ジョゼと虎と魚たち

〜乳母車が出てくる映画にハズレなし〜

2003 日 

監督:犬童一心


映画は、ナニかを乗せた汚い乳母車を押しながら夜明けの街を徘徊する老婆、というなんだか平山夢明先生の「東京伝説」みたいなトーンではじまります。これはワタシの持論なのですが、乳母車が出てくる映画には名作が多い。「戦艦ポチョムキン」とか「アンタッチャブル」とか「子連れ狼 三途の川の乳母車」とか。さて、どこかの不心得者がこの老婆に狼藉を働き、老婆の手を放れて坂から転げ落ちてきた乳母車を助けたのが、主人公ツマブキ君。乳母車を覗いてみたらデバ包丁を握った少女が出てきたから驚いた。ここからストーリーは、デルモンテチックなJホラー路線から一変。ヤリ友と日夜ファックに勤しむスーパーフリーな生活を送る普通の大学生・ツマブキ君と、脚の不自由な少女・ジョゼ(池脇千鶴:激しくマイ・好み)の純愛物語へとシフト・チェンジするのです。
身障者と健常者の恋愛モノと聞いただけで激しく拒絶反応を起こし、ジンマシンの出る貴兄も多いことかと思われますが、この映画に関しましては、木の股から産まれてきたこの西田三郎が自信を持ってお薦めいたします。
と、いいますのも、この映画は正面切って障害者と健常者のファックライフをエロく、ロマンチックに描き出し、かといってフェチな方向には行っていない微妙なバランス感覚が秀逸。常に詩情と生臭いエロスが表裏一体であるところの田辺聖子先生の原作のトーンを損ねていないところも奇跡的といえる作品です。(しかし終盤、ツマブキくんがジョゼにお願いして目隠しと手を縛ってのファックをさせてもらうのですが、よく考えてみるとファレリー兄弟を凌ぐ素晴らしいギャグシーンでしたね)
 ところで全然関係ないですが、「フォレスト・ガンプ」でダン中隊長を演じていたゲイリー・シニーズは、他の映画ではCGで脚を生やしていると聞いたのですが、本当でしょうか?
 

TOP