ソウ〜SAW〜
〜もしあなたがソウられたら〜
2004 米
監督:ジェームズ・ワン
気が付くとわたしは、見知らぬトイレのような広い部屋にいて、脚を鎖でパイプに繋がれていました。
部屋の中央には片手にピストル、片手にテレコを持った男が頭から血を流して死んでおり、どうも一見したところ自殺したようです。さらにわたしが繋がれている正面の壁のほうには、もう一人わたしと同じように鎖につながれた若者がいました。
「どうも、こんにちは西田といいます。あなたは?」
「はあ、酒井ともうします初めまして。ところであなたはなんでこんなところに監禁されているんです?」
「あなたこそ何でこんなところで監禁されているのですか?わたしも訳がわからないのですよ」
「弱りましたな。えーと、とりあえず自己紹介しましょう。わたし32歳、現在無職です」
「はあ、あなたも無職ですか。奇遇ですね。わたしもそうなんですよ……いやはや、不景気には困ったものですな」
「まったく、まあ別にすることもありませんので、こうやって監禁されてて困ることなんて何にもないんですけどね」
「ところで、そちらに、ノコギリが一本ありませんか。わたしのほうに一本あるのですが」
「……ああ、えーと……あ、ありました。確かにこれはノコギリですね。これで何をしろと言うのでしょう?」
「さあ、皆目検討もつきませんな……あ、ちょっと待ってください。わたしのポケットに何か……ああ、メモですね。こう書いてあります“おい、おまいら午後6時までにこの現状をなんとかしてください”ってありますが……何のことでしょうか?」
「さあ……何なのでしょうね。たちの悪いいたずらかなあ……で、どうしましょう?」
「さあ……皆目見当もつきません。」
わたしとその若者は、二人腕を組んで考えました。やがて、わたしは極めて常識的な提案をしました。
「どうでしょう。6時まで、と書いてあるからには6時に何かあるってことですよね。とりあえず、待ちませんか」
「そうですね。それは良い考えです。それにしてもあと5時間もあるなあ……どうしましょう?」
「もしよろしければ、わたしはこのまま寝ようかと思いますが、どうでしょう」
「そうですね……お互い、することないですからね。では、おやすみなさい」
「おやすみなさい」
そうしてわたしと若者は、6時まで寝て過ごしました。何も起きませんでした。
7日後、わたしたちは餓死しました。ジャンジャン。
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