駄目なあたし 作:西田三郎
■思い出の品「どうだよ…今の彼氏はこんなにしてくれるかよ?」男があたしの股間から顔を離していう。
まだスキーマスクをつけたままで、唇にあたしの陰毛が1本ついていた。
あたしは既に1回イかされていたので、抵抗する気はすっかり失せ、ベッドの上でぐったりしていた。
というか、もう無理矢理ヤられたって事でヤられちゃってもいいかな、と思い始めていた。
でも、わざと憎まれ口を効いてみることにした。
「…するわけ…ないでしょ…こんなヘンタイみたいな汚らしいこと…」
「へえ、そのわりにはしっかり悦んでたじゃねえか。このインラン女。こういうのが好きなんだろうが」男が尻ポケットから何かを取りだした。「ほら、懐かしいか?」
男の手にあったのは、バイブだった。
そう、この男とつきあっていた頃、毎度のように使っていたあのバイブだった。
男がバイブのスイッチを入れる。バイブが小刻みに振動しはじめた。
あたしの脚の間に、それを入れられた時の感覚がはっきりと蘇ってきた。
「や…やめて」あたしは言った。半分本気で、半分ウソだった。
今あれを入れられると、自分がどうなってしまうのかわからなくて怖かったのだ。
「…何がやめてだよ。コレが大好きなんだろ?え?」男はすっかりレイプ魔モードに入っているらしく、振動するバイブをあたしの頬に押しつけてきた。あたしは顔を背けたが、その動きを頬に感じて、躰がはっきりと痺れるのを感じた。
あたしは今、手錠を填められて、服を剥かれて、舌で1回イかされた上、顔にバイブを押し当てられている。
そんなことを思うと、どうしようもなく興奮してきて、鼻息が荒くなるのがわかった。
「…ほれ、まさか今の彼氏はこんなことしてくんねーだろ?こんなの使ってくんねーだろーが?」
「ん…」
男はバイブの先をあたしの唇に押し当てた。
「や…」
男がゆっくりとバイブの先であたしの躰をなぞる。唇から、胸の間をゆっくりとくぐり、おへその上を経て、びちょびちょになって躰の中でもっとも熱くなっているその部分に向かって降りてくる。
あたしは身悶えして、快感を待ちわびていた。
男はこんなやり方が好きで、あたしはあたしでこんなのが好きだったのだ。
なんでこの男とつきあっていたのかは、今この瞬間まで忘れていた。
でも多分、お互いこんなことが好きなところが合っていたんだろう。
あたしたちには二人でデートしたり、映画に行ったり、旅行にしたりした思い出はひとつもない。この散らかりきった部屋で、手錠を使ったり、こんな風にバイブを使ったりして、いやらしいことをしていた思い出しかない。それがあたしと、この男との思いでの全てだった。それがあたしたちがつき合っていた理由であり、逆にそればっかりだったことが別れた理由だった。
男がバイブの先をあたしの入り口の前にい押しつけたまま、わざと手を止める。
「ほれ…どうして欲しい?」
「…ん…」あたしの腰はもう円を描くように動いていた。
「…懐かしいか、このインランめ」男がさらに言葉であたしを嬲る。
男はバイブの先であたしからあふれ出していた液をすくい取って、あたしの目の前に翳した。
「ほら、もうこんなになってんだよ。ほら、欲しいって言えよ」
「…い…や…」あたしは顔を背ける。「だ……誰がいまさら…あんたなんかと…」
「しょーがねえなあ…」
「んんっ!!」男がバイブをまたあたしの入り口に押し当てる。
「ほれ」
「んあっっっっ!!」一気にバイブが挿入された。
本当に懐かしい感覚だった。
腰が馬鹿みたいに動いた。
半年もこういうことをしていないと、こんなにも感じるものなのか。あたしはマンション中に聞こえそうな喘ぎ声を上げていた。それにはさすがに男も焦ったのか、大慌てであたしの口を塞いだ。
あたしはその指を噛んでいた。
めちゃくちゃに感じて、もう訳がわからなくなっていた。
男がはげしくバイブを動かす。
「…こうか?」
「…そう」
「…ほれ、こうか?」
「そうして!」
「いいか?」
「いい!」
「もっとか?」
「もっと!」
あたしは死ぬほど声を上げて悶えた。
まあ、ややこしいことは後で考えることにした。
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