義父と暮らせば
作:西田三郎

「第5話」

■やっちゃった。

 そんなふうにお義父さんにメチャクチャにキスされながら、あたしはいつの間にか、
 「あっ」とか「んっ」とか、甘い声を出していた。

 事実、すっごく恐くて、ヤバそうなのはわかってたんだけど。それにあんまりにもいきなりだったからねえ……。あたしはそのときまだ15だったし、まっさかお義父さんがあたしにこんな事をしたがっているとは夢にも思わなかった
 でも、いきなりそんなふうに襲いかかられると……衝撃と恐怖が薄れていくにしたがって、どんどん自分が亢まっていくのに気づいた。
 
 「……ごめん、ごめんよお………愛してるんだ!!お義父さんはおまえのこと愛してるんだあああああああ!」そう言いながら、お義父さんはあたしの制服のブラウスの前をびりっと左右に開いた。
 「きゃあっ!!」あたしは思わず悲鳴を上げた。
 ブラウスのボタンがパラパラとフローリングの床に飛び散る音がした。
 「ごめんよ……ごめんよ」お義父さんはそう言いながら、あたしのスカートのホックを探った。
 「ちょっと……ちょっと待ってよ、お義父さん、お義父さんったら!!」あたしは一応抵抗した。必死でスカートのホックを外そうとするお義父さんの手を制する。
 「………お願いだ………お願いだ……お願いだから………」
 お義父さんはあたしの手を払いのけてスカートのホックを外すと、素早くジッパーを下げて、スカートを抜き去った……実を言うと………あたしはその瞬間、ほんの少し腰を浮かせた
 
  ブラウスは前を開かれていて、当時は自分でも心配したくなるほどぺったんこだった胸を覆う、薄いブルーのブラジャーが剥き出しになっていた。スカートを取り払われたので、パンツも剥き出しだった。あたしはその日、真っ赤なパンツを履いていた。多分、ブラジャーの色とそのパンツの色はめちゃくちゃにアンバランスだったろう。……だって、朝出かける前、これを身につけた時は、まさか今日の夕方、お義父さんの手によってそれが脱がされるなんて夢にも思ってなかった訳だし……まあ、普通、予想できないわな、そんなこと
  
 「お……お義父さん………や、やめて
 あたしは超ありきたりなセリフを吐いて、その響きが思っていたより数倍いやらしいので自分でびっくりした。そう言えば、室田の取り巻きに言われたんだっけ……
“……みんな言ってるよ。あんたが親父と変なことしてるって”……

 してるじゃん、今、変なこと。いや、そんなありふれた妄想しかできない室田とその取り巻きの俗物っぽさにあたしの暴力衝動が爆発したんだけど、その通りのことをしてるじゃん、今。あたしは焦った。どうしたものか……お義父さんに落ち着いてもらうように、何か手段を執るべきか……それとも、このまま俗物の妄想そのままの事態に身を投じるか……。

 例えばあたしが今、マジ泣きして暴れたりしたら、お義父さんは多分、やめてくれるだろう。それが、お義父さんという人だ。


 しかし……あたしは全くマジ泣きする気分じゃない……だんだん頭に血が上っていって、意識がぼんやりしてきた。お義父さんを見上げるあたしの目は、どんな感じに見えるんだろう?
 多分、本気で怖がっているようには見えなかっただろう。
 だって、そのときにはもう恐くなかったし。
 
 「……ご免よ……」言いながらお義父さんは、いきなりあたしのパンツに手を掛けた。
 「ええっ……ちょっと……お義父さん………あっ」パンツが足の付け根あたりまっでずり降ろされる。陰毛が生えてからこっち、お義父さんにそれを見られたのは初めてである「……だめ……ダメだよ、こんなの……ダメだって………あっ」
 今度はブラジャーがたくし上げられた。
 ほとんど全裸にされたのも一緒だった。
……ああ、今あたし、お義父さんの目の前で裸になってんだ……で、その服を脱がしてるのはお義父さんなんだ……と思えば思うほど、頭がじーんと痺れてきて、お腹の下あたりがむずむずした。
 「好きだ……愛してるよ……さゆり………」そう言ってお義父さんが、あたしの左乳首に吸い付く。
 「んっ……!」思わず上半身が跳ねちゃった。

 ああ、男の人ってほんとに乳首吸ったりするんだ……とあたしは思った。そんなことして、何が気持ちいいんだろう?よくわらからないけど、お義父さんは必死だった。ぴちゃぴちゃと音を立てて、あたしの乳首を吸い上げる。そのままお義父さんは、右手をあたしの脚の間に入れてきた。
 「いやっ!」さすがにしっかり脚を閉じる。
 するとお義父さんはあたしの乳首から口を離すと、そのまま上半身を起こして、脚の付け根にとどまっていたあたしの馬鹿みたいに真っ赤な下着を、一気に足首まで引き下ろし、取り去った。
 「……だ、だめだよ……お義父さん、ほんとにダメだよ……」あたしは脚をばたばたさせたけど、そのままがっちりと立てた膝小僧を掴まれて、がばっと左右に開かれた「……いやあっ」
 
 いくらなんでも、処女の義理の娘に対しては、あんまりな仕打ちじゃなかったか?……って、今でも思う。
 こんなに恥ずかしいのは産まれて初めてだった。脚を閉じようとしてもお義父さんにがっちり掴まれていて上手くいかない。あたしは思わず、目をしっかり閉じて顔を背け、それでも恥ずかしいのでソファにあったクッションで顔を隠した。
 
 でも、あそこはお義父さんに凝視されている。
 
 「………さゆり………さゆり………見えるよ……見えるよ」お義父さんが言う。判ってるよ。「………はむっ」
 「ええええっ?」いきなり、お義父さんがあたしの股間に顔を埋めて、あそこに口を付けた「……いやっ………お義父さん……やめて……………お、お願いだって………あ、ああっ」
 お義父さんの舌が動き始めた。
 正直いってびっくりした。いつも寝る前に日課のようにしていたオナニーで、あたしが毎晩いじってるその部分に、いきなり舌の先が触れてきたものだから。……って、つまり、これはどんな女の人だって、そこをいじられると気持ちいいってことなのか?…………お義父さんは的確にそこを舌で擽った。

 母も、お義父さんにこんな風に責められたのだろうか……?そう思うと、ますます濡れてきた。

 お義父さんの舌はほんとに……処女のあたしにはえげつなすぎるくらい執拗に動いた。

 でも、あたしもあたしで、それに負けないくらいにエッチだった。あたしはお義父さんの頭を太股できつく挟んで、万力みたいにぎりぎりと締め上げながら、腰を左右に振りたくっていた。顔に当てたクッションを噛んでいないと、町内中に響き渡るくらい声を上げてたかもしれない。
 
 「……さゆり……さゆり………さゆりはいけない子だなあ……こんなにべちょべちょになってるよ」

 お義父さんが言う。判ってるよ、そんなこと。酷いことを言うなあ……と思ったけど、逆にそんな風に言われるのが妙に恥ずかしいような、こそばゆいような、妙な感じだった。あたしはど助平だ……と、自分で思った。ああ、もう引き返せない。こんなことは社会通念上、決して許されるべきことじゃないけど……思えば、社会通念の壁を飛び越えれば、そんなにいけないことでもない。
 だってあたしとお義父さんは、他人なんだから。
 
 「………挿れるよ………挿れたいんだ………さゆり………ご免よ……判ってくれ……
 お義父さんがズボンを脱ぎ始めた。ああ、ついに来たか、って感じだった。
 あたしはもう覚悟を決めていた。

 ああ、あたしこのまま、無理矢理、義理のお義父さんにヤられちゃうのねー……って思うと、お尻がムズムズした。
 義理の父親に犯される15歳の処女……なんていやらしいんだろう。
 お義父さんはあたしの脚を開かせて、先端を押しつけてきた。
 はっきりお義父さんのアレは見えなかったけど……びっくりした。押しつけられたそれの感じが、物凄く熱くて、固くて、太かったからだ。
 ……ええっ?コレ、挿れるわけ?無理だよ。あたし、死んじゃうよ。と思ったけど………。

 力を入れるともっと痛いだろうとあたしは冷静に考えて、全身の力を抜くように心掛けた。

 「んっ」それはべちょべちょに濡れた入り口あたりで何回が滑ったが、やがて先端が、入り口に引っかかった。「……あっ」
 「………いくよ」お義父さんが、そのままギューーーーーーっと前進してきた。
 「あ………あ……いて……いてててててて」あたしはマヌケな声を上げた。
 絶対間違ってる、と思った。こんなの、入る訳ないじゃん。こんなに痛いのに、まだ奧まで入ってくるんでしょ?……ちょっと、ホント、あたしセックスというものを舐めてた。
 ご免、ギブ、ギブアップって感じだった。
 でも、それまでゆっくり押し込んでいたお義父さんが、ふんっ、という感じで一気に奧まで貫いた。
 あそこが……っていうか、下半身そのものが痺れた。
 「んんんんんんっ…………」あたしはクッションを噛んだ。布地を噛みきりそうなくらい噛んだ。
 お義父さんが動きはじめた。遠慮がちに、ゆっくりと。
 「………さゆり………ごめんよ………痛いかい?
 「……痛いよ」あたしはクッションの下から答えた。
 
 ああ、ついにやっちゃったんだな、とあたしは思った。
 お義父さんは5、6回動かすと、あわててアレをあたしの血塗れの穴から引き抜いて、あたしのお腹の上に出した。
 あたしはクッションで顔を隠したまま、全身がヒクヒクと痙攣するのに任せていた。
 「……さゆり……」お義父さんが何か言いかける。
 「……………変態」あたしはクッションの下から、お義父さんに言った。
 
 でも……クッションの下で、顔は笑っていた。
 ああ、本当に義理の親父とヤっちゃったよ。
 冗談みたいだけど、あたしは自分の置かれいる状況が悲惨だとはあんまり思えず……逆に、何故か明るい気分になった。
 お義父さんはたぶん今、あたしに「変態」と呼ばれて酷くしょげているのだろう。
 
 まあそれくらい、言わせてもらわないとね。
 
 

<つづく>

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