ほんとうにお願いします 作:西田三郎

■開始



 河底さんの背中にぴったりと張り付く。後ろから覆い被さるようにして、流しにサラダの皿を置いた。河底さんは、気のない素振りで皿を洗い続けていた。
 河底さんの髪に鼻を突けた。香水と同じく、柑橘系の香りがする。
 「ちょっと、今、洗てるんやから…」河底さんが言う。
 おれは気にせず首筋に唇をつけた。
 「はっ…」河底さんがくにゃりと身をよじった。「ちょっと、なあ…」
 「もう、辛抱たまりませんわ。河底さん」おれはそう言うと、痛いくらいに出っぱっている自分の下腹を河底さんの尻に押しつけた。柔らかい尻に、固くなった陰茎が突き刺さるようだった。
 「あっ」河底さんが一瞬腰を引く。おれはさらにこすりつけるように股間を押しつけた。
 「もう、こんなんですわ。おれ」
 「ちょっと、待ってよ…洗いもの、終わってから…」河底さんの言葉がとぎれとぎれに鳴り、息づかいがみるみるうちに荒くなってきた。横顔を見る。化粧気のない頬が紅潮しているのが見えた。
 おれはセーターの上から河底さんの胸を握った。
 「やっ…」尻とは比べ物にならない柔らかさだった。おれはそれを上へこね上げた。「んんっ…」
 「いいでしょ。もう」おれは自分の声が上擦っていることに気づいた。「しましょう
 「ちょっと…手、まだ泡だらけやし」
 「いいですよ、そんなん」
 盛大に音を立てて河底さんの首筋に吸い付くと、セーターの首もとから手を突っ込み、左乳を掴みだした。白いレースのブラジャーに包まれた胸が伸びたセーターの首にひっかかっている。噂には聞いていたが、とんでもなく大きな乳だった。
 「あかんて…セーター伸びるやん…」河底さんが弱々しい声で言った。
 おれは無視して露出した胸をブラジャーの上から掴み、何とかブラジャーを上に上げようとしたが、ワイヤーが固くてどうにもならない。右手で胸を揉みながら、左手で河底さんの肩を前に押す。
 「あっ」
 河底さんが流しの縁に泡にまみれた手をついた。
 後ろに突き出した尻がさらにおれの突っ張ったズボン前に押しつけられる。おれは胸を揉む手を休め、セーターの背中をまくり上げた。
 白い背中と、股上の浅いジーンズの上からはみ出した黒い下着。そして2段目のホックで止まっているブラジャーが見えた。すかさず外そうとしたが、くねくねと躰が動くので上手く外れない。
 「じっとしててください」
 「なあ…あかんて、こんな…こんなとこで」
 河底さんが顔の半分をおれに向けた。髪が顔を半分隠していた。上気した頬に、ぽかんと開いた口。薄く開いた目から、粘っこい視線でおれを見る。
 おれはその時、この後河底さんをバックで攻めることに決めた。
 苦心の末、ホックが勢いよく外れた外れた。河底さんの肩を引っ張って立たせると、セーターとブラジャーを一緒に捲り上げた。ぷるんと両方の胸がまろび出た
 「ちょっと…」
 河底さんが胸を隠そうとする。食器洗いの泡が盛大に胸についた。おれはその手を払いのけると、食器洗いの泡を塗りたくるように、河底さんの胸を両手で思うがままに揉み、こねた。
 何度もいうが、大きな胸だった。尻と同じく、逆さにした梨の形をしている。乳輪は重いのほか小さく、中央の乳頭はすでに固くなっていた。河底さんの大きな乳房は流しの蛍光灯に照らされて、この世のものとは思えぬほど白く輝いていた。
 「あっ…んっ…」
 首筋を吸いながら、存分に両胸を揉み上げた。河底さんはすっかり臨戦モードに入ったようで、眉間にしわを寄せて固く目を閉じ、おれが両乳房にあたえる刺激に酔いしれている様子だった。
 固く口を結んでいるが、ときどき吐き出される荒い息が声になる。
 思ったより、子供っぽい声だった。
 それにしても、尻がよく動くこと。
 まるでベリーダンサーである。意識してつけているとしか思えないリズムで踊る尻が、容赦なくおれのズボン前に押しつけられてくる。
 噂どおり、とんでもない売女だった。
 「気持ちいいですか」思わずくだらないことを聞いた。「乳首立ってますけど」
 「あほ…」河底さんが吐息まじりに答えた。「あっ…」
 おれが両乳首をつまみ上げたので、河底さんの顎が天井に向けて跳ね上がった。
 泡ですべりの良くなった指の腹で、固くとがった乳首を転がす。
 「んっ…ふ…んんっ…あっ…」
 必死で河底さんは声を堪えている。頭を左右に振り、背中を小刻みに振るわせている。
 腰は相変わらず派手に左右にくねっていた。右と左の尻の肉が、尻の溝が、そしてその全体が、縦横無尽におれのズボン前で踊り狂う。その動きにおれはますます高められ、いつの間にか腰を引いていた。全くとんでもないアマだ!どう考えても意識的にやっているとしか思えない。いつもこの調子なんだろうか?おれは負けじと河底さんの乳首を弄り続けたが、いつの間にかその手を止めていた。首筋を舐めることなど、とうの前に忘れていた。
 河底さんはあえぎ、悶えながら、さらに追いかけるように尻を突き出した。
 ちょっと待てよ!どういうつもりだ!
 おれは河底さんの両尻肉をジーンズの上から掴んだ。愛撫するためではない。このいまいましい動きを止めるためだ。しかし、両手で押さえても河底さんの尻の動きは収まらなかった。今や河底さんは流しの縁を掴んだ格好で両手を一杯に伸ばし、躰全体を延ばせるだけ後ろに延ばして尻を突き出している。つまりおれがそのぶん後じさっていたのだ。
 おれは耐えきれなくなり、さらに一歩後じさろうとした。しかし、一瞬、ほんの一瞬遅かった。
 「ああ…チクショウ!
 おれは思わず叫んだ。その時にはもう、パンツの中にしたたかに射精していた。

 
 

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