駄目なあたし 作:西田三郎
■何考えてんだ
「…あんたとはもう何の関係もないじゃない!ちょっと、いい加減にしてよ!」あたしは後ろ手錠されたまま、ベッドの上で男に言った。「あんたのやってること、コレ、犯罪だよ!判ってんの?」
起きあがろうとすると、またベッドに押し倒された。
相変わらず、男は一言も口を効かない。
「何しに来たのよ…ねえ、今更何しに来たのよ!」あたしは大声で叫んだ。「ねえ、何かいいなさいよ!」
「…半年もしてないんだよ」あたしに覆い被さったまま、初めて男が口を効いた。「…別れてから、半年間、一度もしてないんだよ」
「はあ?」あたしは完全に頭に来た「知ったことか!」
「…頼むよ。させてくれよ」男が言う。「したくてしたくてたまんないんだよ」
「どっか、ソープでも行きなさいよ!」
「…違うよ、お前としたいんだよ」男が言う。「おれは、お前としたいんだよ」
「あたしはしたくないわよ!」
「なあ、頼むよ、させてくれって」男が言いながらあたしのスカートのホックを外した。
「ちょっと!やめてよ!」あたしは腰を振ってもがいたけど、あっという間にチャックを下ろされ、そのままスカートを引き抜かれた。
「…お前、新しい彼氏できたの?」男が覆面のまま言う。
「関係ないでしょ!」
「…出来てねーだろ、どう見ても」男があたしの部屋を見回して言う。
あたしの部屋はめちゃくちゃに散らかっている。
床は脱ぎっぱなしの服で覆われ、テーブルにはコンビニで買った弁当の入れ物やスナック菓子の袋がうず高く積もっている。流しは洗ってない皿で一杯になっている。
明日こそ、掃除しようと思っていたところだった。
しかし、今はそんなことはどうでもいい。
「…関係ないでしょ!男くらい居るわよ!」
「…ウソつくなって。そんなわけねーよ、この部屋見ると」
「…いるわよ!男くらい!」
「ウソつくなよ。見栄張るなって」
「あんたと違ってちゃんとした社会人よ!」あたしは叫んだ「ちゃんと働いてんのよ!」
その一言で男はキレた。
あたしのブラウスの前を掴むと、そのまま左右に開いた。ボタンが千切れて、あちこちに飛んだ。
「…ちょっと!やめてよ!弁償してよ!」
「…弁償くらいしてやるよ!」男は荒々しい手つきで、あたしのブラを上にたくし上げた。「…相変わらず、とんでもねー乳してやがるなあ!」
「…やめてったら!」
「…その勤め人の彼氏とはヤッてんのかよ!ええ?この乳揉ませてんのかよ!」男はそう言いながらあたしのおっぱいを両手でめちゃくちゃに揉んだ。すこし痛かったが、男に昔同じようにされたことを思い出した。信じられないけど、少し興奮してきた。
「…どうなんだよ?その彼氏はヤってくれるのかよ?こうしうてヤッてくれんのかよ?」
「…ヤッてるわよ!」売り言葉に買い言葉だった。「ヤッてヤッてヤりまくってるわよ!」
「ちきしょう!」男はあたしのパンツに手を掛けると、そのまま一気に下に引き下ろした。
「やっ!」おとこがあたしの両膝を掴んで、左右に開いた。「それ、やめて!」
「…ちきしょう、その彼氏は、これ、してくれんのかよ?おれみたいにこんなことしてくれんのかよ!」
「やだっ!」男があたしの股間に顔を埋めた。
男とつきあっている時は、セックスの度にこんな風に舐められた。
全てにおいて気力に欠ける男だったが、仕事は実に丁寧だった。
男の舐めはいつもしつこいくらいで、あたしはその度に何度もイかされた。
あたしは無意識のうちに、腰を浮かせていた。
「んんんっっ…………くうっ!」
男の舌が動き始めて、6ヶ月前と同じ感覚が押し寄せてきた。
思わず目の前が白くなった。湿った音が聞こえてきた。男はさらに口を押しつけて、もっと正確にあたしのクリトリスを狙ってきた。相変わらずの的確さとしつこさだった。
あたしはひたすら大きな声を出して、いつの間にか太股で男の顔を締め付けていた。
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