ハードコアな夜
作:西田三郎

「第10話」

■“どうだい、見せつけられる気分は”と警官は言った。

 「…い…いやあっ
 その後のことは……多分一生忘れることはできないだろう。
 “奥さん”は再び全裸に剥かれて警官の膝に乗せられ、後ろから両の乳房を弄ばれていた。警官はおれに見せつけるように……何かを絞り出すかのように“奥さん”の張りのあるおっぱいをねちっこく攻めている。“奥さん”は後ろ手に手錠をされていた。それは警官が持ってきたものだった。そのような警察の備品は、我々国民の血税によって製造され、執行官に貸与されている……が、そんなことは今はどうでもいい
 「……む………ぐ…どうなんだよ?……ええ?こんなふうに舐められたのかよ?…それでいっちゃたのかよ……なあ、びちょびちょだよ。アイツとおれの舌と、どっちがいいんだよ?
 ダンナさんはおれの方にケツの穴玉袋の裏を見せて、大きく開かれた“奥さん”の脚の間に顔を突っ込んでいた。
 「……い……や……」“奥さん”は顔を背けて、その烈しい感覚に耐えている。
 背けてガードが甘くなった首筋に、ゲスお巡りが吸い付つく。そしてお巡りはあからさまに両方の乳首を指で挟み、刺激しはじめた。
 「……はあ、いいですねえ。この白い肌。たまりませんよ、“奥さん”。でも“奥さん”、ほんとに淫乱なんですねえ……さっき2回もいっちゃったらしいじゃないですか。でもこんなに乳首硬くして感じてるなんて……まだまだ足りないって感じですか?」
 「……や、めて………いや………あっ……ああっ」
 警官の言葉による辱めは陰湿きわまりなく、粘性があって、彼のドブネズミのような人間性が如実に物語っているようだった。そんな淫らな言葉を掛けられながら胸と首筋をお巡りに、そしてクリトリスをダンナさんに攻められて身もだえしている“奥さん”を見ていると……自分でも信じられないのだが、おれはまた勃起しはじめていた。まったく、暢気なもんだな、と我ながら呆れた。
 
 「……は、あ……あ、あああっ…………い……………や…………んんっ!!」
 “奥さん”ががくがくと上半身を振るわせて、のけぞった
 「……やっとイッたか。この淫売め」“奥さん”の股間から顔を上げたダンナさんが、言い放つ。
 「……あ……ああ……」ぐったりと弛緩する“奥さん”。
 お巡りはその首筋にさらに吸い付きながら、なおも“奥さん”の胸をもみ上げていたが…その痙攣が収まるのを見定めてから、“奥さん”の後ろ手錠を鍵を使って外した。
 「……はあ、“奥さん”、あんたイきやすいんですねえ。こりゃ、たまんないですよ」
 「……どうします?」ダンナさんがお巡りに聞く。「、先に行きます?それとも?」
 「……へ?」警官は言った「いいんですか、わたしが下の方、先に頂いても
 「……構いませんよ」ダンナさんは言った「誰だろうといいんですよ、この淫売は。そのことが判ってないらしいから、お巡りさん、先に下行っちゃってください
 「……そ、そんな」“奥さん”が怯えた目でダンナさんを見上げる。
 ダンナさんはそれを無視して、ズボンを降ろした。そして、床に散らばっていたコンドームの箱を取り上げ、おれに言った。
 「なあ、君、これひとつもらうよ
 お巡りは無線機や拳銃や警棒なんかがごちゃごちゃついたベルトを外すと、自分もズボンを降ろした。信じられないほど硬直してまっすぐ上を向いている警官の肉棒が目に飛び込んできた。頭にはまだ警帽を被って下半身をむき出しにしている姿は滑稽というか……悪夢そのものだった。
 ダンナさんが“奥さん”の前に、お巡りが“奥さん”の後ろに……つまりおれにケツを向けて……回り込んだ。
 「…ほら、さっきみたいに四つん這いになれよ」ダンナさんが言う。
 「……やめて………お、お願い……こんなの……」“奥さん”が縋るように言う。
 「ほら、“奥さん”、ダンナさんの言うこと聞かないと」
 お巡りはそういうと、“奥さん”を前に突き飛ばし、ベッドの上に這わせた
 「よいしょっと」そして腰を持ち上げ、尻を突き出させる
 「いやあっ!」“奥さん”の腰が踊った。
 「ほれ
 「うっ」
 多分いきなり奧まで……お巡りは“奥さん”にぶち込んだ。そしてそのまま“奥さん”の上半身がベッドに崩れ落ちるまで…動こうとしなかった。
 「……は……あ……」
 ベッドに顔を埋めた“奥さん”の顔を、ダンナさんが持ち上げる。
 「……どうだ、お巡りさんのは?アイツと、あのシラミ野郎とどっちがいい?おれとどっちがいい?」
 「……い……や……」
 「どうですか、お巡りさん、うちの女房の具合は?」ダンナさんがお巡りに声を掛ける。
 「……さ、最高ですよ。こ、こりゃ…たまらん、すごい、すごいですよ、“奥さん”こんなに熱くなって…ぎりぎり締めて
 「いやあ……」そう言いながら“奥さん”の尻はゆっくりと前後に動き始めていた。
 「やっぱりな。おまえはどうしようもない淫売だよ」と、冷たく言い放つダンナさん「舐めろ
 「……ん………」ダンナさんにあごを掴まれ、“奥さん”は唇にご主人の肉棒を頬張ることになった。「む、むぐ……」
 「……“奥さん”、いきますよ」とお巡り。
 お巡りが烈しく、動きはじめた。独特のリズムをつけて、強烈に。はあ…とおれは思った。なるほどな、いろいろなセックスのやりかたがあるもんだ。あんな腰の動かし方は、とてもおれには思いつかない。抜いては差込み、左右に揺らしてはまた抜き、“奥さん”の尻をほうをぐるぐると回させると、また一気に深く突っ込む。まったく次の動きが予想できない。
 「……むっ………ぐっ…………うっ………あ、は………やっ」
 耐えきれなくなって吐き出した“奥さん”の口に、改めてダンナさんが陰茎を差し込む。
 お巡りのけつと玉袋が異様なダンスを踊り、その向こうに粘液でぬらぬらと光っている“奥さん”の太股が見える……凄絶な眺めだった。当然おれは、烈しく勃起した
 「どうだい。見せつけられる気分ってのは??」警官がおれを振り返って言った。
 確かに、悪いもんじゃない…おれはそう思った。
 そのまま二人は“奥さん”を攻め続けた。前に後ろに、入れ替わりながら。
 
 ……どれくらいそうしてただろうか。
 全てが終わって、部屋が静まり返った。
 “奥さん”、ダンナさん、警官の3人はぐったりと折り重なるように倒れ、ぜえぜえ息を吐いている。
 おれは未だ収まらない勃起をどうすることもできず、ただただ呆然としてきた。
 
 するとだしぬけに……部屋に第5の人物が入ってきた。

 高級そうなガウンを着た、よぼよぼの老人だった。
 これだけ信じられないことが続いたんだ。もうこれ以上何が起こっても不思議ではない
 老人は部屋の隅の観葉植物の影から、ビデオカメラを取り出した。老人がゆっくりと部屋を見回す……その視線は、やがておれを、とりわけ、ゴムの中でギリギリにテンパッているおれの陰茎を捉えた。
 おぞましいほど、醜悪なじじいだった。横山ノックがミイラになったら、こんな感じだろう。
 
 「素晴らしい……!!!……いや、ほんとに………!!最高だったよ!!
 
 「あ…」“奥さん”がまず、躰を起こした「……こんなので、いいんですか?
 「パーフェクトだよ!まさに、これこそエンターテイメントだ!!」
 「…随分お気に召されたようで」今度は警官が身を起こして、ダンナさんが起きるのを助けた。
 「……最高だ!!ほんとに最高だ!!すばらしい作品になったよ!!」
 
 「……作品?」おれは床に転がったまま言った「……どういうことか、説明していただけませんか?」
 おれに知る権利は充分あるだろう。

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