義父と暮らせば
作:西田三郎「第2話」 ■さわやかな日曜
「うーん……」あたしはベッドの中で思い切り朝寝坊をしていた。
まあ毎日ブラブラしてるんだから、日曜日も何もあったもんじゃないんだけどさ。
すると、部屋にお義父さんが入ってくる気配がした。ああ、またか、とあたしは思った。
「さゆりちゃああああああああ……ん」猫なで声で、お義父さんがあたしのベッドに入ってくる。「おっはよお………」
いちおう歯は磨いてきたみたいだ。先週、起き掛けの臭い息で布団に入ってこないでって、釘刺しといたから。 お義父さんはあたしの言いつけは何でも守る。
「んん……まだ眠いよおお」あたしはわざとお義父さんに背を向けた。
実際眠かったし……なんかここんところ、毎日曜日の朝にこうやってベッドに潜り込んでくるんだもの……ちょっとあたしはウザくなっていた。
お義父さんは歳が歳なものだから、その……あれが夜、あんり使い物になんないこともあるのね。
で、まあその……朝、その部分に元気があって、使い物になりそうなのを見計らうと、あたしのベッドに潜り込んでくるわけ。なんというか……浅ましいって言うと可愛そうだけど、悲しいよね。男って、基本的に悲しい。
「ほら、さゆりちゃん、パパ、もうこんなになっちゃってるよ」そう言って、お義父さんはあたしのパジャマの尻に固くなったあれを擦り付けてきた。「……ほら、さゆりちゃんも、一週間ぶりで溜まってるでしょ?」
「あたしがあ?」あたしははじめて寝返りを打って、お義父さんの顔を見た「なんでそんなことわかる訳?あたしだって、もうそれなりの歳なんだからさ、お義父さんが会社行ってる間に、あたしが何もしてないってお義父さんに何でわかんの?」
「……って……ちょっと、ちょっと待てよ」お義父さんは真顔になった。こういうところが溜まらなく可愛い「……なんだよ……まさか……男が、男ができたのか?」
「できるとおかしい?……だって、あたし、もぅ22だよ」
「だ……誰だ?相手は………あ、あいてはどんなやつなんだよ?」
完全にお義父さんはマジになって、さっきまでびんびんだったあれもみるみる萎んでいった。
こうやっていつも、あたしはお義父さんをからかうのが好きだった。
あたしは毎日曜日こんなハッタリをかましては……お義父さんを慌てさせる。
まあ、それはあたしにしてみれば、前戯の一部みたいなもんだった……あんまりお義父さんが本気になるもんだから、ついつい意地悪でやってしまう。あたしはそれがおもしろくて仕方ない。
「……どんな奴なんだよ?ええ?どんな奴なんだよ?」そう言いながらお義父さんはまた亢奮して鼻息が荒くなってくる「……いったい、どんなことしたんだよ?」
「……聞きたいいい?」あたしはそう言ってお義父さんの首に手を回す「すっごいことされちゃった………あんなやり方もあるんだねええ……あたしもやっぱ、世間知らずだわ」
「………なんだよ……何されたんだよ……?言えよ……教えろよ!」
あたしはさらにウソ八百を並べる……路地に連れ込まれて、スカートをめくりあげて、パンツを降ろされてヤられちゃったとか。トイレの個室で、口を押さえられながら前から挿れられちゃったとか、車の中で、たっぷり指でぐちょぐちょにされちゃったとか、その他いろいろ。
まあ、あたしも想像力豊かなほうだから、次から次へとそんなデマカセが出てくるわけ。
お義父さん、顔真っ赤にしてさ、それでも下の方は、しっかり回復してんの。「ちくしょう!………このインラン娘!……いったい誰がおまえをそんな風に育てたんだ!!」
とかなんとか言って、あたしのタオルケット引き剥がして、パジャマのズボンを一気に脱がせる。
誰がこんなインランに育てたんだって……そりゃ、あんただろ、って言いたいとこだけど。
そのへんは「あんっ」とか言ってしおらしく四つん這いになってあげたりする。
「ほら、握れ」と、お義父さんがあたしの手を後ろに引っ張る。
これ、お義父さんは大好きみたい。挿れる前に、あたしの手にアレを握らせるのが。
すでにお義父さんは下半身裸になってて……いつものことだけど……握らされたあれは呆れるほど固くて熱かった。いくらその……朝勃ちっての?……それに頼ってるとはいえ、お義父さん、もう50だからねえ。
はっきり言ってすごいよ。その硬さと熱さは。
ほんとのこと言うと、あたしはお義父さん以外の男とセックスしたことない。
だから、それが人より固いんだか、熱いんだか、太いんだか、長いんだかよく判らないけれど……いつもながら、その硬さと熱には圧倒される。
「んっ……」お義父さんがあたしのパンツをつるん、と脱がせた。
せっかちに、あたしのお尻の間に、お義父さんの指が入ってくる。
「うっ………んっ……」あたしは枕を噛んだ。お義父さんの指責めはいつもしつこい……お昼まで続くんじゃないかと思うことさえある。お義父さんはゆっくりと……指を出し入れしはじめた。あたしのほうはしっかり濡れてて……お義父さんの指はあたしの中をスムーズに出たり入ったりする。
「………やらしいなあ……さゆりは………いつもこんなに濡れちゃうんだから………で、どうだったの、その相手の男。こんなふうに、指でしてくれたの?」
いかにも50のおっさんがこういう時にいいそうなセリフなんだろう……詳しくは知らないけど。
「……ん………あ…………ってか………もっと……激しかった………よ」またあたしはハッタリをかました。こうなってくると、そんなウソもサービスのひとつだ。「………なんか、めっちゃっくちゃに………かきまわされちゃった……すっごい………音が出て、溢れちゃうくらいに」
「……くそう!!!」お義父さんが唸るように言う「こうか?……それともこうか???」
お義父さんはめちゃくちゃに指を使った。
あたしの穴から、あふれてくる愛液を掻き出すみたいにやらしい音を立てて。
あたしのお尻は上下に跳ねた。あたしはご近所さんに日曜の朝から淫靡な声を聞かせるわけにもいかないから、必死に枕を噛んで声を堪えた。
実際、すっごく良かった。
あたしが毎日曜日、お義父さんにデマカセを話して聞かせるのは、あたし自信がお義父さんにそういうことをして欲しいからだ。……だって、もうこんなにグダグダになっちゃってるけど、いちおう義理の父と娘の関係なわけだからさ。いきなり、娘のあたしが、“指突っ込んでめちゃくちゃにかきまわしてよ”って有り体に頼んだりすると、さすがのお義父さんもヒくと思うんだよね。
だから、あたしなりに気を遣って、こういうことをしてるわけ。これも親孝行なのよ。
まあ、お義父さんをからかうのが楽しいってことの方が大きいのは事実だけどね。
「……どうだ、さゆり、………こんなにケツ振りやがってこのインラン娘」……なんか、お義父さんに“インラン娘”って呼ばれると……すごく亢奮した……自分でもヘンだってのはわかってるけど。「………挿れてほしいだろ?」
「ん………」お義父さんは、いつもあたしにそれを言わせようとする。まあ、別にいいけどね。あたしも自分で言うのはそんなに嫌いじゃないし「………挿れて………よ」
「よおし」
そう言ってお義父さんはベッドから立ち上がると、あたしの化粧台からコンドームをそそくさと取り出した。
さすがに、いくら他人とはいえ、戸籍上、父と娘の間に子どもができただマズいから。
あたしはお尻を高く挙げたままで待った……お義父さんがごそごそしているのがわかる。
さすがにいつも、この時ばかりは胸がドキドキするね。
でも……なかなかお義父さんはベッドに戻って来なかった。
あんまり父が待たせるので、あたしはお義父さんを振り返った。
「どしたの………」
お義父さんは下を向いて、しょんぼりしていた。
見ると……なんとまあ、あんなにも固くてつっぱっていた……アレが、気の毒なくらい萎んでいる。
「……さゆり……悪いけど………………ちょっとお義父さん、今日、調子悪いみたいだ」
お義父さんはあたしの目を見ずにそう言うと、装着できなかったコンドームをゴミ箱に捨てると、のろのろとパンツとズボンを履いて……あたしの部屋を出ていった。
って、どういう訳よ?
あたしはそれで収まる筈もなかったので、布団の中で指を使ってその続きをした。
なぜかすこし、悲しい気分になった。
<つづく>
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