マシニスト 〜勇気を持って正直な感想〜
2004年 西・米監督:ブラッド・アンダーソン
映画が難解なのか、単に物語が破綻していてわかりにくいのか、という見定めは非常に微妙であり、こうして人に感想を述べたりする時は大変そのあたりに気を遣うところなのであります。ああ、やっぱりここは何か判ったようなフリしてクリスチャン・ベールの命を掛けた激ヤセ演技がすごい、とか妄想と現実が巧みに入り組むトリッキーなストーリーとか、そんなふうなブナンな言葉でお茶を濁しておくべきなのでしょうか。
いえ、ラスト近くで過剰に伏線を回収する映画というのも(例えば『猟奇的な彼女』とか)、『ああ、これを作った人はマジメで誠実な人なんだなあ』と関心しながらも、『誰もそんな冒頭の事なんて覚えてねーよ……ってか、たりいよ』と思ってしまうのがわたしのような堪え性のない映画ファンの身勝手。ですからディヴィッド・リンチの『ロスト・ハイウェイ』とか(リンチの頭の中では見事に伏線を消化している)、韓国サイコ・スリラーの傑作『カル』(伏線回収を投げたまま終わる)なんかは逆にさわやかに映ったりしてしまいます。
はてさてこの『マシニスト』ですが、監督のブラッド・アンダーソン、てめえこの小僧。ヒヨッ子のクセに客をケムに巻こうなんて十年早いんだよ、顔を洗って出直してきやがれこのせんずりこきが、と勇気を持ってここに記したいと思います。
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