猟奇的な彼女

〜我慢汁の限界に挑戦する〜

2002 韓 

監督:忘れた(韓国のヒトの名は覚えにくい)



「おい、お前観た?“猟奇的な彼女”、どうよ、アレ」「ああ、観たよ!オレならあんな女、グーで殴って激烈ファックだな!」「そうそう、思いっきり恥ずかしい体位でね!ガハハ」と、ソウル市内の学生や若い会社員の男3人連れがプルコギなどをつついてジンロをしたたかに呷りながら大声で談笑しているのが目に浮かぶような映画でしたね。ハチャメチャな女に振り回されたい、という万国共通の男の願望を映画化した、山本直樹の「あさってDANCE」みたいな映画なんですが、まあナボコフの「ロリータ」とか谷崎潤一郎の「痴人の愛」とか、元をたどれば「マクベス」とかもこの系統の話なわけで、そうした願望は結構普遍的なものなのではないかと無理矢理文化人類学的な考察などもしてみたりできるわけです。それにしても主人公の男、吉本新喜劇のなんとかという人みたいに“常に口笛を吹いている”みたいな顔をしてるんですが、カウパー氏腺液を固めて作ったような男で非常に共感できましたね。なぜ男は女に振り回されてみたいかといいますと、突き詰めて考えれば、そうした不満やストレスを果てしなく我慢した後に待っている“リベンジとしてのファック”があるからだと思うのです。女の無理難題を涼しい顔で聞きながら、いつしか、いつの日かベッドの上、いや、台所や公衆便所でその借りを返してもらうぜえええ!!と、今日も万国30億の男が野望を胸の奥でメラメラと燃え上がらせているわけです。ですのでこの映画がデート映画として大ヒットした理由も自ずと見えてくるわけですね。私はそこまで考えなくても抜ける「LIES/嘘」の方が好きですが。


 
 

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