2×2 作:西田三郎


■ちゃんと女でできるか否か

 ウサギ小屋で大杉と島田に射精させられた後、直紀と千晴は小屋をちゃんと片づけてから、二人一緒に帰った。それまで全くといっていいほど二人の間には会話はなかったが、その時はじめてお互いのことをよく知り合った。
 直紀は自分に姉が居ることを話し、千春は自分が一人っ子であることを話した。直紀は自分が倉木麻衣の歌が好きなことを話し、千春は映画が好きなことを話した。直紀は自分が小学校のときからイジメられっ子だったことを話し、千春は自分が幼稚園のときから1人も友達が居ないことを話した。
 辺りはすっかり暗くなっていた。帰り道には少し広い公園があった。人通りはほとんど無い。
 
 「キスしよっか」出し抜けに千春が言い出した。
 「ええ?」思わず直紀は口ごもった。「何?」
 「キスしようよ。あの木のあたりで」千春が植え込みの中の木が生い茂っているあたりを指さした。
 「でも…」直紀はどう答えていいか戸惑っていた。
 「したくない?…なら別にいいけど」千春はそう言って少し怒ったような顔をした。「やっぱ、アレ?女とはそんな気にならない?
 「…そんなことないよ」今度は直紀がムッとする番だった。
 「…あたしじゃ不満?」千春はそう言って直紀の目をまっすぐ見た。千春の目の色は薄い茶色だった。何故だかその目がすこし潤んでいるように見える。どうやら本気のようだ。
 「…そんなことないよ」
 「…じゃあ、しようよ。あたしの気が変わらないうちに」
 この女が何を考えているのかはさっぱり判らないが、とりあえずキスさせてくれるようだ
 当然、したくないわけではない。植え込みの中にスタスタと入っていく千春に、直紀は続いた。
 ただでさえ暗くなっている中、植え込みの中は真っ暗だった。人の気配がないことを確かめるように、千春は辺りを見回すした。そして木にもたれ、直紀の首にそっと手を回した。
 唇が吸い付くように重なった。と、千春の柔らかい舌が直紀の唇の間に侵入してきた。思い描いていたのとは全く違う感じだった。千春は舌先を使って、直紀の唇をあおり立てるように舐めた。
 直紀はかなり戸惑っていたが、千春に習って自分も舌を使った。舌と舌が遠慮がちにふれ合った。千春はこういうことに相当慣れているのか、直紀の舌をリードしてくすぐぐる。
 「ん…」先に甘い声を出したのは、直紀の方だった。
 唇を話して、千春の顔を見る。目を閉じて、口を半開きにし、頬が上気している。とても扇情的な表情だった。昨日までウサギ小屋で見ていた、あの無愛想な変わりもの女とは、まるで別人である。
 先ほど大杉と島田によって搾り取られたはずの疼きが、また直紀の下半身に返ってきた。鼻息が荒くなるのが判った。直紀は少し我を忘れて、千春の胸に手を伸ばした
 「んん…」今度は千春が甘い声を上げた。
 ほとんどその膨らみを感じられないほど、平べったく固い胸だった。しかし、その手触りは同性のものとは明らかに違う。直紀は服の上から、少し乱暴に千春の胸を捏ねた。千春が一瞬顔を背けて、次に真っ直ぐに直紀の顔を見た。思わず直紀の手が止まった。
 「…こっちも、触りたい?」そういって千春は少しスカートをたくし上げた
 青白い、棒きれのような太股が見えた。一も二もなく、直紀はスカートの中に手を突っ込んだ。
 「あん…」千春が鼻に掛かった声を出す。
 直紀は下着の上から千春の脚の付け根に触れた。木綿の下着の感触ごしに、その体内が熱くなっているのが判り、思わずたじろいだ。しかしここで怯んではいられない。直紀は夢中で指を動かした
 「ん…く…」千春が直紀に抱きつき、その肩を噛んだ
 「痛い?」直紀は思わず聞いていた。
 「ううん…」千春が甘えたような声を出す。
 その要望に応じて、直紀はさらに指を動かした。
 と、こんどは千春の手が不意に直紀の股間に触れた。そこはもうすっかり固くなり、ズボンを持ち上げていた。
 「…すごい…さっき、あんなに出してたのに…」
 「…」直紀は千春の言葉を無視して、指を使い続けた。 
 「…くっ…ん…ちょっと…ちょっと痛い
 「…あ、ごめん」
 直紀が怯んだ隙に、千春は直紀のズボンのジッパーを下ろした。
 「あっ…ダメだよ…」直紀が言うのも聞かず、千春は指をズボンの中に指を侵入させる。あっという間に、ブリーフの合わせ目から直紀の性器が引き出された。千春に指摘されたとおり、肉棒は固く熱くなっていた。ついさっき、あれほどまでに精を放出させたとはとても思えない。紫色に充血し、脈打っている肉棒を手にした千春は、目を見開いてそれを鑑賞した。頬を紅潮させた千春の息が、荒くなっているのが判った。
 「…すごい…やっぱ、相手が女でもちゃんと勃つんじゃん…」千春が囁くように言う。
 「…」
 「…やっぱさっき、気持ち良かったわけ?」千春が直紀の耳元で囁く。「あんなことされるのが好きなの?
 くすぐるように、千春の指が直紀の陰茎に絡みつく。
 「…ちょっと…やめ…」
 「…すっごく気持ち良さそうにしてたじゃん…やっぱ、君、ああいうのが好きなわけ?」軽く、微妙なタッチで千春が扱き始める。「なんか、女の子みたいに悶えてたじゃん」
 「…違うよ…んっ…」
 「何が違うのよ。ほら、思い出してこんなになってんでしょ」だんだん千春の指の動きが早まってきた。「…ほら、さっきみたいにイかせてあげよっか…イきたいんでしょ…」
 「んんっ…くっ…」
 「…ほら、先、ぬるぬるになってるよ…」千春の指が、直紀の性器の先をまさぐる。
 「…やめっ…ん…」
 「…このままイっちゃう?ほら…ほら…
  先端からあふれ出た液が、また淫靡な音を立てていた。千春はその音を楽しむように、乱暴な手つきで直紀を責め立て続けた。
 本当に自分は、こういうことをされるのが好きな変態なんだろうか?直紀は自問していた。相手が大杉であろうと、千春であろうと、たいして関係ない。現にさっきはウサギ小屋で、しっかりと快楽に屈服したじゃないか。今だってこんな風にされて、射精しそうになってるじゃないか。
 …馬鹿な!そんなワケがない!
 「いい加減にしろ!
 直紀は千春の手を払いのけると、乱暴に千春を裏返し、木に突き飛ばした。千春が木に手を突く。
 「あっ…」千春が小さく声を出した。
 直紀は千春の細い腰を掴み、思い切り引き寄せた。木に手をついたままの千春の背中が弓なりに反り、が直紀に向かって突き出された
 「…何よ」千春は肩越しに直紀を見た。挑戦的な目だった。「…どうするワケ?」
 「うるさい!」
 千春のスカートを捲り上げた。ブルーの木綿のパンツに包まれた、小さな固い尻が現れる。
 「謝るなら今のうちだぞ…」直紀が千春に言う。息が上がっていた。
 「…謝る?」千春は鼻で嗤った。「…なんでよ。で、何?ちゃんと女相手に出来るわけ?
 直紀の神経が切れた。千春のパンツを膝まで乱暴に下ろし、さらに靴で踏んで足首まで降ろした。さらに尻を引き寄せ、脚の間に手を突っ込む。
 「…んっ…」千春の肩がびくっと震えた。直紀の人差し指が、熱いぬめりに触れた。
  千春は思わず、手を引きそうになった。女のその部分がそのようになるになることは知っていたが、知っているのと、実際に指でその感触を味わうのとは違う。それは想像していたより熱く禍々しかった
 「…く…」千春の肩が、ゆっくりと沈んだ。
 「…謝れ。おれに謝れ」しわがれた声で、直紀は言った。
 「…な…何でよ…」
 「…謝るなら、今のうちだぞ」
 「…いや…」
 直紀は一気に指を沈めた。
 「…んっ!!」千春の上半身が跳ね上がった。湿りきった内壁が、一気に直紀の指を締め付けてきた。指を食いちぎられそうだった。抜こうとしても、指は抜けなかった。
 「…謝る気ないんだな?」
 「…なんで…よ…」千春が熱のこもった目で直紀を肩越しに睨む。「…なによ…そんだけ?…あっ…やっ!!」
 直紀は滅茶苦茶に指を動かした。中で指を回し、出し入れした。
 千春の肉壺が熱い液で溢れ返った。激しく千春を指で犯しながら、自分の肉棒がズキズキと痛むのを感じた。気が付けば手の平は千春の熱い体液でべとべとになり、それは今や手首まで垂れていた。
 「…ねえ…お願い…」千春がさっきとは打って変わった、か細い声で言った。「…もう…入れて…
 「え?」
 千春は額を木の幹につけて、激しく息づいていた。肩がわなわなと震えている。その震えは、白い尻にも伝わり、千春の体内深く突き立てている直紀の指にも伝わってきた。
 「…お願い…ゴメン…謝るから…もう…入れて…」千春がまた肩越しに直紀を見た。先ほどまでの意地悪そうな光はすっかり消え、哀願するような切実さだけがそこにあった。
 直紀は今や赤黒く変色した自分の肉棒のを握り、千春の湿原の縁につけた。
 「…んっ…」
 「…入れるよ…?」
 「…入れてよ…早く…」
 押し進めようとしたが、濡れた入り口で直紀の先端は何度も滑り、上手く入らない。直紀が焦れば焦るほど、それは上手くいかなかった。
 「…はやく…入れてってば…」
 「…そんなこと言ったって…」
 「…」千春が、手を伸ばして直紀の肉棒を掴んだ
 「…あっ…」
 千春は直紀の肉棒の先端を入り口につけ、そのまま一気に挿入した。
 「うんっ!」また先に声を上げたのは直紀だった。
 「…ん…」千春の肩から尻が、波のようにうねった。
 全身の感覚が集中していた肉棒が、湿った肉の壁に締め付けられる。直紀が声を失っているうちに、千春の小さな尻が左右に動き始めた。
 「…あっ…ん……くっ…」
  ゆっくりと動く千春の尻。直紀の腰が逃げようとしても、千春はしっかりと直紀の肉棒を捉え、それを許さない。
 「…突いて…お願い…」千春が泣き声を上げた。「…お願い…動かして…
 直紀は前後に動き始めた。無我夢中で腰を動かした。それに併せて、千春も動いた。直紀も動いた。めちゃめちゃに動いて、直紀の目の前は白くなった。千春は声を堪えているのか、木の幹についた自分の手の甲を噛んでいた。あっという間に、直紀は千晴の中に出した
 
 それから3ヶ月、二人はウサギのようにやりまくった。


 
 

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