女性専用車両 作:西田三郎 ■弟に電話してみる
その日はあんまり仕事に身が入らず、案の定へまをして上司にしかられた。
帰りの電車の中でも、気分はブルーだった。朝、電車の中で、悪いことをしたからバチが当たったのかなあ、となんとなく思った。
帰りの時間帯には、女性専用車両はない。
帰宅ラッシュ時は、朝ほど混んではいないけど、いつも座ることはできない。
ドアの前に立って、ぼんやり車内を見ていた。
ふと、3人の男子中学生に目が止まった。どこにでも居る馬鹿面の、精液臭そうなガキ3人。
朝のあの子とは、大違いだ。馬鹿みたいに大きな声でしゃべって、ふざけている。まったく、どんな親に育てられたんだか。見ていると、何となく弟のことを思い出した。
弟は、朝の変態君と、目の前にいる中学生の3人組とだったら、どっちに近いだろうか。
どっちかと言えば、朝の変態君に近いかも知れない。
あの子はいつもはどんな子なんだろうか。まさか、学校では女の子の格好をしているわけにもいかないだろう。いつもはあんなふうに、猿みたいに友達と騒いで、馬鹿話をしてるんだろうか。
なんとなく、弟の声が聞きたくなった。
最寄りの駅で電車を降りると、携帯で東京で下宿している弟に電話した。
弟は家にいたけど、部屋に彼女が来ていたらしく、よそよそしく切られた。(了)
2004.01.18
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