。わたしはキスモード全開なので、ついつい、自分の唇や、舌を突き出してしまい……最終的には自分 のほうから夫の唇にむさぼりついてしまうのです。
 そうなると、夫はわたしの全身をくまなく撫で回しはじめます。
 その日はTシャツにジーンズというラフな部屋着のままでした。背中を……肩甲骨の間を撫でられ、背骨を撫でられ、わき腹を撫でられ……わたしも同じよう に夫のTシャツの上から背中をまさぐります。背中の、ちょっと凝ってそうなところを、ぎゅっ、と押してあげたりしたら、夫もわたしの背中の首筋をとらえて、 ぎゅっ、と力を込めました。
「あんっ……」先に声を出してしまったのはわたしのほうでした。
エロいで……」夫がニヤリとすけこまし気取りで笑い、わたしの表情を確かめるように眺めまわします。
「……そんなん言うても……」ちょっとわたしも上目遣いで夫を見上げたりして、雰囲気を盛り上げました。
「……ほら」夫が、チノパンの前をわたしのジーンズの前に押し当てます。
「あっ……」
 ぎんぎんでした。夫のパンツとチノパン、わたしのジーンズ、わたしのパンツと4枚の布を通してもわかるくらい、夫のアレはびんびんでした。
「……やりたい?」夫が腰をわたしの股間に押し当て、ぐりぐりと動かします。「……やりたいんやろ?」
「…………」
 いやもちろん、わたしも思いっきり『ヤリたい』気分でしたけど、ここで、『うん!やりたい!』って言っちゃうものたまにはいいかも知れませんが、かなー り酔っていたので、わたしは事態をもっとエッチにしたくなっていました。
「……やりとーないの?」また夫のスケコマシごっこです。こういうことは、実に楽しいものです。
「……ヤリとーないわー……誰があ?……だーれががヤスなんかと……ヤリたいねん」
 そう言いながら、わたしは思いっきり意地悪で憎たらしい顔を作って、夫に“イー”の表情を見せました。
「ほな、その憎たらしい口から言わ……」“せたるわ”と言い終わらないうちから、夫が飛びかかってきました。
 わたしは、ソファの上に身体を押し付けられ、荒々しく……というかまあ、そうは言ってもそれなりの夫婦の合意内で……たとえば、服が破れる、とか、身体 に痛いことはしない、とか……そういうお互いのことを気遣いあった秩序を保ちながら……荒々しくジーンズを、Tシャツを、ブラジャーを、そしてパンツを剥 ぎ取られていきました。酔ってはいても、とは酔っているからこそ、なんか頭のタガが外れた感じで、わたしは「いやっ」とか「あかんっ」とか「ちょっと、ちょっと 待ちーな……」とか口で言いながら、夫の目を喜ばせるために、おっぱい……そんなに言うほどありませんが……を両腕で庇ったり、パンツを脱がされた腰をよ じったりして……いつもよりオーバーに全身をくねらせます。
 そうすることで夫がますます興奮して、顔を真っ赤にし、鼻毛がそよぐくらいに鼻息を荒くしていくのを観るのが好きでした。それは、それは、楽 しいのです。自分の仕事である、しょーもないウェブサイト作りなんか比べ物にならないくらいに。
 夫はわたしを全裸に剥いてしまうと(“剥く”って、イヤラシイですよね)、自分も大慌てでチノパンとパンツを一気に脱ぎます。
「きゃあ……」
 思わず、悲鳴とも驚嘆ともつかないくらいの声が出てしまいました。
 あまりにも、夫のアレが……その、性器が、ペニスが、肉棒が、びんびん丸が、余りにもギンギンだったからです。
 ほんとに、ちょっと怖いくらいでした。
 しばらくして、さっ、と夫が飛びかかってきます。
「ひいひい喘がせたるで!奥さん!」夫はなぜか、わたしをセックスする時、“サヤ”ではなく『奥さん』と呼びます。
「きゃあっ!」夫がわたしの両膝を開き、脚の間に顔を埋めてきます。「いやっ!……ヤス、あかん、それっ……んっ!」
 夫の舌はすぐ、わたしの感覚が集中している部分に到達し、動き始めました。
 わたしはものすごく喘いで、けっこう、恥ずかしいことも言ったと思いますが、そのへんは、わたしのプライバシーなので割愛させてもらいます。
 だって、夫 はあそこをワインの渋が残ったちょっとピリっとする舌先で舐めながら、手を万歳の形で伸ばして、わたしの両方のおっぱいを揉み回したんですよ。女性ならだいたいわかるでしょ?……男性は、女性になった気分で考えてみてください。
 ふだんはそんなとこ、汚いから舐められるのはイヤなんですけど、なんせ、かなり酔ってたし。
 それが一段落してから……わたしもかなりぶっ飛んじゃってる感じだったので、四つん這いでソファを這いおりて、目の前に立ち上がった夫のズボン前に、手を掛けまし た。





 

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