殺人の追憶

〜ほんとうにあった酷い話〜

2003年 韓

監督:ポン・ジュノ

 先日、無期懲役の判決を食らいました40歳会社員の連続レイプ魔は巷では「きんちゃく暴行魔」と言われる正真正銘のクズ野郎でした。と、いいますのもヤッコさんの手口というのは一人暮らしの女性の家にベランダから侵入し、きんちゃく袋を家の中の女性にスッポリと被せてからヤリ倒すという卑劣かつ残虐きわまりないもの。だいたいからしてこの男、ゴーカン用きんちゃく袋をテメエの針仕事でせっせと作っていたというんですから呆れるのを通り越して感動してしまいます。何故に彼がそこまでレイプに関するノウハウを高めたか、といえばつまりは満たされない性衝動のはけ口としてはじめたはずのレイプ行為がいつのまにか自己目的化し、もはや女性をアナのついてる肉物体としてしか見ることが出来なくなったからでしょう。相手の顔にスッポリと袋を被せるという行為は、相手の人格や個性を踏みにじっているということの実感の表れであり、ようするにこの男はベランダから侵入し、相手にスッポリ袋を被せ、自由を奪ってでないと、ファックできなくなってしまった。いや、出来るかもしれませんが、この男にとってのふつうのファックは、我々の感覚に置き換えればセックスに対するオナニーのようなものなのでしょう。ふつうのファックはレイプができない時に仕方ナシにする代用品に過ぎないわけです。
なんで強姦なんかするんだろう、ソープでも行けばいいのに、というのがマットウな社会からの永遠の問いかけですが、それに対する回答は以上です。
さて、80年代後半、お隣の国韓国のド田舎でもソウル近郊では次々と若い女性をヤリ殺す変態殺人狂が暴れ回っていました。そんな難事件に挑むキム・サンギョン刑事(佐藤浩市風)とその相棒ソン・ガンホ刑事(テキ屋風)の苦難を描いたこの作品。実際に起こった未解決事件を題材にしてその真相に挑むという渡辺文樹監督の「ザザンボ」に匹敵する骨太ムービーで非常に楽しめました。実際、良質の刑事ドラマであり、レインボー・ブリッチが閉鎖したくらいで大騒ぎしている日本映画の刑事もこの映画を観て性根を入れ替えてほしいものです
 
 

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