愛無き世界に In a World Without Love
〜中国自動車道中1少女手錠放置死事件〜
第一章「許されざる者」
妄想:西田三郎■2004/11/01 (月) 第一章〜許されざる者 24
「速報」
※この物語は、実話をもとにしたフィクションです。7割6分くらいまでが妄想です。
『〜神戸・中国道の中1少女死亡「車内で男3人が暴行」…現場付近で運転手が目撃〜』
神戸市北区の中国自動車道で、大阪市立新ミナミ野中1年、土家ノノ子(つちいえののこ)さん(12)が殺害された事件で、ノノ子さんが発見される直前、現場付近を走っていた男3人が乗った車の中で若い女性が殴るけるの暴行を受けているのを通りかかったドライバーが目撃していたことが26日、兵庫県警捜査本部の調べで分かった。ノノ子さんは、事件直前に会おうとしていた男性について「電話でしか知らない人」と友人らに話していたことも新たに判明。捜査本部はノノ子さんが3人組に手錠をかけられ、無理やり拉致(らち)された可能性が高まったと判断、同時間帯に自動車道を通行した約530台の車を慎重に調査している。
調べでは、目撃したのは、ノノ子さんが放置された24日午後10時半前後に現場付近で追走したダンプカーの運転手。互いが走行中だったため3人組の乗った車の車種などは不明だが、交代で1人の女性をけったり殴っていたという。…(以下略)
[2001年7月27日・毎日新聞 東京朝刊より(学校名、被害者名は西田が訂正)]何という恐ろしい話でしょう。
一体、その3人とは何者なのだ?それが人間のすることか?
真っ先に頭に浮かんだのは1995年9月に沖縄件で起きた、米国海兵隊員二人組による、中学生少女拉致強姦事件です。 わたしはそれまで、米国海兵隊というのはたいしたもんだと思っていましたが、この事件以降、「少女強姦野郎の仲間の腰抜けゲス野郎か」くらいにしか思えなくなりました。さらにアメリカ人全体をも、憎むようになりました。
一部の不心得者への印象が、その人間の所属する集団全体のイメージダウンに繋がる好例であると言えましょう。
米帝め!ゲット・ファック・アウト・ゼアー!!
まあ、それはそれとしまして…何の罪もない少女が、この人間の皮を被った獣たちに連れ去られ、挙げ句殺されたと思うと…わたしは軽い目眩を覚えたことを今も覚えています。
しかし、これは誤報でした。といいますか、その人たちはこの事件とは関係ありませんでした。
事件より3年と3ヶ月を経た今日におきましても、この3人組とそれに殴る蹴るの暴行を受けていた女性1人が何者だったのか…未だ解明されていません。
<つづく>
■2004/11/02 (火) 第一章〜許されざる者 25
「許されざる者」※この物語は、実話をもとにしたフィクションです。6割2分くらいまでが妄想です。
幸いなことに(?)同時刻に中国自動車道を走行していた、3人組の駆るレイプモービルは、ノノ子たんとは無関係でした。そして、ノノ子たんは無理矢理誰かに拉致されたのではなく、テレクラで知り合った男性に会いに行ったことなどが判明しました。
ノノ子たんの死に至るまでの数日間の行動も、各マスコミによって遠慮がちに、しかし面白おかしく報じられ、国民は大変気まずい思いをすることになります。
特にエゲツなかったのは、(いつものことですが)週刊新潮8月9日号の「高速道路で放置死『手錠少女』の驚くべき交友関係」と、同日発売の週刊文春「十二歳被害者少女が耐えた、とても書けない凄絶な家庭事情」(←書いてるじゃねーか)の二つの記事。
日本一早くよりゲスな記事を書くことを競うライバル誌2誌は、こぞってノノ子たんの生前の素行を「テレクラ狂いのクソガキ」と断罪し、その原因を「父親の度を超した虐待」であることに求めています。
ちなみに、この時点ではまだ犯人像すら捜査線上に浮かび上がっていません。
それでも世間は食いつきました。
十二歳にしてテレクラにハマり、深夜徘徊や朝帰りを繰り返していた児童養護施設の少女という被害者像は、同情よりもむしろ世間の嫌悪感を煽りました。
YAHOO! JAPAN掲示板>ニュース>国内カテゴリの中に今なお残る名スレッド、
「被害者に同情できない事件」
には、ノノ子たんの本名が挙がっています。
とーぜん、「2ちゃんねる」の過去ログ倉庫にも、こんなスレッドが残っています。
これが良識であり、これが世論でした。では、わたくし自身はどう思ったのでしょうか。
<つづく>
■2004/11/03 (水) 第一章〜許されざる者 26(第一部最終回)
「許されざらざるを得ない者」
※この物語は、実話をもとにしたフィクションです。2分くらいまでが妄想です。
「自業自得」…世間の反応をツクシさんの「多事争論」的表現で表すとそうなります。
正直、わたくしはノノ子たんの死までの行動と素行を知り、ほっと安心したのですね。
ノノ子たんの素行から、彼女がそこいらに居るような、ふつうの少女ではない、と自らに言い聞かせることによって、わたしの中でノノ子たんは“自分とは関係のない女の子”になりました。
ノノ子たんの存在をそのように自分の生活圏から意識的に追い出すことによって…このあまりに忌まわしく、凄惨な事件すらも、自分の生活とは関係のない、遠く離れた場所での出来事に位置づけてしまったのです。
それが自分自身にどう影響したか…?
怖ろしく、精神衛生上良かったのですね。
“成る程、それなら仕方ないな。何の罪もない少女がいきなり何者かに拉致されて殺されたわけではない。テレクラ好きの援交少女が、身から出た錆でたまたま死んだだけか”
と、当時のわたしは思いました。
わたくしは今でも、そのような世間並みの感想を抱いた当時の自分自身を、許すことが出来ません。
<第一部完。…第二部「手錠の男」につづく>
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