レッド・ドラゴン

〜ブリオヤジ〜

2003 米 

監督:忘れた


同じ原作であるマイケル・マン監督の「刑事グラハム」はそれはそれで好きな作品で、ブライアン・コックスの演じたレクター博士も、近所に住んでる性格破綻者の偏屈爺(子供がサッカーボールなんか敷地内に蹴り込んで来た日にゃあボールを返すのと引き換えにワイセツ行為を強要したりする)みたいな粘性があって結構良かったのですが、レクター=ホプキンスとなった今、作り直されるのは当然の流れなんですかね。商売ですから。しかしレクター博士というのは人を食う事以外にも、ワインや食事に関する自分の趣味の良さを人に誇示せずにはいられないというウザい性向があるらしく、そのへんは「ハンニバル」で顕著でしたね。最近、ちょいと評判になっている飲み屋やレストランなどに繰り出せば、必ず一人は居てワタシの神経を大いに逆撫でするのが、所謂“ブリオヤジ”です。ブリオヤジというのはつまり、「BRIO」や「LEON」や「おとなの週末」などを愛読しては不倫デートネタの検索に余念のない親父のことでして(ワタシは勝手にそう呼んでいます)、そういう親父は決まって若い女を連れており、どのような店でもいかにも馴染みのように馴れ馴れしく振るまい、連れの女には壮大な中味のない薀蓄を傾けていたりするもんですから、聞いているこっちはいくら民主主義の社会とはいえ連行して銃殺したくなる訳です。原作者のトマス・ハリスというのは本当にブリオヤジな人らしく、作中に溢れる固有名詞や薀蓄の洪水というスタイルが「アメリカン・サイコ」みたいにギャグなのではなくてマジなところが何とも言えませんね。どこかの雑誌で井筒監督が「ハンニバル観てレクター博士になりたい、なんて奴はおらんやろ」と仰ってましたが、それはゴマンおりますよ。わたしが保証します。

 
 

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