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童貞スーサイズ
第二章 「
ウェルカム・トゥ・ニルヴァーナ



■第15話 ■ 今夜おまえは犬と知れ

 意識は沈み込み続け、どこまでもまどろんでいたが、目に映るものははっきりと芳雄の頭の中に飛び込んで来た。
 ベッドの正面の壁に添え漬けられた縦長の姿見の中に、自分の姿が映っている。
 その姿はあまりにも滑稽で、屈辱的だったが、それを眺めることは同時に甘美だった。

 ブラウスのボタンは全て外されている。
 姉のブラジャーは胸の上にたくし上げられている。
 スカートとその下に付けていたパンツは全て取り去られている。
 左右の手首をそれぞれの両足首にガムテープで固定され、大きく足を開かされていた。
 大柳は芳雄を自分の膝の上に載せて、そんなあられもない芳雄の姿を、鏡の前にさらして見せつけている。
 大西はベッドの上に登り……左側から芳雄の首筋や耳を唇の先で愛撫していた。あのトンボメガネを掛けたままで。

「すごいだろ? ……なかなか適性あるよ、この子。そう思わない? ドウ子ちゃん」
 芳雄の耳たぶを甘噛みしながら、大柳が言う。
 “ドウ子”と呼ばれたあの少女……ずっと芳雄が探し求めてきた少女が、ふん、と鼻で笑った。
「あたしも、ここまでイケる子だと思わなかった……だって会ったとき、ホントに女の子にしか見えなかったんだもん。ねえ、ドウ子ちゃん」
 大西は芳雄の左乳首をいじり、顎を引き寄せてはその唇を奪った、。
 また “ドウ子”と呼ばれた少女が、もう一度ふん、と鼻で笑う。

 しかし……芳雄の性別を示す器官は激しく天井を向き、たぎるように隆起していた。
 包皮から露出した先端から、濡れ光る粘液が滴っていることすらはっきりと見て取れた。

 鏡の反射像は自身の置かれているこれ以上ないというくらい屈辱的な状況を正確に目に届けていたが……数種類の薬物とウォッカで現実感を奪い去られていた脳は、その状況をはっきりと自分のこととして芳雄に認識させることはできなかった。
 鏡の中の出来事は……まるで他人事のように思えた。
 鏡に映っているのは、芳雄ではなく、これまでに何度も自宅の鏡で確認した、あの少女だった。
 恋いこがれた少女がそのように辱められていることを、鏡を通して見ながら……芳雄は気も狂わんばかりに欲情していた。

 しらふに戻ったとき、自分の記憶はこのことをどう受け止めるだろうか?
 こんな目に遭っていることに自分は耐えることができるだろうか?
 それは遥かに遠い日の心配事……たとえば自分がいつか死ぬのではないか、とか世界が破滅するのではないか、といった類の他愛のないことと同じように思われた。実際にそこまで考えることは、今の芳雄には不可能だった。
 
 その少女……ドウ子は、鏡の真横で壁にもたれながら、芳雄の痴態を見つめていた。
 芳雄から見れば、鏡に映る自分の姿は、ドウ子の双子の妹のように見える。
 “ドウ子”は嘲るように口の端にうっすらと笑みを浮かべている。
 スカートの下から伸びるまっすぐな脚。あさりのように小さな膝。その下は黒いソックスで包まれている。
 ドウ子の脚は完全な美しさで交差していた。
 癖毛の髪はつややかで、くしゃくしゃに絡み、くるくると跳ねている。
 アーモンド型の瞳。黒目の色はかなり薄い。歪んだ唇は、すこしだけ厚めだった。
 
「恥ずかしい……?」ドウ子が吹き出しそうな顔で言った「……でも、それがイイんでしょ?」
「……ん……」
 
 芳雄はもはや、まともに答えることさえできなかった。
 声を出そうとすれば、それがすべて喘ぎ声に変換されてしまう。
 トンボメガネの大西が唇をゆっくりと移動させる。やがてそれは、たくし上げられたブラジャーの下の乳首に到達した。
 にょろりと伸びた不健康そうな紫色の舌が、ちょん、と芳雄の乳頭に触れた。

「あんっ……」
 か細い喘ぎが、芳雄の濡れた唇から漏れる。すかさず背後の大柳が、その唇を奪った。
 芳雄は抵抗もせず、目を閉じて、蕩けた表情で舌を受け入れていた。二人の鼻息が交差する。
「……この子、いいわ。感度も最高」大西は得意満面だった。「あーらまあ、こんなに乳首立たせちゃって……ほれ、ほれ」
 また乳頭に大西の気味の悪い舌が這う。
「むふっ……」
 大柳の舌に口を犯されながら、芳雄はびくん、と全身を震わせた。
「すっかり女の子になってんじゃん、あんた……期待してたんでしょ? こういうことされに、わざわざそんな格好でノコノコやってきたんでしょ?」
 閉じていた目を薄く開き、横目で“ドウ子”の姿をとらえる。
 少女はくすくす笑っていた……よほどこの見せ物が気に入ったのか、瞳がギラギラと輝いている。
 心なしか……ほんの少し顔も上気しているように見える。
 
 大西の指先が、芳雄の胸から腹へ、そして臍を弄び……さらにその下へと下っていく。
「う………ん………」
 その間も大柳は芳雄の口の中を味わうことを止めない。
 もぞもぞと大西の指から逃れようとする芳雄の腰を、大柳が後ろからがっちりと抑えた。
「すっごい……先っぽ、もう大洪水じゃん」
 ドウ子が感嘆したように言う。
「うん、触る前からビクンビクン震えてる」
 大西が芳雄の亀頭をじっくりと観察しながら言う。
皮、むいちゃってよ」とドウ子「なんか窮屈そうだし」

 大西の指が、亀頭の露出した部分に、ちょん、と触れた。
「あうっ……!」思わず大柳に任せていた唇が離れた。
 大西のざらついた指先が、尿道口に触れたのだ。
 大西は親指の腹で、あふれだした芳雄の蜜を、ゆっくりと出口あたりに塗り広げた。
「すっごくいいでしょ?」大西が言う「いいよねえ……もうこんなになってるもの」
 大西は芳雄の目前に濡れた人差し指と親指を差し出す。
 ゆっくりと広げたり閉じたりするその2本の指の間には、いく筋もの細い糸が引いて橋をつくっている。
 芳雄はそれから目を背けるべきかどうか考えた……しかし、どこまでも散漫になった思考は、行動に追いつかない。
 なすす術もなく……芳雄は目の前に差し出された自分への辱めをぼんやりと眺めていた。
 
「さて、と……」大西があらためて芳雄の亀頭に指をあてがい、さらに溢れ続ける粘液を塗り広げていく。「ほら、いくよ」
「うっ………んっ」
 自分がこぼした粘液を潤滑油にして、つるり、と包皮が剥き上げられる。
 ぼんやりとしていた全身の感覚が、その先端に集中したようだ。
 外気に触れただけの亀頭が、全身に痺れを伝えてくる。
 さらに大西の指がその部分に伸びてきた……大柳に腰を押さえつけながらも、芳雄は必死で腰を揺すってそれから逃れようとした。
「……ちょ、ちょっとまって……まって」
 どこまで高ぶらされてしまうのか、芳雄はその結果に怯えた。 
「……なんで? 気持ちいいんでしょ?」
 大西が金属的な笑い声を上げる。
「そうだよ、こんなになってるのに、いまさら待って、じゃないだろ」
 大柳が耳元で囁く。
「………で、でも………」
「でも……何?」鏡の横に立っていたドウ子が言う。「愉しいでしょ? ……たのしんでるんでしょ? ……すっごく」
「で、でも……こ……こんなの……」
 芳雄はドウ子を縋るような視線を向けた。
 縋る相手として、ドウ子は最悪だった。
「……何なの? あたしの前でイっちゃうのが恥ずかしいの?」
「あはは」耳元で大柳が嗤う。
「……笑わせるね。この子。ラクにイかせてもらえると思ってんだから」大西の手が、ぬめって光る亀頭に触れ、まるでその形を丁寧に確かめるように這いま わった。「ラクな仕事だって言ったでしょ? ……どう?想像してたよりずっとラクでしょ? ……なーんにもしないでも、よそじゃめったに飲めない薬をいっ ぱい飲めて、こんなに気持ちよくしてもらえるなんてさ。ある意味こんなラクな仕事、ほかにはないよ?」
「そうだよ」大柳が囁く。「こんなラクで愉しい仕事、どこにもないよ」
「んっ」
 びくん、と芳雄の背筋が跳ねる。
 大柳がいきなり陰茎を握ったのだ。ゆっくりと大柳の手が陰茎を上下に扱き始める、亀頭に指を絡める大西の指と、息はピッタリだった。
 ここまでのコンビネーションを、いったいどうやって身につけたのだろうか。
 これまでに一体何人の少年や少女たちが、自分のようにこの二人嬲られてきたのだろうか。
 二人の愛撫の連弾は、おそろしいくらいに息がぴったりだ。
 
 芳雄の腰の下の、ずっと奧のほう……つまり、女性なら子宮があるあたりが……その部分で、青い炎が揺らめいているような気分がする。
 炎は小さくなったかと思うと、また大きくなる。火加減を自在に操るのは、大西と大柳の指、そしてドウ子の視線だ。その炎の大きさに、我を忘れそうにな る……と、三人はわざとその炎を弱め、まるで種火のように小さくしてしまう。自分の躰はその火の頼りなさに、我を忘れて求める……しかしそんな芳雄の思い を見越してか、ふたりは芳雄の躰の中の炎を種火のままに留め続けた。頭がおかしくなりそうだった。

 気が付くと、自分で腰を激しく上下に揺すっていた。
 口の端から、よだれが垂れていた。
 全身が、汗でぬめ光っていた。
 性器の先端からは、とめどなく愛液が滴り落ちた。
 
 その全てを、“ドウ子”が薄笑いを浮かべながら見ている。
 その傍らの鏡には、乱れ、悶え、ひたすらに射精を求める少女の姿が映っている。
 嘲る双子の姉と、乱れる鏡の中の妹。
 あれが自分であるとは、認めたくはなかった。
 そう考えることは容易だった。鏡の中に映っている少年……では少女が、あまりにも淫らだったからだ。
 あれが、自分自身であるはずがない。
 
 自分があんなに悩ましげな表情を浮かべるはずがない。
 まどろんだ半眼の目で、よだれを垂らしたりするはずがない。
 そしてあんなふうにかくかくと腰をグラインドさせるわけがない。
 ……一体、鏡の中の少女は、どこであんな動きを覚えたのだろうか?
 縦に横に、鏡の中の少女の腰が揺れる。レゲダンサーも、ベリーダンサーも腰を小刻みに揺らす。
 それは原始的な欲求に基づいた、動物の動きだ。
 誰の中にも眠っている、快楽への貪欲な欲求がもたらすリズムだった。
 
 鏡の横に立っていたドウ子が、スカートのポケットからスマホを取り出した。
「はい、チーズ」
 フラッシュが瞬く。
 鏡の中の少女のあられもない姿が一瞬、白く映し出される。
「いいよー………いいよー……うん……いいよー………」
 “ドウ子”はシャッターを押し続けた。
 ひたすら射精の解放を待ちわび、踊り続ける芳雄の躰を、カメラに収め続けた。
「……そんな……や、やめ……て」
 芳雄は半ば泣き声で言った。
 もどかしさからか、理不尽さからなのかは自分でも判らない。
「……すっごい……この子、撮られるとますますビンビンになってきたよ」と、大西。
「撮られるのがスキなんだね……ほんとに変態だよこの子」と大柳。
 
  壁にもたれて立っていたドウ子が、ゆっくりとベッドに近づいてきた。
  そして、猫のような仕草でベッドに這い登ると………恍惚の極みにある芳雄の顔に、ぎりぎりまで自分の顔を近づけた。
  薄い黒目は透き通っていて、その奥には前回見たときには見えなかった、光があった。
  それは芳雄の躰の中の種火のように、青くしずかにちらちらと揺れていた。
  彼女は亢奮している………鏡の中で辱められている少女にではなく、芳雄自身に。
 
「見られながらやらしいことされるのってどう?」“ドウ子”は言った。本当に興味津々、というふううに「すっごくよくない?……こんなのはじめてでしょ?」
「……あ……あっ」
 芳雄は何か言おうとしたかったが、やはり言葉は全て甘い喘ぎになる。
 言葉を忘れてしまったみたいだ。
「……イきたい?」“ドウ子”がさらに顔を近づける。
「………あっ………んんっ」何度も唾を飲み込んでから、芳雄は何とか喉から言葉を絞り出した。「……な、なんで……こ、こんなことを………?」
  ドウ子は目を細めて笑った。そして手を伸ばして、指先で芳雄の頬に触れた。
「……まだまだこれからだよ」ドウ子はキスをする代わりに、声を潜めて言った。「……“消え去るよりは、燃え尽きたほうがましさ”」



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