バベイオモイド神様が見てる
〜秋〜


作:西田三郎

■2001年9月12日(くもり)

 偉大なるバベイオモイド神様
 
 昨日は凄かったですね!!
 
 夏休みも終わり、まいにちまいにちあのクソつまらない学校にかよわなければいけない日々の中、昨日アメリカで起こった同時多発テロは本当にこうふんしました。
 
 あたしはそのとき、テレビでニュースをずっと見ていました。
 
 ニューヨークの貿易センタービルに飛行機がつっこみ、ばく発するようすはまるで夢のようでした
 2つめの飛行機がビルにつっこんだときは、思わず心の中で
 
 「たーまやー!!!」とさけんでいました。
 
 その後でビルがガラガラとくずれおちましたね。
 たくさんの人が死んだそうです。
 
 そのほかにも飛行機はアメリカの国ぼうそうしょうの近くにも落ちたんですね。
 
 あたしはなんだか、ほんとうにこの世の中が終わるんじゃないかとどきどきしました。そうでなくてもあたしは毎日毎日、世界が終わることばかりをねがっているのです。そんなあたしにしてみれば、ニューヨークのだいさんじの風けいは、まるでいつも見る夢そのものでした。
 家族や友だちをなくして、ぼうぜんとしている人々のすがたもテレビで見ました。
 
 あたしは政じのことはよくわかりませんが、このテロは、アルカイダというテロそしきのオサマ・ビン・ラディンという人がその犯人だというはなしです。オサマ・ビン・ラディンがビデオでえんぜつしているすがたもテレビで見ました。なんだかひんそうな、ひげもじゃのおじいさんです。ほんとうにこの人があんなすごい殺戮(最近漢字を覚えました)の犯人だなんてとてもしんじられません。
 
 いったい何人の人が死んだのでしょう。
 
 テレビによると今のところその人数はどんどんふえていくいっぽうですが、わたしはわくわくしながらその人数がふえていくのをニュースできいています。
 
 ウサマ・ビン・ラディンはアラーという神様のためにこのテロを行ったそうです。
 
 わたしはアラーについてくわしいことはしりませんが、どうしてもこの事件にもバベイオモイド神様がかかわっていらっしゃるように思えてしかたがないのです。
 
 テレビはこのウサマ・ビン・ラディンのアルカイダというそしきが、アメリカと仲が悪いことが理由だといいます。ほんとうにそうなのでしょうか?ウサマ・ビン・ラディンの神様は、ウサマ・ビン・ラディンにひこうきをビルにつっこませてたくさんの人を殺せ、とめいじたのでしょうか?
 
 わたしにはどうもそれはちがうような気がしてなりません。
 
 人間にそんなことをさせるのは、バベイオモイド神様、やはりあなたでしょう?

 パパはアメリカはこれでアフガンという国にしかえしをするだろうなあ、と言いました。
 
 パパから聞いた話によると、アメリカはこのテロのしかえしとして、アフガンという国にたくさんのばくだんを雨みたいにふらせるそうです。つまり、ニューヨークみたいに、アフガンという国はめちゃくちゃになって、またたくさんの人が死ぬのです。
 
 あたしはそれにもまたわくわくしています。
 
 アメリカのブッシュ大とうりょうに、アフガンをこうげきするようにめいれいするのもやっぱりバベオイモイド神様、あなたなのでしょう?
 
 ほんとうにいつも感しゃしています。
 バベイオモイド神様はほんとうにいつも、あたしをたいくつからすくってくれます。
 これからもいろんなことをおこして、あたしをびっくりさせつづけてくださいね!
 
 
 P.S
 さいきん、へんな遊びにこっています。
 こんなことはずかしくて、だれにも言えません。とうぜんのことですが、ママにもぜったいナイショです。ママにはぜったいにぜったいにぜったいにぜったいにぜったいにぜえっっっっっっっったいにナイショです。
 
 このことはバベオイモイド神様にしかうち明けません。
 
 だいぶ前、日記にあたしがバベイオモイド神様のゆめを見たことはかきましたよね。
 あのときあたしはおねしょをしてしまいました。
 なんだかほんとうに、あのときはまだ8さいでしたが、いいかげんおねしょをする年じゃないので、めちゃくちゃにはずかしかったのです。
 
 それにあたしはゆめの内ようをちゃんとおぼえていましたので、それでもっともっとはずかしくなってしまいました。
 
 でも、さいきん、ベッドの中などであの夜ゆめでみたことをおもいだして、じぶんでじぶんのおしっこの出るあたりをパンツの上からさわってみると、なんだかきもちが良くなることがわかりました。
 
 だから毎ばん、ベッドにもぐっては、パジャマのズボンに手をいれて、パンツのうえからおしっこの出るあたりをなぞっています。もちろんたこのようなたくさんの足であたしにからみついてくるバベオイモイド神様のことをかんがえながら。
 
 ときどき、遺薔薇屠死夫様のことをかんがえたりすることがあります。
 
 あたしは遺薔薇屠死夫様の顔をしりません。
 
 少年ほうというほうりつで、遺薔薇屠死夫様の顔はしんぶんやざっしに乗ったり、テレビに映ったりしなかったからです。だからゆめの中の遺薔薇屠死夫様の顔は、いつもぼやけています。
 
 そうぞうのなかで、あたしは遺薔薇屠死夫様にひもでぐるぐるまきにされて、ゆかにころがされています。遺薔薇屠死夫様は、あたしを見おろしています。あたしはひもぐるぐる巻きにされながら、必死でもがきます。それで、あたしのふとももやひょっとしたらパンツが、遺薔薇屠死夫様にみえてるんじゃないだろうか、と思います。
 
 それだけです。
 それをおもいながら、おしっこが出るところをさわると、とってもきもちちがいいのです。

<つづく>

 

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