愛無き世界に In a World Without Love
〜中国自動車道中1少女手錠放置死事件〜
第三章「ロスト・ハイウェイ」
妄想:西田三郎■2005/05/12 (木) 愛無き世界に(第三章) 〜ロスト・ハイウェイ〜63
「ロスト・ハイウェイ-23」
※この物語は、実話をもとにしたフィクションです。9割8分くらいまでが妄想です。
はてさて、ククケンンの部屋の電話機が着信ランプを灯すやいなや、ククケンンはマッハの速度で受話器を上げました。息が荒くなるのも仕方ありませんが、なるべく語調はおだやかにしました。
「こんばんわー」とククケン。
「こんばんわー」と、少し頭のヌルそうな少女の声。
ウワサには聞いていましたが、このテレクラでは10代の女子のお友だちと知り合えることが多いらしいのですね。
「……えーと、君はおいくつですか」
「えー……あたし?えーと15」少女は答えました。
15と言われて会ってみると30過ぎだったりしたことも度々でしたが、今回は、エエ感じでした。
「……僕と、ちょっと今晩、遊んでくれへんかな。だいたい2万くらいあんねんけど」
「ええよ、ぜんぜんオッケー」電話の向こうの少女はいいました。
ますますナイスじゃないか、とククケンンは思いました。
まあ何れにせよ、ククケンンには端からその金額を支払う気が無かったのですが。「ほな、どこで待ち合わせたらええかな」
「JR吹田駅前はどうかなー」
「よっしゃ、ほな8時に吹田駅で待ち合わせや。僕、野球帽被って、茶色のワゴン乗ってるさかいに、すぐわかると思うわ」
「うん、ほな、あたしの携帯番号教えとくわ・・・・」
ゲッツです。ククケンンは電話を着ると、変装用の野球帽をしっかり被りました。
(ノノ子たんとククケンが知り合ったのは、ツーショットダイヤルで、という説もあり)
<つづく>
■2005/05/13 (金) 愛無き世界に(第三章) 〜ロスト・ハイウェイ〜64
「ロスト・ハイウェイ-24」
※この物語は、実話をもとにしたフィクションです。9割8分くらいまでが妄想です。電話を切ったノノ子たんは、ほんの少し不安を感じないでもありませんでした。
今日の夕方に、とても恐ろしい男に出会ってすぐの出来事でしたからです。……しかし……一日2回も続けて恐ろしい目に遭うことはあるまい、とも考えました。
これまでだってずっと大丈夫だったのです。
確かにこれまでは“活動”で男に直接会いにいくときはお友だちと一緒のことがほとんどでしたし、一人で男に会うのはこれが2度目です。しかし、これまでの活動”出であった男たちはすけべえでアホタレばっかりでしたが、凶暴で危険な人間というのは、……父のテル夫さんを含めて……それほど多くない筈です。
悪い頭で導き出した確率からいっても、同じ日に2回危険なことに会う確率は、とても低いのでした。
電話をかけ終わると、ノノ子たんはダイエー前でタムロしていた仲間達の雑談に加わりました。
しかし、その中でも一番の親友であるひろえたんだけは、なんとなくノノ子たんのことが心配でなりませんでした。
ひろえたんは、口が達者なところが自分でも自慢でした。これまでに何回かトラブルに巻き込まれたことはありましたけど、それはひろえたんのベシャリでなんとかカバーしてきたのです。……しかし親友のノノ子たんには、とてもそんな芸当は不可能であることはひろえたんの目にも明らかでした。
ノノ子たんは家で親父にどつかれ過ぎているからか、どこか抜けていて……どうも女の子を虐待して快感を得るタイプの危険な人物が好みそうな、なんともいえぬ雰囲気を身につけているように思えるのでした。
<つづく>
■2005/05/16 (月) 愛無き世界に(第三章) 〜ロスト・ハイウェイ〜65
「ロスト・ハイウェイ-25」
※この物語は、実話をもとにしたフィクションです。9割8分くらいまでが妄想です。7月24日、午後8時半ごろ。
相変わらずダイエー前でタムロっていたノノ子たんと、ひろえたんをはじめとするお友だちでしたが、突然ノノ子たんの携帯にピロリロリンと着信がありました。
「あ、おれおれ。今日電話でお話した、おれ。今JR吹田駅の前に着いたから」
「あーそーほな、今からそっちいくわー」
ノノ子たんは携帯を切ると、自転車に跨りました。ひろえたんは目を丸くしました。
「ちょっと……ノノちゃん、どこ行くんよ」
「……男の人から連絡があったからー……ちょっと会ってくるわー」
「ノノちゃん、あんた今日の夕方、変な奴に会うて恐い思いしたとことちゃうの……?一人で男と会うたらあかんって何回も言うたやろ?……忘れたん?」
「えー……でもー……約束してもたしー……」
「その前にあたしと約束したんと違うん?…………一人で顔もしらん奴と会うたら絶対危ないって。」
「……ごめんなーひろえちゃん」ノノ子たんは申し訳なさそうにひろえたんを見ました「……うち、もうどないなってもええねん。…ごめんなー」
ひろえたんを残し、ノノ子たんは自転車でスーパー前を立ちました。
頭の中では、いろんな考えが渦巻いていました。ひろえたんは本気であたしを心配してくれてんねんやろか?あたしが新しい“活動”相手を見つけたから、ただ単にやっかんでいるだけちゃうの?でもひろえたんの言うとおり、一人で知らん男に会うのは危ないなあ……でも、家には帰れへんし。ほんまに、うち、どうなってもええねん。確かに今日の夕方、恐い思いをしたけど、ついてなかっただけや。気が付くと、ノノ子たんの自転車はJR吹田駅前に着いていました。
<つづく>
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