無き世界に In a World Without Love
〜中国自動車道中1少女手錠放置死事件〜

第三章「ロスト・ハイウェイ」

妄想:西田三郎

■2005/05/09 (月) 愛無き世界に(第三章) 〜ロスト・ハイウェイ〜60

「ロスト・ハイウェイ-20」


※この物語は、実話をもとにしたフィクションです。9割8分くらいまでが妄想です。

 自転車でお友だちの待つダイエーへ走りながら、ノノ子たんは震えが止まりませんでした。
 これまでに“活動電話”であのようなタイプの男と出くわしたことはありません。
 
 ダイエー前につくと、心配そうな顔でひろえたんが駆け寄ってきました。
 「どうしたん、ノノちゃん、えらい早いやん
 信じられませんが、さっき止めるひろえたんを振り切ってダイエー前を足ってから、戻ってくるまでに5分と過ぎていませんでした。
 「…………」ノノ子たんはまだ恐怖で何も言えませんでした。
 「どうしたん、ノノちゃん、何かあったん?」ひろえたんが聞きますが、ノノ子たんはまだ口が利けません「ちょっと、携帯貸して」
 
 ひろえたんの要望に、ノノ子たんは素直に携帯を差し出しました。
 携帯慣れしたひろえたんは、ノノ子たんの携帯の通話記録から、すぐにミスターXの番号を見つけました。ベシャリの立つひろえたんは、さっそくミスターXに電話をします。
 
 「もしもし?」薄気味悪い声の男が電話に出ました。
 「……あんた、誰よ。ノノちゃんに何したんよ」ひろえたんが強い口調で言います。
 「……さっきの子と違うみたいやけど、誰?友達??」
 「……誰でもええやろ。あんた、ノノちゃんに何したんよ」
 「ノノちゃんか……あの子、ノノちゃんって言うんか……」男は電話の向こうで忍び笑いをしました。ひろえたんは背筋が寒くなったのを覚えています「……君でもええけど、10万で朝まで、どや?
 「……調子に乗んなや、この変態!!キショイんじゃ!!」ひろえたんは思わず声を荒げます。
 「……はあ……ノノちゃん……」男は一呼吸置き、言いました「またいつかノノちゃんに会いたいなあああああ……気が変わったら、いつでも電話してくれ、言うといて」
 「死ね!!変態!!
 電話は切れ、ノノ子たんはまだ震えていました。

<つづく>


■2005/05/10 (火) 愛無き世界に(第三章) 〜ロスト・ハイウェイ〜61

「ロスト・ハイウェイ-21」


※この物語は、実話をもとにしたフィクションです。9割8分くらいまでが妄想です。

 散々恐い思いをしたノノ子たんでしたが……落ち着きを取り戻すと、また現実的な考えが帰ってきました。あんな事があって1時間も経っていませんでしたが、それでもやっぱり家には帰りたくありません。家の外にも、家の中にも、ノノ子たんを、殴り、ナデナデして、ハアハア…する狼が存在します。家から逃げ出せば、その狼からも逃れられるとノノ子たんは考えていました。でもそんなことはありません。“活動電話”で知り合う男たちのほとんどは、すけべえキモいだけのロリコンでしたが、いずれはテル夫さんのような…ミスターXのような男に行き当たります。これまでは運が良かっただけ。それに、男に直接会うときはいつもひろえたんや、その他のお友だちと一緒でした。ひろえたんの言うように、一人で男に会いにいくのは本当に危険なのでしょう。

 ……しかし……それでも絶対に家に帰りたくありませんでした
 
 確かに、“活動電話”を通して、ミスターXのようなあからさまに危険な男に出くわしてしまう確率はかなり高い。しかし、それは確率の問題です。地雷を踏むかもしれないし、踏まないかも知れない。ナデナデは気持ち悪いけど、殴られるよりはましです。全然知らない赤の他人からナデナデされることは確かに気持ち悪いけれども、それでも実の親父からナデナデされるよりはずっとマシです。
 
 結局、頭の中で量りに掛けてみると、確実にボコボコ、ナデナデされる運命が待っている家よりは、“活動電話”でなんとか家に帰らずに他人にナデナデされているほうが安全です。後者はともすれば殺されてしまう可能性もないではないですが……そこまでノノ子たんは考えることが出来ませんでした。それに、お友だちだって、いつも一緒にノノ子たんと“活動”してくれる訳ではありません。
 
 日が暮れ、暗く鳴る頃には……ノノ子たんはまた、“活動”をはじめていました。
 
<つづく>


■2005/05/11 (水) 愛無き世界に(第三章) 〜ロスト・ハイウェイ〜62

「ロスト・ハイウェイ-22」


※この物語は、実話をもとにしたフィクションです。9割8分くらいまでが妄想です。

 ここは大阪・十三。ライブハウス・ファンダンゴがあることで有名ですが、飲み屋やヘルスやキャバクラ、テレクラが乱立する“おとこの歓楽街”としても有名です。

 さて、その十三にあるテレホンクラブ「りんらんハウス十三店(仮名)」のベニヤで囲まれた栗の花臭い一室に、その男は居ました。

 男の職業は中学校教師……ということに一応なっています。

 電話には着信を報せるランプが点いており、ベルが鳴る鳴らずやの驚異的瞬間に、電話が取れることができます。電話の横にはテレビモニターとビデオデッキ。電話待ちの間、お客様が退屈しないように、思う様エロビを鑑賞できるようにという店の粋なはからいです。当然、その中学教師……精神的疾病により、現在は休職中でしたが……彼はお気にいいりのセーラー服姿の女子校生が手錠などで拘束されて性的搾取を受けるようなハードでヴァイオレントなAVをご満喫でした。
 
 男はこのようにテレクラに通うため、愛車で兵庫県豊岡市からはるばる大坂市内までしょちゅう出かけ、女子からのコール待ちに精を出していました。それ以外は、地元でエロビデオ(女子校生レイープものがフェイバリット)を見倒していました。まあ、そんな男はこの世界に五万と居ります。
 
 その男……九九本ケンも、その一人だった訳です。
 先日は、京都の女子校生にかなり怪しからんことをしたククケンでしたが、途中でバックラレてしまいました。
今日はそういう訳にはいかないぜええええええ、と彼は野望に萌えていました。

<つづく>




NEXT/BACK

TOP