おわらない物語 〜アビバの場合〜

〜偽悪おなかいっぱい。もう食べられないよ。ムニャムニャ〜

2004年・米

監督:トッド・ソロンズ

 

 はてさてまたも偽悪のてんこもりでありますところのトッド・ソロンズ新作であります。まあある意味、作品にどれだけ「ぼくのかんがえた悪徳」を詰め込むことができるか、というのもまた物語を紡ぐことのひとつの楽しみなのだとは思いますが、恐らくいつもソロンズが持ち歩いているであろう『悪のネタ帳』から選りすぐり(選っているのかどうかさえ疑問ですが)の偽悪的ネタはあいも変わらずチュートハンパにキレイなビジュアルにコーティングされてソロンズの意図とは全く違うところで胸がムカつくことしきりです。
 
  『で、あんた、主人公が美少女でもデブの黒人ババアでも同じように感情移入できんのかよ?ハン?』というソロンズのメッセージが常に字幕で入っているかのような錯覚にとらわれる仕掛けが全編を通して貫かれているわけですけれども、『ああ、特に黒人デブババアのエピソードが一番萌えたよ、坊や』と苦みばしった笑みとともにソロンズの肩をポンと叩いてやることがこうした映画に対する最も理想的な対応ではないかと思われます。

 しかしほんとうに萌えたのは『ハックルベリー』パートでの美少年Verのアビバたんだったりするところはソロンズの意図にしっかり嵌っているようでああもうムカつきます。

 しかしどうせDVD化するなら8人の女優さんそれぞれのパターンで全編楽しめるマルチストーリー・コマンドなどを導入して見せるくらいの工夫が欲しかったものですね。
 まだまだだな、坊や。


 

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