どちらへお掛けですか
 
作:西田三郎


■金曜の夜、午後10時50分

 「ねえ、先、お風呂に入ろうよお…」部屋に入るなり抱きついてきたおれに、薫がくすぐったそうに言う「ねえったら。ちょっと待ってよ。ねえ……」
 おれは耳を貸さずにポニーテールにした薫の髪の匂いを嗅ぎ、首筋にキスをした。
 「……んっ」薫が敏感に反応する。「待って……あっ」

 紺のブレザーを剥ぐように脱がせて、ブラウスの上から乳房を鷲掴みにする。見た目にもすごい乳だったが、手にしてみると想像以上に素晴らしかった。よく肉が詰まって、張りつめている。想像とは随分違っていたが、それはそれとして、おれはその感触を思う存分愉しんだ。

 「やっだ……ん……ちょっと……待って」
 プリーツスカートのホックを探すおれの手を、薫は払いのけようとする。おれは負けじと夢中でホックを探す。何としてでも、薫を今すぐ全裸に剥いてしまい たかった。ホックが見つかり、外した。ジッパーに手を掛けたおれの手を、なおも薫の手が振りほどこうとする。
 「だめっ………やだ……破れるよ」薫が耳を真っ赤にして言う「破れたら、どうすんのよ
 「弁償するよ」おれは言った。
 しかしスカートは破損することなく、ふわりと薫の足下に落ちた。
 薫の下半身は、薄いグリーンのパンツと、白い靴下だけとなる。
 「やだ……」
 薫が恥じらうように太股をすり合わせる。白くて充実した太股だった。豊かな曲線を描く、腰のライン。薫は背が高く、脚が長いので、パンツに包まれた柔ら かすぎず固すぎずのいい尻が、ちょうどおれの怒張したズボンの前を擦る。 おれは襟元から、薫のブラウスのボタンを外し始めた。
 「……ちょっと……ねえ、ね、待って……待ってったら」すでに開かれた第3ボタンまでの襟元を、塞ごうとする。「ね、タイムタイムタイム。脱ぐから……ね、自分で脱ぐから
 「だめだ」おれは薫の耳元で囁くと、胸もとを直そうとする薫の手首を取って、後ろにねじった。
 「いたっ…ねえ、ちょっと乱暴なのやだ……」薫が怯えた声で言う。
 「ほら」おれはそのまま薫の手を、怒張するズボン前に擦り付けた。
 「……あっ」と、薫ははっとした顔でおれのズボン前を肩越しに見下ろす。

 その隙におれはブラウスのボタンを全部外して、薫の肩から抜き取った。パンツとセットの薄いグリーンのブラジャーに、豊かな胸が押しつぶされていた。少しカップがきついようだ。下着が、絶頂期を迎える薫の肉体に追いついていない。

 「ねえ……待って……待ってったら……お風呂に……あっ
 おれがブラのホックを外したのだ。
 弾けるように豊かな乳房が躍り出る。
 ブラウスと同様に、ブラジャーも抜き取った。
 パンツと靴下だけになった薫を、円形のベッドの上に突き飛ばした。薫は尻をこっちに向ける格好で、前のめりに倒れた。が、すぐ起きあがって横座りの姿勢になり、ベッドに向かわんとするおれを、怯えと亢奮の入り交じった目で見つめる。
  「待って……乱暴なのは、ヤダ」薫が言った「……ほんっとに、やだ」
  「乱暴なんてしないよ。ほら、今すぐ全部脱がしてあげるから」
  「…え…そんな」薫が困惑した目でおれを見る。
 
 やはり、それほど頭の回転がいいほうではないようだ。想像とは随分違った。それは仕方がない。仕方がないと思いながらも、おれは亢奮の中で薫のそんな仕草の一部始終頭の中に記録していった。
 しかし記憶なんて、手のひらですくい取る水のようなもので、どんどん隙間をすりぬけて、流れていく。
 ズボンを降ろしながら近寄ると、薫は横座りのままベッドの上を後ずさった。
 おれは薫の右足首を掴み、その靴下を脱がせた。
 左の靴下は、そのままにした。

 「やあっ…えっ」今度はおれの手が薫のパンツに掛かったのだ。その手を薫が上から押さえる「だめ…お願い。待って。お風呂入ってから…ねえ…」
 「駄目だよ。もう辛抱できないよ」
 おれはそう言って、薫の手をほどいた。しかし薫は下に向かって引っ張られるパンツを、必死で上げようとしている。
 「でもっ……あの……やだ、こんな明るいの……せめて、暗くして」
 「駄目だって」
 何を贅沢言っていやがる。
 「あっ」おれの手がとうとう薫のパンツを引き下ろした。
 素早く足首からパンツを抜くと、床に投げ捨てた。
 「やだ……もうっ!」

 見下ろせば、16歳にしては熟れすぎのその肉体が、ベッドに“どうぞ”とばかりに横たわっている。薫は 両掌を自分の顔に当てて、目を隠していた。そして、その肘で、豊かな乳房の頂上部分を隠している。核心が見えないが故に、肘で押しつぶされた両乳房の肉の 質感は、このうえなくいかがわしいものに映った。乳房をはじめとして、全身の肌がとても白かった。肉付きのよい長身の躰は健康的そのものだったが、逆にそ の肌の色は痛々しいまでに白く、透き通っている。少し柔らかそうな腹の中央にお行儀良くついた、愛らしい縦型のへそ。これは想像していたとおりだった。そ の恥ずかしげな穴からずっと視線を降ろすと、茂みがある。想像していたよりその部分は黒々としていたが、真っ白な全身の鮮明なアクセントとなるその部分 は、部屋の灯りを美しく反射していた。それが薫の奥底に潜む、淫靡さを物語っているようだった。

 「ねえ……もう……」薫が目を隠したまま言う「もう……ジューブン見たでしょ。もう……電気消して」
 またしても聞く耳持たず、自分のパンツを降ろした。
 反り返った肉棒が、天井を向いている。先は既に潤んでいた。
 「ねえ……」おれが荒い息とともに言う「……舐めてよ
 「えっ」薫が左目に当てていた掌をずらして、怖々おれを見上げる。すぐに視線が、おれの肉棒を捉えて丸くなった「……やだ……ヤバくなってる」
 「舐めてくれよ」おれは言った「なあ、頼むよ」
 おれはまだ顔に止まっていた薫の左手首を奪って、肉棒を握らせた。
 「はっ」薫の手に抵抗は無かった。掌に感じる熱と脈に、言葉を失っている様子だ。
 「……ほら、薫。君のせいでこうなったんだよ」
 「……」
 薫は観念したのか、ゆっくりと起きあがって、髪をまとめているゴムを外そうとした。
 「待って」おれがそれを制する「そのまま、外さずに」

 薫は怪訝そうな顔をしながら、シーツの上を這うようにして、おれの足下ににじり寄った。そして、ベッドの上で直立しているおれの腰まで這い上がる。白く 肉付きのよい躰が動く度に、その肉のひとつひとつの動きが部屋の灯りに鮮明に照らされて見て取れる。何となく液体を思わせる薫の裸身が、おれの真下にあった。白い尻をシーツにつけて…薫は改めておれの肉棒を握った。
 「すっごい……」薫が声を出す「びんびにになってるかんじが、すっごくエッチ
 「……舐めて」

 薫は目を閉じて……すばらしく愛らしい表情だった……おれの肉棒を先端から深く、口に含んだ。
 柔らかく、暖かい粘膜の感触。おれは一瞬、気が遠くなりかけた。しかしぼーっとしている暇はなかった。薫の下が大胆に……意外なほど大胆に動き始めてからは、おれはその技巧に完全に征服された。

 薫は上手かった。
 滅茶苦茶に上手かった。

 肉茎の側面を甘噛みしながら、袋を右手の平で転がす。亀頭をちゅっと音を立てて吸いながら、唾液で濡れた側面を指で扱く。かと思えばいきなり根元まで飲 み込んで…ゆっくり、実にゆっくりした動作で先端までを下と唇の両方で擽りながらなで上げる。…そうした動作のひとつひとつが、熟練と技巧を感じさせた。 この鈍そうなルックスのどこに、そんな淫らな才能が息づいていたのだろうか…おれは首を傾げた。そう、健康的で愚鈍そうなルックスには、あってはならない 口の使い方だった。

 「ん……ふ……むっ……ふん……ん」
 時折、薫の口から漏れる鼻息混じりの声。
 おれは上半身をかがめて、薫の首のところから手を回し、片方の乳房を掴んだ。
 「……んっ」薫が肉棒から口を放して、憎らしげにおれを見上げる「……大人しくしててよ」
 「ごめん」おれは胸を触るのを諦めた。

 遂に薫は、その天性の才能でおれの絶頂が近いことを悟った様子で…頭全体を使っておれの肉棒を唇で扱き始めた。まったく、おれは最初、肉棒を口に含ませてあれこれと指示を与えるつもりだったが…その必要は全く無かったといっていい。チュバッチュバッと派手な音を立てて肉棒を吸い上げる薫の激しい刺激に…おれはあっという間に追いつめられていった。

 「イきそう?」薫が言った「イくとき、言ってね
 「ああ」おれは上の空で返事をしたが、その直後にフェイントで射精感が襲ってきた「ああっ
 「ほら、イって」
 薫がおれの肉棒の角度を調整し、おれの精液をかぶることを回避した。
 そうすると、何とまあ…我ながら呆れるくらいに勢いのよいスペルマの固まりが、まるでブーメランのような形でベッドの上を舞ったではないか。さらに、そのまま旋回して戻ってくるのではないかと思うほど、その勢いは激しかった。

 おれはベッドの上にへたり込んだ。目の前に薫の垂れ目があった。
 「気持ち良かった?」悪戯っぽく薫が聞く。
 おれの薫はこんなんじゃない、と思ったが、おれは幸せだった。
 おれは薫に軽くキスをした。そして耳元で囁く。
 「横になって…」耳にもキスをした「このお返しをするから」
 薫は膝を立てて、素直にベッドに横たわった。
 

 
 

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