エレファント

〜試みの地平線〜

2003  米

監督/ガス・ヴァン・サンド


Q:学校でのイジメに悩んでいます。

 
ニシダ先生、初めまして。僕はアメリカの高校に通う高校生です。学校生活がいやでいやで仕方ありません。と、いうのも、うちの高校はジョックスと呼ばれる体育会生徒が権力を握って君臨しており、僕のようなスポーツも勉強もできない生徒を、毎日のようにイビるからです。「5回の懸垂もできねえのかこのオカマ野郎!」「毎日エロゲーやってコイてんじゃねえ!」ジョックスたちは僕たちをまるでオモチャのように慰みものにします。だいたい、うちの高校はスポーツが盛んですので、学校教師もジョックスたちの横暴には見て見ぬ振りをし、僕たちがいくら真剣に彼らからのイジメを訴え出ても、まともに取り合ってくれません。僕らも只イジメられているだけではシャクなので、自己防衛の為に仲間内でトレンチコート・マフィアと呼ばれる集団を作りました。夏でも黒いトレンチコートを来て、学校ではその仲間うちだけで連み、他の生徒はますます僕らのことを気味悪がり、寄りつかなくなりました。かといって、ジョックスのイジメがマシになったかといえば、決してそんなことはありません。ますますイジメの対象として判りやすくなった僕たちは、さらなるイジメの対象になっています。僕はもう限界です
 実は今、親友のディラン・クレボールドと通販で銃を購入し、来る4月20日(ヒトラー総統の誕生日です)、学校を血祭りに上げてやろうかと考えています。ニシダ先生なら、こんな僕らの気持ちを分かってくれますよね?

〜エリック・ハリス(コロラド州・高校生)

A:お前のような奴には銃より練炭がお似合いだ。

 小僧。貴様がママンとパパンの金で買った銃で学校を血祭りにしたいってんなら、オレはお前のことを止めない。しかし未来永劫、オマエラのやったことは単なるイジメられっ子の逆ギレとして、物笑いのタネになるだろうよ。だいたい、オマエラがイジメラれてるのは、学生生活をスポーツに費やさないという、自分が主体的に選び取ったライフスタイルの所為だろうが。トーゼン、アメリカは自由の国だ。オマエラがどんなライフスタイルを選択するかは自由だが、その選択にはリスクが伴っていることを忘れるな。オマエラはスポーツが嫌いなんだろう。だったら、どんなにイビられようと、虐げられようと、やりたくないことは絶対にしない、という覚悟を決めるべきだ。画一的なライフスタイルを押しつけてくるジョックスどもにも、教師どもにも、絶対折れることなく自分たった一人になってもその主義を守り通すのだ。
 トレンチコートマフィア??そんな集団を結成してその一員となることで自らを守ろうとするなんてもっての他だ!!いいか、人間は一人ぼっちだ。仲間なんていない。お前がそのトレンチコートマフィアという集団に適応し、それで自らのライフスタイルを守っているとするなら、お前はお前をいぢめているジョックス野郎どもと同類だ銃で武装して学校を血祭りいい???アホか。ジョックスの理不尽な暴力に、暴力で対抗しようとしていること自体でオマエラはもう負けている。しかも丸腰の相手は銃でやっつけようってんだから、オマエラのやろうとしていることはイジメと同じだ。
オマエラには銃より練炭がお似合いだ。
いや、練炭で死ぬ前にソープへ行け!!

 そうすればそんなチンカス臭い悩みは一瞬にして消え去るだろうよ。
 わかったか小僧ども!
 
 

 

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