愛無き世界に In a World Without Love
〜中国自動車道中1少女手錠放置死事件〜
第三章「ロスト・ハイウェイ」
妄想:西田三郎■2005/04/29 (金) 愛無き世界に(第三章) 〜ロスト・ハイウェイ〜57
「ロスト・ハイウェイ-17」
※この物語は、実話をもとにしたフィクションです。9割8分くらいまでが妄想です。まあ、その後は各自想像をたくましくしてください。
2001年7月24日。
明け方にリーマン2人組は、JR吹田駅前までノノ子たんとひろえたんを送り、バイバイしました。ひろえたんとノノ子たんは一旦そのまま解散。ほとんどオールに近い夜でしたが、二人とも若すぎるくらいに若かったので全然平気です。ひろえたんはまたブン殴られに家に帰り……ノノ子たんはそのまま徘徊をはじめました。
その間、ノノ子たんはまたテレクラへお電話。この間に数名の男性とおしゃべりをし、そのうちの何人かと直接会う約束をしました。とにかく家に帰りたくないのです。男の人たちは、ノノ子たんが15歳であると嘘をつき、“会うてもええよー”と言うとふたつ返事でオッケーしました。
そりゃそうですね。
そのためにテレクラやツーショットに金を払ってんですから。
その日、夕方16時半くらいに会う約束をした男性がいます。ここではその名前も素性も解明されていませんので、“ミスターX”としておきましょう。
「君はいくつなん?」静かな声で、電話の向こうのミスターXが囁きます。
「15さいー」暢気に答えるノノ子たん。
「2万しかないけど、会うてくれるかなあ?」
「ええよー」
「ほな、JR吹田駅の近くにあるファミレスで会おうか」
「うん、ええよー」
無邪気に電話を切ったノノ子たんでしたが、電話の向こうに居る男がどんな男なのか、想像する知恵も余裕もありませんでした。<つづく>
■2005/05/02 (月) 愛無き世界に(第三章) 〜ロスト・ハイウェイ〜58
「ロスト・ハイウェイ-18」
※この物語は、実話をもとにしたフィクションです。9割8分くらいまでが妄想です。
16時ころ、ノノ子たんは殴られたてのひろえたんを含む6人のお友だちと再び合流。
またダイエーの前をふらついたり、テレクラに電話したり、ノノ子たんとひろえたんが昨日“活動”したリーマンデブヤセコンビがいかにキモかったか、というような話題で盛り上がったりで時間を潰していました。
16時半くらいに、ノノ子たんの携帯がピロロンと鳴ります。
「もしもしー」
「あ、さっき電話で会う約束したもんやけど、今、ファミレスに着いたから」
ミスターXからの着信です。
「あ、ほな待っててー……すぐ行くわ」
チャリに跨るノノ子たんに気づき、ひろえたんが言います。
「ノノちゃん、どこ行くん?」
「あー……男の人に会うてくるわー」
「え?一人で?あかんて。一人で会うたらあぶないよ」
「……大丈夫やってー。ほななー」
「ちょっとノノちゃん?ノノちゃんて!!」
昨夜のご乱交の場において、積極姿勢を見せていたひろえたんに対して、得も言われぬ“引け目”を感じていたノノ子たんは、ひろえたんの忠告も聞かずに、チャリでファミレスに向かいました。
すこしだけ、ひろえたんに勝った気がしているノノ子たんでした。
しかし、ファミレスでノノ子たんを待っていたのは、これまでの“活動”相手とは全く雰囲気の違う男でした。
<つづく>
■2005/05/06 (金) 愛無き世界に(第三章) 〜ロスト・ハイウェイ〜59
「ロスト・ハイウェイ-19」
※この物語は、実話をもとにしたフィクションです。9割8分くらいまでが妄想です。ファミレスのボックス席に、その男は座っていました。痩せて、神経質そう、というのが第一印象です。ノノ子たんが席につくと、その男はニイッと笑い、ノノ子たんの全身をなめ回すように見ました。
「君、15歳や言うたけど、ウソやろ」そういいながら、ミスターXは煙草に火を点けました。
「………」ノノ子たんは否定も肯定もしませんでした。楽しくウソがつける雰囲気ではありませんでした。男の瞼は、ピクピクと神経質に動き、煙草の匂いも男の吐く息も、酷い匂いでした。
「……いくつからこんなことしてんの?」男はあざ笑うように言います。
「………」ノノ子たんは黙ったまま俯きました。何か、背筋が寒くなりました。
「……さっき電話で、2万円、言うたけどな。ほんまは僕、もっと出せるんや。自慢する訳やないけど、いくらでも出せるで。」
「………」
「……今晩から朝まで、10万出す、言うたらどうする?」男はそう言うと、ノノ子たんに顔を近づけました「……10万で、君はどれだけのことさせてくれるんや?」
「……えー……」ヤバい、と思いました。地雷を踏んでしまって身動きがとれなくなった兵士の気分でした「……どれだけってー……」
「10万言うたら、大金やろ。その代わり、僕が好きなことをさせてもらう。条件は、君が絶対イヤやって言うたらあかんっちゅうこっちゃ。途中で帰るとか言い出さんこと。一晩、君が大人しゅう、辛抱強く我慢したら、君に明くる朝10万円あげる……どや??」
ノノ子たんははっとしました。この男とそっくりな男を、ノノ子たんを知っています。……ノノ子たんを殴るときも、ナデナデするときも、同じような顔でギンギンに亢奮している、あの男。今目の前に居るのは、顔こそ違えど同じ種類の人間でした。
「どう?」男が聞きました「どこまでさせてもえらえる??」
ノノ子たんは席を立つと、ダッシュで逃げました。<つづく>
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