リベリオン

〜感情の制御はもう始まっている!!〜

2002  米 

監督:カート・ウィマー


 ウワサのガン=カタが観たくて、しばらく自分にオアズケを喰わすように観ていなかったこの映画ですが、想像以上に良かったので驚いています。まあ、ガン=カタに関してはふだん自分がエアガンを両手に持ってやっていることと大して変わらないことだったのでアレなのですが、それよりも昔から「アルファヴィル」で「1984」で「未来世紀ブラジル」で描かれてきた「政府によって感情を持つことを抑制された世界」というテーマが、これほどまでに心に響いてくる映画はこれまでにありませんでした。何故なら主人公が感情を取り戻すきっかけが、きゃわゆい犬を殺すことができない、というまあ何といいますか直接的な、悪くいえばベタなシチュエーションに端をなしていること。
 そうです。犬は我々人類の最後の友達です。私は昔からこの世界において、犬たちが置かれているあまりにも酷い境遇に心を痛めていました。犬にも人権を!!!!。いずれ時が来て人類がほんとうの英知を獲得した暁には、この現世において犬たちが置かれている差別的境遇は、公民権運動以前の黒人の扱いのように超しんじらんない現実となることでしょう。
 しかし、です。この映画で描かれているような体制による国民の感情弾圧は、既に始まっています
 それはイラクで首を切断されたマヌケではあるが善良な日本人の若者に対して感情移入することを「国益を優先する」ことによって回避したり、さらにはマンガ原作のあるものやリメイクの映画作品がいかに面白くて良く出来ていようと、「オリジナルへの敬意がない」というナンクセをつけて否定したりするような社会慣例において、実に巧妙に、しかし確実に我々の人間的な感情を束縛アンド抑制しているのです。クラリックは即ちコイズミ首相であり、ヲタク的文脈でしか物事を語れないヲタク出身の評論家であるのです。
 そんな圧制への怒りを胸に、今日も私はエアガンを2丁握ってガン=カタ修練に勤しむのですね。
 
 

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