愛無き世界に In a World Without Love
〜中国自動車道中1少女手錠放置死事件〜
第一章「許されざる者」
妄想:西田三郎■2004/10/30 (土) 第一章〜許されざる者 22
「今日はもう帰られへんわ」※この物語は、実話をもとにしたフィクションです。8割8分くらいまでが妄想です。
■2001年7月24日 21時
土家家の電話の電話が鳴りました。マナ子さんが電話に出ると、ノノ子たんからでした。
「あーお母さん?ノノ子ですー…」携帯からです。
「あんた、今どこにおんのよ?お母さんもお父さんも心配してんねんで」
「うーん…」
ノノ子たんが受話器を塞ぎます。そばに、他の誰かが居るようです。
ノノ子たんは、お母さんに聞こえないように、その“そばに居る誰か”に何やら確認をとっています。
「…あんなー、お母さん、うち、今、焼き鳥屋におんねんやんかー…」
「焼き鳥屋?どこよ、どこの焼き鳥屋よ?」
「うーん…」また受話器を塞ぐノノ子たん。
「JRスイタ駅の近く。友達と一緒におんねんやんかー…」
「…その焼き鳥屋の店の名前なによ。友達って、誰と一緒なんよ?」
「うーん…」ノノ子たんは黙ってしまいました。少し様子がへんです。
「あんたな、もう警察には通報してんねんで。判ってる?みんな心配してるんよ」
と、一方的に電話は切れました。
■2001年7月24日 22時10分
ひろえたんをはじめとするノノ子たんのお友達6人が、ダイエーの前で心配しながらウンコ座りをしてタムロっていますと、ひろえたんの携帯がピロロロン♪と着メロを発しました。
ノノ子たんからの着信です。
「ノノちゃん?今どこよ?何してんの?何回も電話したんやで?何で通じへんのよ?」
「…ひろえ、ごめんなー…もう、男の人に会うのは終わったんやけど、今度は別のともだちに会いにいかなあかんようになってん」ノノ子たんの声は、微かに震えていました。
「友達って誰よ?」と、お母さんと同じことを聞くひろえたん。何故ならノノ子たんの仲良しは、全員そこにいたからです。「なあ、誰と一緒におんのん?」
「うーん…」ノノ子たんがまた受話器を塞ぎました。
車の走行音と、微かにノノ子たんが第三者に、強い口調で何かを言っているのが聞こえます。
「ノノちゃん、誰としゃべってんの?そこに誰かおるの?」
「うーん…ごめんなー…今日はもう帰られへんわー…」
「ちょっと、ノノちゃん?ノノちゃん!?」
またしても電話は一方的に切れました。<つづく>
■2004/10/31 (日) 第一章〜許されざる者 23
「お父さん、もうすぐ一人で帰るから」※この物語は、実話をもとにしたフィクションです。8割9分くらいまでが妄想です。
■2001年7月24日 22時15分
また、土家家の電話が鳴りました。今度はお父さんが電話に出ました。
「お父さん…」ノノ子たんの声は、消え入りそうにか細かったといいます。
「ノノちゃんか?今どこや?お父さん、もう警察に届け出したからな。そこへ行くから」
「お父さん、ごめん」ノノ子たんの声は、とっても不自然でした。何か、“無理に元気よくしゃべっているような”そんな感じだったと、テルオさんは後に証言しています。
「とにかく、早う帰っておいで。帰ってけえへんねんやったら、警察とお父さんがそこに行くからな!」
「…うーん」ノノ子たんはまた電話を手で塞ぎました。明らかにノノ子たんのそばには、第三者が居るようです。車の走行音も、微かに聞こえてきます。「お父さん、うち、もうすぐ一人で帰るから」
ヘンでした。いつものように、語尾も伸びていません。
「もしもし?ノノちゃん?ノノちゃん!?」
また電話は切れました。
テルオさんはノノ子たんの携帯に電話を掛けましたが、すでに携帯は
“電波の届かないところにあるか、電源が切られているため”繋がりませんでした。
■2001年7月24日 22時20分
お母さんのマナ子さんが、ノノ子たんから電話があったことを、大阪府警東ヨドガワ警察署に連絡。署の係官と、お母さん、お父さんで、JRスイタ駅の周辺を探しましたが、ノノ子たんは見つかりませんでした。
■20017月24日 22時半すこし前
トラックドライバー、様利さん(仮名:40歳)が助手の一実さん(仮名:25歳)とともに、中国自動車道下り線を走行していました。ニシノミヤのインターチェンジからだいたい50キロほど走ったところで、一実さんが前方の路肩に妙なモノが横たわっているのを発見します。それがノノ子たんでした。
そしてノノ子たんは、様利さんが警察に連絡しているその目の前で、10トントラックに脚を轢き潰されたのです。<つづく>
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