P.T.A. 作:西田三郎 「第9話」 ■MAN & WOMAN
「えっ…コレ…冗談でしょ?」奈緒美は明らかに狼狽している。
「誰も来ないよ」枝松は奈緒美の狼狽を愉しんでいた。「安心しろよ」
「そういう問題じゃなくって…」奈緒美は車から降りようとしない。
枝松は先に車から降りると、助手席側のドアに回り込み、お抱え運転手のような芝居がかった仕草でドアを開けた。奈緒美は動こうとしない。まだ雨が降りしきっていたが、奈緒美が車から出たがらないのはそのせいだけではないようだ。
「…ほら、降りて。奥さん」枝松は奈緒美の顔を覗き込んだ。
奈緒美は困惑していた。そんな表情は、さっき見た功の表情に少し似ているな、と枝松は思った。
「…だって…」奈緒美は躊躇している。枝松の表情に、冗談やおふざけの影を探そうとしているようだ。それは無駄な努力だ、と枝松は思った。こっちは真剣なんだから。
奈緒美が、おずおずと車を降りる。見上げる先には、すっかり雨の色に染め上げられた旧体育館の辛気くさい外観があった。
「たまにはいいだろ?こういうとこでするのも」枝松が奈緒美に顔を近づけて言う。
「…でも…ここ…」
「そーだよ。君の娘と息子が通ってる、学校の敷地内だよ。どうだい?そういうところでしてみるってのも、結構オツだと思うんだけど」
「…」奈緒美は下を向いて黙り込んでしまった。
枝松がその奈緒美の肩を、強く抱き寄せる。ビクッと奈緒美の柔らかい躰が固くなるのを感じた。
「ほら…中に入ろうよ」枝松が奈緒美の耳に口を近づけて、囁く。
「…」奈緒美は下を向いたまま、緊張を解こうともしない。
「…ほら、いつまでもこんなところでグズグズしてたら、誰かに見られちゃうよ?いいの?」
奈緒美はまた、すくみ上がって辺りを見回した。当然、脅しだった。こんなところをこんな時間に通る、生徒や学校関係者は居ない。
「…ほら、行くよ」
枝松は奈緒美の肩を抱き寄せたまま、脚を進めた。ほんの少し奈緒美の足取りに抵抗を感じたが、ほとんど気にならない程度だった。奈緒美も枝松に歩調を合わせている。さらに強く肩を抱くと、奈緒美が少し震え、荒く息づいているのが判った。
興奮していのだ。枝松にはそれが手に取るように判った。
薄暗い倉庫に、奈緒美の背を押しながら入る。
奈緒美の躰がさらに緊張するのが判った。不安そうに倉庫内を見回す奈緒美。かび臭い匂いと、ひんやりとした空気、そして奈緒美の興奮を、枝松は感じ取っていた。ひとりでに血液が下半身に集中する。もう自分を抑えることはできなかった。
奈緒美を滅茶苦茶にしてしまたくて、仕様がなかった。
「あっ!!」いきなり枝松に背を押され、奈緒美は倉庫のコンクリートの壁に、手を付く形で寄りかかった。と、後から枝松が覆い被さってくる。
「あっ…待ってっ…って…んっ!」振り返ろうとした奈緒美の首筋に、枝松の口が吸い付く。
枝松は暴れる奈緒美の躰に手を回し、ワンピースの上から乳房を掴んだ。
「…んっ…ちょっと…あっ」
枝松は夢中で奈緒美の首を吸い、乳房を捏ねる。
奈緒美の汗は、理恵と同じ味がした。そして、功と同じ匂いがした。
この女が、あの姉弟を産んだのだ。そして姉弟はこの母の淫らな遺伝子を受け継いだ。
枝松は右手で奈緒美の乳房を揉みながら、左手を柔らかい肉を乗せた二の腕、脇腹、尻へと這わせた。奈緒美の息づかいが荒くなる。暴れていた躰はだんだん大人しくなり、次第に枝松の愛撫に身を任せ始める。
「…んっ…あっ…んんっ…んっ…」顔を紅潮させ、目を潤ませてゆく奈緒美。
枝松は両手で、奈緒美のワンピースを一気に腰まで持ち上げた。
「…やっ!」奈緒美が片手でワンピースの裾を持ち上げようとする。しかしそれが事務的な抵抗であることは明らかだった。ワンピースを降ろそうとした奈緒美の右手を取り、枝松は既に熱くなった肉棒に、ズボンの上から奈緒美の手を擦り付けた。
「…ああ…」奈緒美の全身から力が抜けていく。いつものことだった。枝松の興奮を知れば知るほど、奈緒美の躰は昂まり、精神は肉欲に犯されていくのだ。「…す…すごい…」
「…ほら…どうだ?…いつもより、すごいだろ?」
「…ばか」奈緒美は恨めしそうに枝松を一瞥し、そのまま顔を背けてきつく目を閉じた。
「…じゃあ、君の方はどうなってるか確かめてやる」
「…んっ…やっ!!」
改めてワンピースの裾を腰まで引き上げる。
薄いベージュのパンティが露わになった。すかさず、前から枝松の手が滑り込む。
「……あ…」湿原をとらえられた奈緒美が、観念したように腰を突き出す。
「…なんだ……すごいじゃないか…いつもより、派手に濡れてるよ」
「…ん…く…」
枝松は溢れ返る奈緒美の蜜のぬめりを、指で愉しんだ。事実、奈緒美のその部分はいつもより多量の蜜を滴らせ、ものすごい熱を帯びていた。下着にまでその滑りは染みだし始めている。
「…あっ…」下着を急に足首まで降ろされ、奈緒美は一瞬腰を引いた。しかし枝松はその腰をがっちりと捉えて、逃がさなかった。
枝松が床に腰を沈め、奈緒美の尻を眺める。
「…や……そんな…恥ずかしいよ…」
枝松は応えなかった。奈緒美の左の尻を見た。理恵と同じ場所にある、小さな黒子。
言うなればそれは、淫らさの烙印だった。そしてこの黒子は、息子の功にもあるのだろうか?
「んはっ…」奈緒美が尻を緊張させる。
突然、枝松が奈緒美の尻に吸い付いた。その黒子の部分に。枝松は舌先を使い、その淫らで愛おしい黒子を転がし、なぶり始めた。
「…ん…あ………あ…ん…」奈緒美の尻がゆっくりと左右にうねった。
奈緒美にしてみれば、せっかく限界まで熱くなっている中心部ではなく、まったく的はずれなところに刺激が加えられているので、はぐらかされ、焦らされている気分だったろう。
まさか枝松が自分の尻にある小さな黒子に…娘と同じ場所にある黒子に、特別の思い入れと劣情を感じているなどとは知るよしもない。
枝松は奈緒美の黒子を執拗に舐め続けた。
「…ん……あ……ねえ…ねえ…どうした……の…よ」途切れ途切れに、奈緒美が言った。その声はさらなる刺激と快楽を待ちわび、1オクターブほど低いものになっている。「……ねえ…」
と、枝松の舌先が奈緒美の尻をするりと滑り、熱く湿った肉にちょん、と触れる。
「うんっ!!」か細い声を上げる奈緒美。
枝松は舌先を肉の間にこじ入れ、盛大な音を立てて奈緒美の蜜を吸った。これまでに味わったことのない、濃い味がした。枝松は理恵のことを思った。理恵の蜜の味を思いだした。
当然、その風味にも共通する部分がある。
「…あっ…んっ……ああっ…くっ……んんっ…」
娘と同じように、か細い声を上げて奈緒美が啼く。まるで枝松の顔に押しつけるように、奈緒美は腰を突き出した。枝松は奈緒美の尻を両手で捉えながら、さらに的確な部分を舌先で捉え、転がした。
「…あああっ……うっ…」奈緒美は思いのほか大きな声を上げている自分に気づいたのか、自分の手の甲を噛んでそれを押し殺した。
舌で散々、奈緒美を弄んだ後、もう後戻りが出来ない状態になっている奈緒美の躰から、枝松は離れた。凄まじい肉の刺激から解放された奈緒美が、ぐったりと倉庫の汚い壁に自分の頬を押しつけている。それでも腰は後に突き出されたままだ。枝松は奈緒美がそのような姿勢でゆっくりと息づくのを、しばらく目で愉しんだ。
「…ねえ……」奈緒美が潤んだ瞳で枝松を見つめる。「…して…入れて…」
枝松はズボンを降ろし、はげしく隆起した肉棒に引っかかっているトランクスを降ろした。
壁に手を付いている奈緒美の腰をぐいっと引き寄せる。
「…ん」枝松の切っ先が奈緒美の裂け目に触れた。奈緒美は身を強ばらせて、その後の快楽を受け入れようとしている。
「生だよ…いいのかい?」枝松は奈緒美の背中にぴったり胸を押しつけ、耳元で囁いた。
「…いいの…今日は…大丈夫だから……」
「いくよ…」
「…………うんっ!!」
枝松が一気に奈緒美を突き上げる。奈緒美は尻をさらに突き出し、枝松の肉棒を根元までくわえ込んだ。奈緒美の粘膜が、いつもより激しく枝松の肉棒を締め上げる。
生で奈緒美としたのは、これが初めてだった。
ゴムの薄皮越しではない、生の濡れた肉に締め上げられ、枝松は思わずそのまま果ててしまいそうになった。
理恵に同じものを突き刺すと、同じように娘はおれのものを締め上げるのだろうか?
枝松は頭のなかでそんなことを考えていた。そうすると、すでに一杯になっている奈緒美の中で、さらに肉棒に血が集まり、大きくなるのを感じた。
「…す……すご…すご…い…」奈緒美が蚊の鳴くような声で言った。
枝松が動き始める。奈緒美は一突きされる度に、大きく身を戦慄かせてそれに応えた。
もはやおさえられない歓喜の声を、奈緒美は自分の手のひらで口を塞いでなんとか物理的にくい止めている。枝松はゆっくり、ゆっくり腰を動かした。その度にかき出された奈緒美の蜜が垂れ、奈緒美の尻と枝松の下半身を濡らした。
枝松は止めどなく溢れてくるその蜜を指ですくい取ると、ヒクヒクと痙攣している奈緒美の肛門に、それを塗り込め始めた。
「……やっ……!……ちょっと……何してんの?」奈緒美が身悶えながら抗議する。
「……こっちを使ったことはないだろ?…試してやるよ」
枝松はそういうと、人差し指の先端を、わずかに奈緒美の肛門に侵入させた。
「いやっ!!」奈緒美の躰が強ばる。肉の壁がさらにきつく、枝松を締め上げる。
「…ほら…力抜いて……」
枝松の囁きに、奈緒美はもうどうしていいか判らない、という風に顔を背け、大人しく力を抜いた。
「…ん……ん……あっ…いや……やっ……うんっ!!」枝松の指が、根元まで奈緒美の肛門に差し入れられた。奈緒美の肛門の内壁の感触を味わうように、指がゆっくりと動き始める。
「…ほら…どうだい?……こっちの方の感じは……」
「……ば……ば……か……んっ!!」
枝松の指が肛門の中で曲げられ、前の穴と肛門を隔てている肉を、内側に押したのだ。
奈緒美は痙攣して、枝松の肉棒をさらに締め上げた。
奈緒美に肉棒をゆっくり出し入れしながら、枝松は奈緒美の肛門のマッサージを続けた。
奈緒美の尻が汗ばんでいくのを感じた。奈緒美の全身が小刻みに震えているのを感じた。
奈緒美は喘ぎながら、尻に与えられた未知の快感に酔っているようだった。かなり筋肉の緊張が解け、肛門の入り口が柔らかくなったところで、枝松は肉棒を前の穴から抜き取った。
「…え………あっ!」枝松の肉棒の先が、奈緒美の肛門の入り口に押し当てられる。
「ほら…力を抜いて……」枝松は明らかにパニックに陥っている奈緒美に囁きかけた。
「……だめっ!!……お願い……お願いだから…そっちは…」
「…何事も経験だよ」枝松は奈緒美から溢れる蜜を肉棒に塗りたくると、奈緒美の左肩を後からしっかり捉え、右手を添えながら慎重に挿入し始めた。
「……や…やだっ……ねえ……ムリ…絶対、ムリだって……」
「…大丈夫、ほら、力を抜けよ」
「……う……ん………は……」初めてとはとても思えない程、奈緒美の尻は枝松の肉棒の侵入をスムーズに受け入れていく。「……ん……はあ…っ」
枝松の肉棒の全てを、奈緒美の肛門が受け入れていた。
前とは比べものにならないくらいの力で、枝松の肉棒が圧迫される。
「………お……おね……お願い……動か…さない…で…」
奈緒美は細い顎を天井に向け、目をしっかり閉じて、初めて与えられた感覚に戸惑っている。
枝松にも動かす余裕は無かった。しかし頭の中では、また邪な考えがよぎる。
功を犯せば、こんな感じなのだろうか?
枝松の頭の中で、奈緒美は功の姿になった。下半身を剥かれ、壁に手を付き、枝松に肛門を犯されている功。
功の内壁が、枝松をきつく圧迫する。そうすれば功のペニスは固くなるだろうか?
いつの間にか枝松の手は奈緒美の前に周り、固くなったペニスを探していた。
当然、そんなものはそこにはない。代わりに濡れそぼった奈緒美の茂みがある。
枝松は肛門に挿入した肉棒をろくに動かせないまま、手で奈緒美の肉の合わせ目を探り、その奥にある快楽中枢を指で転がし始めた。
「いやああっ……!!」学校中に聞こえそうな程、奈緒美が大きな声を出した。
枝松は奈緒美の口をもう片方の手で塞ぐと、さらに指による激しい陵辱を加える。
奈緒美の肛門が、食い千切らんばかりに枝松の肉棒を締め上げる。
奈緒美は白目を剥き、全身をぶるるっと振るわせた。枝松に塞がれた口が、断末魔の悲鳴を上げる。
枝松も限界だった。抜いている余裕もなく、奈緒美の肛門の中に強かに射精していた。
しばらく二人は、言葉を交わすことが出来なかった。
枝松は、力を失った肉棒を奈緒美から抜くこともすら出来なかった。
二人はそのまま床にしゃがみ込んだ。
ひんやりとしていたはずの倉庫内は、二人の吐息と体温で、むっとするくらい暑苦しくなっていた。
男はその全てを、倉庫の明かり取りの窓から見ていた。
尻を舐められる奈緒美を、奈緒美の脚の間に顔を埋める枝松を、1度目の前の穴への挿入で息を殺して喘ぐ奈緒美を、そして奈緒美の肛門を犯し、果てる枝松を。
何枚か写真を撮った。あらかじめ仕掛けて置いた盗聴器で、音声も録音した。
いつものようにそうしていると、普段は使い物にならず、単なる排尿機器と化していた自分の性器が、激しく固くなった。ズボンの中でそれが窮屈に出口を探しているのを感じた。
男は床にへたりこんだままの二人を眺めていた。
ズボンの中の昂まりは収まりそうにもなかったが、長居は無用である。
男はカメラを仕舞うと、脚立から降り、旧体育館を後にした。
まだ雨が降り続いており、男の雨合羽にパラパラと音を立てる。
<つづく>NEXT/BACK TOP