愛無き世界に In a World Without Love
〜中国自動車道中1少女手錠放置死事件〜
第三章「ロスト・ハイウェイ」
妄想:西田三郎■2005/04/15 (金) 愛無き世界に(第三章) 〜ロスト・ハイウェイ〜 49
「ロスト・ハイウェイ-7」
※この物語は、実話をもとにしたフィクションです。9割8分くらいまでが妄想です。7月22日、午後。
「なあなあ聞いてー。うち、携帯電話買うてもろたんやんかー」
仲良しの6人のお友だちの中でもとくに仲良しのひろえたんに、ノノ子たんはテル夫さんから貰った携帯を見せびらかせていました。ちなみに、6人のお友だちの中で、携帯を持っていない子は今や少数派で、これでようやくノノ子たんも携帯デビューとあいなった訳です。
ノノ子たんとひろえたんは、お友だちの家で遊びに行きました。
その子のお家にはホームカラオケがあるのですね。
ノノ子たんは歌を歌うのが、とくに浜崎あゆみさんの歌を歌うのが大好きだったので、お友だちを聴衆に、「きょうがとおおてええもおおおおおたのしくてえええええええ」と代熱唱。とにかく携帯をゲットできたことが嬉しかったので、その日は大いにハッスルしました。
いつもならばそのままお友だちと夜遊びに出かけるところですが、3日前に無断外泊してそこから苦渋をいやというほど舐めた矢先のことですので、ノノ子たんはお友だちの誘いに応じず、いやでいやで溜まらないお家へ帰ることにしました。
一人の帰り道、ノノ子たんは思いました。
“……ああ、うっとおしー……むかつくわー……なんかおもろい事ないかなー……なんもないなー……あ、そや。どうせ学校夏休みやし、髪の毛でも染めよっかなー……”
帰り道のダイコクドラッグで染髪液をゲットして、ノノ子たんはそれを、“とりあえず今晩は無断外泊しなかった自分へのプレゼント”としました。
少しだけ、気分がよくなりました。<つづく>
■2005/04/18 (月) 愛無き世界に(第三章) 〜ロスト・ハイウェイ〜50
「ロスト・ハイウェイ-8」
※この物語は、実話をもとにしたフィクションです。9割8分くらいまでが妄想です。
お家にはノノ子たんだけでした。テル夫さんはどこかへ出かけていったらしく不在です。
ノノ子たんはさっそくゴミ袋に穴を開けるとそれをすっかり被り、染髪液で髪を染めはじめました。液をこってりとつけた髪はまるでコールタールのようで、鏡で見ると滑稽です。しかしノノ子たんはいい気分でした。すでに髪を脱色しているお友だちはひろえたんをはじめ何人か居ましたが、自分もその仲間入りができるのです。しかもノノ子たんには、携帯電話があります。とても充実していました。携帯電話のほうは、お父さんのテル夫さんに買ってもらったものでしたが、それだっていわば、自分が躰を張って稼いだものです。なんたって、お父さんは「ご褒美だ」といってそれをくれたのですから。
と、そこに、近所の友達と遊んできた妹のミキたんが帰ってきました。
「ノノちゃん、なにしてんの?」
「髪染めてんねんー」
「……ええなーあたしも染めてえな」
「あんたはまだ早いやろー。小学生なんかやからー」
「ノノちゃんかってさっきまで小学生やったやんかー。あたしも夏休みやし、染めてーなー」
ミキたんがあまり脱・黒髪を求めるので、やさしいお姉さんのノノ子たんは、
「しゃあないなー」
といって、ミキたんにもゴミ袋を被せ、余った染髪液でまだ10歳のミキたんのおかっぱ髪を染めてあげました。ミキたんの髪に液をつけながら、ノノ子たんとミキたんは二人で「きょうがとおおてええもおおおおおたのしくてえええええええ」と歌いました。とても楽しい数時間でした。
そうして姉妹は、お揃いのまっ茶っ茶の髪になったのですね。帰ってきたテル夫さんの怒髪は、二人の髪を見て天を貫きました。
<つづく>
■2005/04/19 (火) 愛無き世界に(第三章) 〜ロスト・ハイウェイ〜51
「ロスト・ハイウェイ-9」
※この物語は、実話をもとにしたフィクションです。9割8分くらいまでが妄想です。
7月23日朝。
ブン殴られたところがまだズキズキと痛むノノ子たんでしたが、携帯の次に迎えた“茶髪デビュー”をひろえたんをはじめとする友人たちに見せたくて外出。これがノノ子たんにとって、最後の外出となりました。
「いやー!ノノちゃん、むっちゃ似合うわー!」とお友だちには大受け。
とはいうもののノノ子たんのお友だちの殆どは茶髪デビューを果たしており、髪の根元のあたり、つまり頭頂部だけがだらしなく黒い髪が覗いている、プッチンプリンのような頭の子も少なくなかったのですが。
さて、髪も染めたし携帯もある。家にはいない限り怖いものなしのノノ子たんは、さっそく活発に「活動電話」をはじめました。一部携帯からはテレクラには繋がりませんので、公衆電話に7人で集ってはそこからフリーダイヤルでテレクラに電話、女性との知的かつ文化的会話に渇望したオッサンたちを散々からかってるだけで楽しいのです。オッサンたちもノノ子たんたちのような若い(というか幼い)女の子たちにからかわれてまんざらでもなさそうです。
声の感じやしゃべり方でマトモそうな奴、かつ気前が良さそうな奴が居れば、自分の携帯番号を教えます。教えるだけで、実際には会わないこともありましたが、あまりにもヒマが有り余っているときは実際に会うこともありました。
「うちら15さいー」
いつもノノ子たんたちが実際に会った男に言う年齢は“15歳”でした。15歳だろうと12歳だろうと犯罪行為には変わりはないのですが、男達は実際に聞いていた年齢より明らかに幼いノノ子たんたちを前にすると、かなりハアハア…するご様子でした。
<つづく>
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