ドッグヴィル
〜自分を誉めてあげたくなる映画〜
2003 デンマーク
監督:ラース・フォン・トリアー
ドッグヴィルはアメリカの僻地にある、山に面した小さな町(ということにしておきます)。昔は炭坑で栄えたドッグヴィルでしたが、いまでは石炭も掘り尽くされ、小さな家が数件建ち並ぶだけ(ということらしいです)。そこにフラリと現れたのが我が魂のズリネタ、ニコール・キッドマン演じる逃亡者。何やら事情を聞くと、ギャングだか警察だかに追われているらしい。そこでドッグヴィル一番のインテリである無職で屁理屈の多い若造(主人公)が、ちょっとした労働を条件に、彼女をみんなで匿ってみてはどうか、と皆の衆に提案。はじめは彼女を警戒していたド田舎の田子作たちも、健気に彼らが与えるしょうもない仕事をコツコツこなし、彼らに受け入れられようとするニコールの姿に胸を打たれ、心を開いていきます。しかしある日、隣町からやってきたオマワリが言うには、何と彼女の首には多額の懸賞金がかけられているというではあーりませんか。そうなりゃ話は別、と町の人々は次第にイーブルなその素顔を覗かせ、お尋ね者を匿ってやっているリスクを考えろと、ニコールにさらにハードな労働を要求するのです。いつしか一人苦悩するトッチャン坊や(主人公)を後目に、町の男どもは彼女を性的に搾取するにまでに・・・。
果ては鉄の首輪までつけられて町の人々の慰みものとなるニコールの姿は、大江健三郎+ジャック・ケッチャム×鬼畜エロゲーのように凄まじく、ラストで反撃に転じた彼女がクズだらけのドッグヴィルの人々を赤ん坊に至るまで皆殺しにするラストは痛快きわまりないのですが、そこに至るまでの177分もの時間、まるでアングラ小劇団のような舞台セット(建物の類は一切なく、ドアを開けたりする動作は全てマイムで行われる)で繰り広げらるコントに最後まで付き合ったワタシは本当にエラいと、生まれて初めて自分で自分を誉めてあげたいと思いましたね。
しかしトリアー監督の「キングダム」は本当に名作です。
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