女性専用車両 作:西田三郎 ■最後までいかせてみる
「…ちょっと、ほんとに、やめて…」
彼が慌ててスカートを抑えようとする。完全に女言葉・女リアクションだ。あんまり派手にやると周りの人に気づかれ、このままではわたしは女子中学生に痴漢した変態女になってしまう。でも、今のところ周りは気づいていないらしい。というのも、ここまで個性的な状況をぱっと見ただけで理解できる人などそう居ないだろうし、わたしたちが感じているほど、それぞれのリアクションは大きく見えないらしい。
なるほど、女性専用車両がなかった頃は痴漢にさんざん不埒なことをされたものだったけど、周りから見ればそんなに大した状態には見えないもんなんだなあ、とわたしは変な納得をした。
…それにしても…ちょっと驚いた。
彼はスカートの中に、ちゃんとナイロン地の女物のパンツを履いている。なんとまあ、徹底しているもんだ。
「…ちょっと、コレ、何よ。ちゃんとパンツまで女物じゃん」
「…やめて…」
「…やめてって…ほんっと変態だね。ほら、なんかもう、濡れてるし…」
「やっ…!」
彼のそれは窮屈な女物のパンツの中ではち切れそうになって、しかも布地には湿りが染みだしている。いわゆる“さきばしり”というやつだ。わたしはいちばんパンツが湿っているあたり…ちょうど先端のあたりを指の腹でいじった。変態君はくすぐったそうに腰を逃がす。
「…ほら、もうビチョビチョだよ…だんだん濡れてくる」
「…いや…」
わたしはなんか、エロ小説に出てくる変態親父みたいなことを言っている自分に呆れたが、それ以上にこの子の変態っぷりに感心した。この子は、この若さで、女装趣味があって、しかもマゾらしい。というのも、わたしが耳元で次々にいやらしいことを言うと、パンツの中はますます固くなってくるのだ。わたしもすごく興奮してきた。なにか、自分の新しい部分を発見したみたいでドキドキする。
「…ほら、窮屈でしょ。脱いじゃおうよ」
「…いあっ…」と、言いながら、変態君はまわりに聞こえないように本当に小さな声しか出さない。しかも抵抗する手を上に上げて、わたしに抱きつくみたいにすがりついてきた。
わたしは両手を変態君のスカートの中に入れて、太股の付け根までパンツを降ろした。
以前、わたしが痴漢にパンツを降ろされたときことを思い出した。
わたしはあのとき必死に抵抗したもんだけど、変態君はパンツを降ろしやすいようにぷりん、とお尻を持ち上げた。まったく、何を期待してんだか。わたしは両手で彼のお尻の肉を掴んだ。
「んっ…」わたしにすがりつていた彼が、つま先を伸ばす。それで、わたしとちょうど同じくらいの背丈になる。彼の臭いが強くなったような気がした。
それにそても、いいお尻だ。すべすべしていて、きめ細かい肌。筋肉があって張りがあるけど、まだちゃんと大人になってないのか、少し柔らかい。しばらくわたしは理屈抜きでその感触に感動して、何も考えずに揉んでいた。変態君のほうはほんとうにいやらしい動きで腰を回した。
スカート越しに感じられる彼のアレが、さらに熱くなっているのがわかった。
「…ねえ、どうしてほしい?」あたしは彼の耳元で囁いた。
「…」彼は唇を噛みしめて、恨めしそうにわたしを見た。
「…ねえ、やっぱ、いかせてほしい?」
彼が顔を背ける。変態のクセに生意気。わたしは右手を前に回して、彼のアレを掴んだ。
「…やっ…」彼がますます下を向く。
すごく固かった。それに、思っていたより大きい。皮は被っているみたいだが、先端は露出しているみたいだ。そこから液があふれ出している。眉毛の印象で、毛深いかと思ったけど、下はそうでもないらしい。って、わたしは一体なんでこんなに冷静に分析しているのだろう。
「…どうしてほしい?」手を動かさずに、聞いた。
「…知ってるくせに…」変態君が、すごく小さな声で言った。
「…知ってるって、こういうことかなあ?」
ゆっくり握った手を上下に動かしてやった。
「やあっ…」
「いやって、もうこんなになってるじゃん」
わたしは先から溢れている液を、先端に塗り広げてやった。
「…やめて…」
「やめてほしいの?それとも続けてほしいの?どっち?」
わたしがまた手を止める。今度は、彼の腰の方が動き始めた。彼はわたしの顔を見上げて、切なそうな目でわたしを見る。まるで子犬みたいで、可愛かった。
「…して…」すごく、すごく小さな声で変態君が言った。
「…してって、何を?」わたしは完全にサド・モードに入っていたので、とても意地悪だった。
「…お願い…して…しごいて…」
「…しごいてって…変態じゃん」わたしは言った。まだ手は動かしてやらない。「しごいて、どうしてほしいの?変態君」
「…お願い…」
「…お願い、じゃ判んないよ。ほら、しごいて、どうしてほしいの?」
変態君がずっしりと顔をわたしの肩に預けてきた。細い肩が、ひくひくと脈打っている。
「…いかせて」小さな声で、そう言うのが聞こえた。やっと言わせてやった。
「…ふーん、ヤラしいんだ。この変態」
わたしはそういうと、いきなりはげしく扱いてあげた。
「…んんんっつ」
変態君はあまりの快感にたしろいだのか、必死にわたしの肩に口を押しつけて声を殺していた。
ちょっと可愛そうになったので、すこしやさしく扱いた。すると彼の呼吸はますます荒くなって、今度は彼の腰が激しく動きはじめた。まったく、変態にも困ったもんだ。わたしは、また動きを早めてやった。また彼が顔を押しつける。ゆっくり扱く。彼の腰が動く。おもしろいので、わたしはそれを繰り返した。
「…あっ…んっ…やっ…くっ…んんっ…」
小さな声で、彼の声が聞こえてくる。完全に女の子になりきっている。公衆の面前で、卑劣な変態にいたずらされて辱められている女の子の気持ちに彼は浸っているのだろう。まったく変な話だ。じゃあ、わたしは単に変態役なんだろうか。まあ、いいか。
しばらくそれを繰り返していると、彼が潤んだ目でわたしを見上げた。
「…どうしたの?」
「…」彼はまた、顔を伏せた。
「…いきそうなの?」
「…ん…」
「…出そう?」
わたしはいっそうはげしく変態君のモノをしごきあげた。溢れ返った体液が手の中で湿った音を立てて周りに聞こえそうだったけど、それでも手を止められなかった。
もうすぐ電車も駅に着くころだ。
「…あっ…んっ…」
「ほら、出していいよ。出しなさい」
「…んんんっ…はっ…」
変態君ががっしりとわたしに抱きついてきた。わたしの手の中で、彼のモノが激しく脈打った。スカートの中で跳ね返った液が、あたしの手にもかかった。すごく熱かった。床を見ると、白濁した彼の体液の滴が、ぽたぽたと落ちている。結構な量だった。変態君は虫の息だった。良く見ると、太股に液の垂れたあとが何筋もできている。青白い太股に精液がしたたって、がくがくと震えていた。なんとなく、痛ましい光景だったけど、それを見ていると、少しぞくぞくした。やっぱりわたしも変態なんだろうか?
「…ふーん、すごい、出たね」意地悪に彼の耳元で囁いた。
変態君は荒い息をして、わたしにしがみついたままだ。わたしはショルダーバックからウエットティッシュを出すと、袋ごと変態君に手渡した。パンツを上げてあげると、彼はわたしを見上げた。潤んだ、きれいな目だった。電車が駅についた。
背後のドアが開いた途端、変態君は逃げるようにして電車を出ていった。
わたしは頭がぼんやりしていた。
ゆっくりと電車を出て、人混みに目をやったけど、彼の姿は見つけられなかった。
雪は相変わらず振っていたが、おそらく積もらないだろう。
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