座頭市


〜あまり文句は言うまい〜

2003 日 

監督:北野武



サンピンのヤクザが刀を抜くと、勢い余って隣に立ってたヤクザの肩を突き刺してしまう…これは恐らくカツシン会長オリジナルの「座頭市」(89年)撮影中に起こってしまった、不幸なアクシデント人死にが出ました)をも含めて愛そうという、北野監督なりのリスペクトの表し方だと思うのですね。いや、市が金髪だとか、女に淡泊だとか、市が×××じゃなかったというのはいくらなんでもないだろうとか、鈴木慶一の音楽がうっとおしいとか、いろんな批判がありましたが、いまごろ観たワタシの目から見ましても、十二分に、いや充分過ぎるほど北野監督はカツシンへの敬意を払って止みません。例えばクライマックス、淺野くん扮する浪人がみっちりとイメージトレーニングを積んだ上で座頭市に挑んだところ、いつもは逆手で刀を抜く市が順手で抜くというフェイントをかましたため、一太刀で殺られてしまう、というシーンは、89年版でカツシンと緒方拳がやってたアクションをそのままなぞっています(89年版ではそのスピードが余りに速く、引きのアングルで撮られていいるので同じシーンには見えませんが)。だいたい何がすごいって、最近の北野作品の特徴である“キタノ世界への逃避”が希薄なとこ。今回、それはエンドロール直前の延々と続くタップダンスに凝縮されてますので、キタノ世界が肌に合わないヒトは、ダンスが始まった途端に劇場を出たり、ビデオを巻き戻したりしてもオッケーなのです。いや、ワタシもタップダンスが始まるまではノリノリで観ていたのですが、ダンス開始とともに寝たのか、それ以降のシーンは覚えていません。なんか最後の最後にもうひとつオチがあったという話を友人から聞いたのですが、どなたかご存じでしたら教えていただけませんでしょうか
追記:あと、座頭市リメイクへ向けての抱負をノリノリで語っていたミイケ監督から、キタノ監督へ仕事が移った経緯も。

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