バベイオモイド神様が見てる
〜秋〜
作:西田三郎
■1999年8月29日 (はれ)
いだいなるバベイオモイドしんさま。
もうなつ休みもおわりです。
ノストラダムスのだいよげんは、はずれました。
きょうふのだいおうはそらからおりてこず、やっぱりなにもおきないままに、なつやすみはおわります。
あたしはがっかりです。
しんがっきがはじまるとおもうと、ほんとうにうんざりして気ぶんがわるくなります。
がっこうのクラスメイトたちは、ばかばっかりです。
あたしはがっこうが、きらいできらいでしかたありません。
ああ、はやくふゆやすみになるといいのになあ、としかおもいません。
でも、バベイオモイドしんさま、ことしのなつは、あたしにとってとてとくべつななつでした。
なぜならあなたにであえたからです。
このにっきは、ママにもないしょでつけています。
あの方、むづかしいかんじですが、いばらきとしおさま(むずかしいかんじなので、あたしにはかけません)が、あなたににっきでおはなしをつづけたように、あたしもまい日、あなたへあててのにっきをかこうとおもいます。
はっきりいって、いばらきとしおさまのマネですけど、それはゆるしてください。
あたしはなにをやってもみっかぼうずだとママによくいわれますが、たぶんあたしのにっきはつづくとおもいます。せめて、いばらきとしおさまがびょういんからたいいんされるまでは、まいにちあなたにあててにっきをかきつづけたいとおもいます。
いばらきとしおさんは、14さい(あたしからすると、ものすごいおにいさんですが)なので、しょうねんほうというほうりつによって、あれだけひどいこと(あたしはすばらしいことだとおもいますが、ママもパパもおばあちゃんもひどいことだといいます)をしても、ほうりつでばつをうけないそうです。
だからびょういんにはいるそうです。
いつかはそこからでてきます。
せめてこのにっきは、いばらきとしおさまが、びょういんからでてくるまで、つづけたいとおもいます。
それまでこのにっきのことは、ママにもパパにもおじいちゃんにも、ともだち(だとむこうはおもっているみたいですが、あたしはそうはおもえません)じゅんこちゃんにも、ひみつにしておきます。
あたしのゆめは、びょういんからでてきた、いばらきとしおさんに会うことです。
ひとめでいいから、いばらきとしおさんにあってみたい。
そしてききたいのです。
ひとをころすときのきぶんは、どんなかんじなのか。
ころしたひとのくびをきるのはどんなかんじなのか。
そのあとちをからだじゅうにぬりたくったり、のんだりするのはどんなかんじなのか。
いばらきとしおさんは、あのこども(ころされたこどもは、あたしとおなじとしです)のくびをきったときに、しゃせいした、とテレビでいっていました。
しゃせいというのがなんなのか、あたしにはよくわからないので、そのことにかんしてもくわしくききたいとおもいます。
そして、いばらきとしおさんと、いちばんおはなししたいのは、バベイオモイドしんさま、あなたのことにかんしてです。バベオイモイドしんさまは、いばらきとしさまの、かみさまでした。いばらきとしおささまは、ゆめのなかであなたに会った、とけいさつできょうじゅつしているらしいです。
バベイオモイドしんさま、じつは、あたしも、あなたのゆめをみたのです。
テレビのニュースで、いばらきとしおさまがにっきにかいていた、あなたのえをみました。
ほとけさまのうしろに、にょろにょろたこのあしのようなものがはえている絵でした。
あたしのゆめのなかで、バベイオモイドしんさまは、あたしいえの、かいだんのうらにいました。
あたしがびっくりしてこえをあげようとすると、あなたはくちもとにひとさしゆびをあてて“シー”のポーズをしました。
それから、あなたはあたしをてまねきしました。
あたしがあなたにちかづくと、あなたは、あのたこのようななんぼんものあしを、あたしにのばしました。
あたしのうでといいあしといい、たこみたいなあなたのあしがからみついてきて、それはねばねばしてとてもきもちわるかったことをおぼえています。まるでゆめじゃないみたいでした。
あしのいっぽんがあたしのスカートのなかにはいってきました。
それはパンツのすきまからさらになかにはいってきて、おしっこがでるあたりをくちゅくちゅといじりました。
あたしはきもちわるかったことはきもちわるかったのですが、なんだか、はずかしいような、くすぐったいような、おしっこにいきたくなるような、みょうなきぶんになりました。
あたしがおそるおそろあなたをみあげると、あなたはまたくちびるのまえにゆびをあてて、“シー”のポーズをしました。
そのあいだも、あなたのあしはあたしのしゃつのそでぐちや、おなかからはいってきて、あたしのおっぱいや、おへそをなでました。
あたしがむずむずして立ってられなくなって「やめて」といったところで、めがさめました。
あたしはその日、8さいにもなっておねしょしちゃいました。<つづく>
NEXT/BACK TOP