死霊のしたたり 3


〜必見!ウエスト is back!!〜

2003 米 

監督:ブライアン・ユズナ


<これまでのあらすじ>…パート1
ハーバート・ウエストは大変優秀な医学生。そのヲタクっぽい容貌に恥じることなく、非常にマニアックで荒唐無稽な己の研究テーマであるところの「死はすなわち疾病のひとつであって科学の力を以てすればそれを克服することは不可能ではないのだヨーン」という説を実証するためには他人の迷惑というものを全く考えないところが科学バカの弱み。「人の命を助けたいんだ!」と時代錯誤な理想に燃える頭の鈍い医学生をパシリに使って日夜死者蘇生の秘薬開発に精を出し、遂に完成したのがニプロのCM(想いは一緒篇:参照)で研究員の人が手にしているのとそっくりな、蛍光色の妙薬です。はてさてさっそく死にたての死体で実験してみましたところ、ちゃんと目を覚ましたから驚いた。しかしどうやらウエストが想像していたのより、「あの世」というのはとってもハードで恐ろしいところらしく、それを見てきた死者さんたちは皆、生前より底意地の悪さと凶暴さを120%増量して帰ってくるのです。ウエストの担当教授であるすけべえ博士なんぞはウエストのちょっとした悪戯ごごろから、首と胴体を泣き別れで蘇生しましたが、彼は持ち前の邪悪さとさらに倍増した好色さを以て、ウエストのパシリの彼女を手術台に拘束して全裸に剥き、首だけになりながらもそのパイオツをベロベロしたりします。かくして首だけ博士の悪巧みにより、大学病院に保管されていた死者さんたち全員が生き返り、和田さん率いるスーパーフリーもかくやと思われるドンチャン騒ぎを繰り返した結果、ウエストのパシリの彼女は死にました。

<これまでのあらすじ>…パート2

あのドンチャン騒ぎを生き延びたウエストと、それでも懲りずにウエストに付き従う従順なパシリは、すっかり他人になって生き返ってしまうという妙薬の副作用を克服すべく、人知れず研究に明け暮れていました。どうやら前回死んだパシリの彼女は、パシリが用法・用量を間違って投薬を行った結果、バラバラになってしまったようです。死んだ彼女を生き返らせんと必死のパシリを後目に、ウエストは首だけ博士の前例から、死体はパーツごと別々にも蘇生することを発見して大喜び。ひたすらアーティスティックな人体コラージュで遊んでいるばかり。そんな中、ウエストに復讐を誓う(の、わりには結構楽しそうでしたが)首だけ博士の奸計により、またまた死者さんが大量に生き返り、ドンチャン騒ぎが始まるのです。パシリの彼女は蘇生することはしたのですが、人知を超越するバケ学技術に反比例した、とても医師の手に依るものとは思えないお粗末な縫合技術のおかげでフランケンシュタインも呆れるくらいのバケモノになってしまい、自壊してしまいました。ガックリ肩を落とすウエストとパシリなのです。

・・・とまあ、2回も修羅場をくぐり抜けたウエストでしたが13年前についにお縄となり、今はレクター博士チックに塀の中。そこに昔、ウエストが生き返らせた死者さんに実の姉をブッ殺された若き医師が刑務所内の診療所に赴任してきます。人をパシらせることには天才的なウエストは新たなるパシリを得、絶好調で研究を再開。これで上手くいけば「ロレンツオのオイル」みたいな感動傑作になるところですが、やはり手違いで刑務所内に大暴動が発生、この世のクズの囚人どもと生き返って人でなしになった死者さん達の一大血みどろパーティーが塀の内側を紅く染めるのです。
 いや、本当にウエストが帰ってきて嬉しいです。
 とにかく全編を全速力でブン回すユズナのテンションは正気の沙汰ではなく、92分の地獄絵はあっという間。時代はパート1&2が作られた頃の特殊メイク全盛期を経てCGに移り、よりアクロバティックに損壊して蘇生する死者さんたちの勇姿を見よ。あと、「黒人はせめて人を癒す超能力くらい持ってないと生きる価値なし」という主張を爽やかに歌い上げた「グリーンマイル」へのあからさまなイヤミとして登場する芸達者なネズミが、生き返った×××と戯れるラストの感動は、恐らく今年一番でしょう。必見です。
惜しむらくはパート2の完成直後(18年前)、ユズナがノリノリで語っていた「刑務所に収監中のウエストが政府から受けた特命で、密かに冷蔵されていたルーズベルトを蘇生させる」というプロットが実現しなかったこと。しかしいずれ必ず、ユズナはパート4でやってくれるでしょう。何故ならウエストは今回もまた修羅場を生き残ったから。

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