無き世界に In a World Without Love
〜中国自動車道中1少女手錠放置死事件〜

第三章「ロスト・ハイウェイ」

妄想:西田三郎

 ■2005/02/13 (日) 愛無き世界に(第三章) 〜ロスト・ハイウェイ〜 18

「ククケン、謎の行動」

※この物語は、実話をもとにしたフィクションです。9割8分くらいまでが妄想です。

 はてさて援助交際に応じた当時16歳の少女、ナナ子さんに催涙スプレーをぶっかけ、手錠を填め、思うがままに陵辱したククケンでしたが、裁判記録によりますと、ククケンはこの際にナナ子さんより強奪した彼女の私物である黒色ポーチを、なんと後日彼女の自宅に送り返しています

 お財布の中にあった現金30,000円からホテル代をさっ引いた25,000円くらいの現金と、彼女の携帯プリペイドカードは自分で消費したククケンでしたが、黒色ポーチ、およびそれに入っていた携帯電話などの所持品を律儀にナナ子さんへ送り返したというこの謎の行動は、われわれに大変奇異な印象を与えます。
 
 一体、ククケンは何故このような行動を起こしたのでしょうか?

 事実、ククケンは逮捕後、ナナ子さんからの現金強奪を以て検察側から起訴され、暴行・監禁に関しては起訴されていません

検察側は同年7月24日に起きたノノ子たん放置死事件において、犯行の状況などから、ククケンを殺人罪で起訴することが困難であると判断。監禁致死としての起訴を行うことにしたものの、それでは7年以上の量刑を課すことは不可能なので、この上にナナ子さんからの現金強奪を加えて起訴しちまおうぜいといことでこの事件が引っ張り出されたのです。

 性犯罪のケースでは顕著なことですが、暴行・監禁でククケンが起訴された場合、ナナ子さんは証人としてククケンから受けた性的虐待などの詳細を証言せねばならず、検察側もその点においてナナ子さんの心情を考慮し、その罪で彼を起訴することはしませんでした。
 
 しかし…果たしてナナ子さんが勇気を出し、ククケンを性的暴行で訴えたとしても…ククケンにさらなる罪を課すことができたかどうかは甚だ疑問です。と、いいますのも、ククケンがタカをくくっていたとおり、援助交際に応じたナナ子さんが斯様な性的搾取の被害に遭ったということを、日本の司法が重く見ることは、まずあり得ないからです。
 
<つづく>


■2005/02/14 (月) 愛無き世界に(第三章) 〜ロスト・ハイウェイ〜 19

「怪物と闘う者」

※この物語は、実話をもとにしたフィクションです。9割8分くらいまでが妄想です。

 確かにククケンはノノ子たんの監禁致死とナナ子さんからの現金強奪で有罪となりましたが、後者に関していうと、ナナ子さんに私物を送り返すという彼の「謎の行動」は、その量刑を減刑せしめました。こうした行動から、ククケンの犯行は現金強奪を第一義の動機としたものではない、という弁護側の見解が受け入れられた結果です。

 果たしてそれは正しい見解でしょうか?
 わたしにはとてもそうは思えません

 ククケンは自らの行為に対する罪の意識など、逮捕されるそのときまで微塵も感じていなかったでしょう。彼のような自己中心的・利己的なパーソナリティが、少女のポーチや携帯をガメることごときに罪の意識を感じたというのはどう考えても奇妙な話ではないですか。
 
 ククケンは何を思ってナナ子さんに所持品を送り返したのか?
 
 これはわたくしの推論でしかありませんが、ククケンはそうすることにより、ナナ子さんを“牽制”したのではないか思われます。

 ククケンがナナ子さんを陵辱する様をビデオ撮影したのは、その後自分で鑑賞して楽しむためなのは勿論ですが、ナナ子さんが司法当局へこの事実を訴え出ることを封じる、“口封じ”としての効果を考えてのことであるとは明かです。逮捕後ククケン自身も当局の取り調べに応じてそれを自供しています。
 
 ククケンは私物を彼女に送り返すことにより、自分がナナ子さんの所在を知っていることをアピールし、やもすればそのビデオを彼女の近辺にばらまくぞ、という威圧を彼女に与えるつもりだったのではないでしょうか。裁判記録にも報道にもその事実はありませんが…ナナ子さんの手元に戻ってきた彼女の私物の中に、事件当日の辱めを記録したビデオのコピーが含まれていたのでは…という妄想が生じるのは、ククケンンと同類のゲス野郎であるところのわたしの考えすぎでしょうか?

 日本司法は、このゲス野郎の陰湿さ、悪質さを裏付けるやもしれない「謎の行動」に、もっと注目すべきだったでしょう。
 
 <つづく>



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