ヴァージン・ホミサイズ
作:西田三郎「第10話」 ■冗談だよ。
学年も終わりに近づいてきた。寒い日だったのを覚えている。
あたしと宮本は、またあの屋上に居た。
そのころにはあたしもタバコの味を覚えて、二人で仲良く一本のタバコを回しのみした。
「もうすぐ2年生だね」宮本が言った「クラス換えで別々のクラスになるかもね」
「別に、それで会えなくなる訳じゃないじゃん」あたしは言った。
「……そういう訳にもいかないよ。多分あたしたち、そのまま疎遠になって、卒業して、お互いのことを忘れちゃうんだろうな」
「……宮本は悲観的だよ。何に対しても」
「……今田は楽観的だよ。何に対しても」
あたしは藤田と伊東が落ちた縁のあたりを見た。なぜか、不思議な気分になった。
「ねえ……」あたしは宮本を見た「……あそこで、してみない?」
「……え?」宮本は言った「あんたも、変わったね。だんだんスケベになってくけど、そこまでとは思わなかったよ」
「……いいじゃん。思い出づくりだよ」
あたしは先に立ち上がり、藤田が跪いていたあたりに同じように蹲った。下を見ると、ちょうど伊東と藤田が落ちたあたりが見えた。あの日見た血だまりは 真っ黒だった……それを思い出すと、ますます亢奮してきた。
「早く来てよ」あたしは宮本を呼んだ。
宮本は、仕方ないなあ、という顔をしてタバコをもみ消すと、立ち上がってだるそうな足取りでやってきた。そしてあたしを後ろから抱きかかえるようにして 座り込む。
「あったかい……」宮本が言った「で、何してほしいの?すけべえちゃん」
宮本が、あたしの冷え切った耳たぶを甘噛みした。さっきまで凍えそうに寒かったのに、かっと躰が熱くなった。そのまま宮本は、唇をあたしの首筋に滑らせ た。あたしはそれだけで、気が遠くなってしまった。
「……好きにして」あたしは宮本の目を見て、囁いた。
宮本はあの何を考えているのかわからない目で、あたしが勝手に熱くなっていくのを見ていた。
宮本の手が、スカートの中に入ってきた。冷たい手だった。そのまま宮本の手はあたしのお尻をパンツの上からゆっくりと捏ねた。あたしは縁に上半身を任せ て、お尻を宮本に向けて上げていた。
「……なんだ、もうこんなになってんじゃん」脚の間に、指が入ってくる「すっごく熱くなってるよ、今田。いつからこうなってたの?」
「……ん」宮本の指がいつものようにゆっくりと動き始める。あたしは意識してお尻を動かさないように心がけ、宮本の指の動きを味わった。どんどん自分が 溢れてくるのが判った。「……パンツ、脱がせて」
「“汚れちゃうから”?」宮本が言う。
あたしはそれを聞いて思わず吹き出した。宮本も吹き出した。
夏、同じことを藤田がここで言っていたのだった。可笑しくなると同時に、あたしはますます痺れてきた。
宮本が両手の指をあたしのパンツの縁に引っかけ、必要以上にゆっくりとずり下ろしていった。足首まで下ろされて、あたしは無意識のうちに左足を上げてい た。宮本はあたしの左足首からパンツを抜いて、右足首に引っかかったままにした。
「ほーら、誰かさんみたい」宮本がまたスカートの中に手を入れる「やだ、ちょっと、すごいよ今田」
「………ん」言われなくても判っていた。こんなに濡れたのは生まれて初めてだった。
「こんなんで、ここ触っちゃうとどうなっちゃうのかなあ」宮本の指先が、溢れる出口に触れた。
「………あっ!!」ビクン、と背中が跳ねて、ますます前のめりになった。
「危ないよ、今田。落っこちちゃうよ」宮本があたしの腰を引き戻す。
「……ね……ねえ……宮本」あたしは宮本に振り向いた「……あの……か……皮……剥いて」
「……す、すっごいこと言っちゃうんだ」宮本は呆れ顔だったが、確かに亢奮していた。
あたしは目を閉じて待った。宮本の手があたしの前に回ってくる。慣れたもので、宮本はあっという間に先端を探し当てると、その包皮を剥き上げた。
「ひっ……」また前のめりになった。すごい感覚だった。寒さなど、微塵も感じなくなっていた。
宮本が、剥き出しになったそこを優しくこね回し始める。宮本の指はまだ冷たくて、素敵だった。
あたしは声を出した。慌てて宮本が後ろからあたしの口を塞ぐ。
「もう、すけべちゃん、こらえ性がないんだから」そんな風に呼ばれて、あたしはますますやらしくなっていった。「指、入れてほしい?」
宮本に口を塞がれたまま、あたしは大きく頷いた。
「……んんっ!」宮本の細くて長い人差し指が、あたしの中に入ってきた。氷の棒を押し込まれたみたいだっだ。あたしは屋上の縁に手をつっぱらせて、ます ますお尻を宮本の方へ突き出した。
「すごく、締まってる」宮本が言った「動かしてほしい?」
またあたしは頷いた。
「でも、すけべえちゃん、大声出すからなあ……」そう言うと宮本は自分の制服のネクタイを外した。
そしてそれであたしに、ゆるく猿ぐつわをした。もちろん、そんなことをされるのは初めてだった。
「さて……と」宮本の指が小刻みに動き始めた。出たり、入ったり、中をかきまわしたり。
あたしは宮本のタイをしっかりと噛みしめて、屋上のコンクリートの縁に自分の頬を押しつけていた。冷たくて、それはそれで気持ちがよかった。でも、あた しの腰は狂ったように上下左右に振りたくられ、内股に分泌液の太い筋が伝っていくのを感じた。めちゃくちゃに、気が狂うほどいやらしかった。
「……藤田よりすごいよ、今田」宮本が耳元で囁く「じゃあ、こんなのはどうかな」
べちょべちょに濡れたあたしの内股に、宮本はゆっくりと指をすりつけて愛液をすくい取った。
……そして一差し指をあたしの前に……親指をあたしの後ろに差し入れた。
あたしの後ろの穴は、意外なほどあっさりと宮本の指の侵入を許し、根元までくわえ込むと、きつく締めた。
ああ、なんていかがわしいんだろう、とあたしは思った。思えば思うほど、良くなった。
宮本は前に入れた指と後ろに入れた指で、二つの穴を隔てているあたしの体内の肉をぐいっとつまんだ。
「んんんんっ………」あたしはそのまま縁から上半身を乗り出した。
「ちょっと……今田……危ないって……落ちちゃうよ、ほんとに」宮本があたしを引き寄せる。
「んっ………んっ………んんっ………」宮本が激しくあたしの中で指を動かす。
あたしはどんどん溢れさせた。前からだけではなく、後ろからも何かが溢れていた。
はやくもあたしはいきそうになっていた。
縁から下を見下ろす……藤田が死ぬ寸前に見た景色のことを思い描いた。
そんな余計なことをかんがえたものだから……あたしはますますせっぱ詰まってきた。
「いきそうなの?」宮本が言う。
「ん……」猿ぐつわをされたまま、あたしが大きく頷く。
「もっといじめて欲しくない?……もういっちゃっていいの?」
あたしはさらに大きく頷いた。
前の方に、指がもう一本入ってきた。宮本の細い指を折ってしまうんじゃないかと思うほど、あたしはその人差し指指と中指をしめつけた。あたしの中に入っ た3本の指が……めちゃくちゃに動きはじめた。
意識が遠のいていった。気が遠くなった。
と、その瞬間、宮本があたしの背中を、どん、と押した。
あたしは縁の外に飛び出した。信じられないくらいゆっくりと、地面があたしに向かってくる。
ああ、あたし死んじゃうんだな、と思った。
まあいいや、とも思った。
これからの人生、こんなに気持ちいいことなんて、二度とないだろう。
だから、今死んでもいいや、と思った。わたしを殺してくれたのが宮本で良かった。
でも、長い長い快感がもたらした空白にも終わりがやってきた。
真っ白になっていた目の前がだんだん色と景色を取り戻していくのにつれて……あたしは屋上の縁の内側でうずくまっていることに気づいた。
あたしを宮本が見下ろしていた。
「……冗談だよ」宮本が言った。そして、あたしに猿ぐつわをしていたタイをほどいてくれた。「あーあ、涎でべちょべちょ」
宮本の言うとおり、タイはぐっしょりと濡れていた。
「ごめん……」あたしはゆっくりと起きあがり、パンツをはき直した。
「これ、あげるよ」宮本がわたしの涎でぐちょぐちょになったタイを差し出した。「記念に」
あたしはそれを受け取った。
春休みが来て、あっという間に終わり、新学年が始まった。
宮本の予言通り、あたしたちは別々のクラスになった。はじめのうちは休み時間なんかに話したりしたけれど……これもまた宮本の予言通り、二人はだんだん 疎遠になり、そのうち、廊下ですれ違ったときに挨拶するだけの間柄になった。
あたしはまた一人になった。まあ、それには慣れてるけど。
学校を卒業してからは、宮本とは一回も会っていない。
宮本のタイは今でも持っている。何故か、捨てられないのだ。
しかし何年かぶりに、昔の同窓生から、変な噂を聞いた。
あたしの母校で言い伝えられているという、まあそのどこの学校にでもある怪談みたいなものだ。
深夜2時、校庭をふたつの影が横切るという。
それは数年前に肛門性交中に屋上から転落死した、先生と生徒だというのだ。
その二人の幽霊は頭から血を流していて、今だに肛門で繋がった状態で、凄い速さで校庭を横切るという。
まるで電車ごっこをしてるみたいに。
その噂を聞いたとき、わたしはお腹がよじれるくらい笑った(了)
2005.5.11
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